【回答】 受ける意義はあると考えています。ただし、接種にあたってはメリットとデメリットを本人と養育者が十分に理解していることが大切であると考えています。
【新型コロナワクチンを接種するメリット】
①海外の小児(12~15歳)への接種経験からの情報では、新型コロナワクチン2回接種後、ワクチン接種群で新型コロナウイルス感染症を発症したのは0/1,119人に対し、プラセボ群(ワクチンを接種していない人)では18/1,110人が新型コロナウイルス感染症を発症したという報告があります。この報告から、新型コロナウイルス感染症に対する高い予防効果が期待できます。またワクチン接種後の抗体価は16~25歳にくらべ12~15歳の方が高かったという結果でした。
②自分自身が免疫を持つことが周囲の人を守ることにつながり、大勢の人がワクチンを受けることにより、流行を抑えることが出来ます。
【新型コロナワクチンを接種するデメリット】
国内では、まだ小児への接種は始まったばかりのため、十分なデータがありませんが、成人への接種について、国内で検討された結果をご紹介します。
①国内の医療従事者2万人の調査の結果をみると、接種した同日から翌日にかけて、8~9割の人に接種した腕の痛みや重み、5~6割の人に倦怠感や頭痛、2~3割の人に悪寒や筋肉痛、2割程度の人に38℃以上の発熱がみられると報告されています。しかし、いずれの症状もほとんどの場合は2~3日で軽快するようです。まれに、接種直後にアナフィラキシーという重度のアレルギー反応が起こることがあります。そのため、15~30分間、接種会場で様子を見る必要があります。
②まれですが、主に若年の男性においてワクチン接種数日以内に心筋炎が発生することが報告されています。発症した場合でも入院は必要になりますが、ほとんどは軽症であるとされています。
※接種後特に数日間は無理をせず、激しい運動は避けましょう。日常生活に支障をきたす程の発熱、疼痛、倦怠感が生じた場合、接種を行ってから1週間以内に胸の痛み、息切れ、動悸などを認めた場合、2~3日を超えてだるさなどが続いている場合、その他気になる症状が出現した場合は医療機関等にご相談ください。"
【回答】 国内においても、12歳以上の子どもへの接種が多くの自治体で始まっていますが、副反応の頻度に関する国内からの20歳未満における十分なデータはまだありません。20歳以上に関しては、国内においても接種部位の疼痛の頻度は全対象の約90%と高く、発熱、全身のだるさ、頭痛の頻度は若年成人に多いと報告されています。
国外からは、例えば12〜15歳へのファイザー社のワクチン接種後に、注射部位の疼痛(79〜86%)、倦怠感(60〜66%)、頭痛(55〜65%)などの副反応は認めたものの、ほぼ軽症〜中等症であり、副反応出現率は16〜25 歳と同様であると報告されています。
参考資料
〇第71回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第20回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料(令和3年10月22日開催)
〇Frenck RW, Jr., Klein NP, Kitchin N, et al. Safety, Immunogenicity, and Efficacy of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Adolescents. N Engl J Med 2021; 385(3): 239-50
【回答】 米国CDC(Centers for Disease Control and Prevention)は、新型コロナワクチン接種後に0.82/10万人の割合で心筋炎/心膜炎が報告され、29歳以下の心筋炎/心膜炎患者は877人であったとしています(2021年10月6日時点)。それによると829人(94.5%)が入院を要しましたが、多くの場合回復し、789人(95.2%)が既に退院し、死亡例はありませんでした。
新型コロナワクチン接種後に発症した心筋炎も、そのほかの原因で発症した心筋炎と同様に、入院による安静と心電図・心エコー・血液検査などによる注意深い観察が必要です。一般的に入院期間は1〜2週間程度で症状が快方に向かうまでとされています。治療は、①原因がわかればそれに対する治療、②血圧をコントロールするなど、循環を安定させる治療、③炎症をおさえて、心臓の筋肉の機能が低下するのを防ぐ治療などを行います。
参考資料
〇Meeting of the Advisory Committee On Immunization Practices (ACIP) (令和3年10月21-22日開催)
【回答】 接種後2~3日、できれば1週間程度、発熱等の副反応を疑う症状に気をつけて、激しい運動を控えて過ごすことが望ましいです。接種後に胸痛、息切れ、動悸などが認められた場合は、速やかに医療機関を受診してください。
参考資料
〇第71回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、令和3年度第20回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)資料(令和3年10月22日開催)