@chablis777
シャブリ

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(安子)た… たちばなでございます。ご注文の品を…ご注文の品を お届けにあがりました。
あの…。
(美都里)あなたが たちばなの娘さん?
えっ… あっ はい。 そうです。
主人が よう注文するでしょう。はい ごひいきにしていただいとります。
いつごろからじゃったかしらと考えよったの。
だって不思議でしょう?
雉真の社長ともあろう主人がよりによって小せえ商店街の 小せえ店で。
それで 思い出したんよ。
あれは 上の息子が大阪の大学予科に入った年…。
初めて帰省した時に手土産に買うてきてくれたの。
その時なんじゃね。えっ…。
その時 稔を知ったんじゃね。
それは 持って帰ってちょうだい。
えっ。お代は払うわ。
暮らしの足しにしてちょうだい。
ま… 待ってください!
二度と稔に近づかないで。
(戸が閉まる音)
♪~
♪「君と私は仲良くなれるかな」
♪「この世界が終わるその前に」
♪「きっといつか儚く枯れる花」
♪「今、 私の出来うる全てを」
♪「笑って笑って」
♪「愛しい人」
♪「不穏な未来に 手を叩いて」
♪「君と君の大切な人が幸せである」
♪「そのために」
♪「祈りながら sing a song」
♪~
♪~(浪曲のラジオ)
(金太)うん?
どねんしたんなら これ。
(ひさ)ああ安子が持って帰ってきたんじゃ。
安子…?
配達 間違うとったって?
ごめんなさい 私が間違うて…。
ああ いや。 いやいや。あの… どこからの注文じゃったんじゃ?
電話を受けたんもおめえじゃろお?
ごめんなさい。 私が間違うたんです。
安子…。ごめんなさい。
(きぬ)稔さんには会えたん?
ううん…。
何でえ。
連絡は?
もう… 来んと思う。
(きぬ)何で?
♪~
すみません。 ここで待ちよったら会えるかもしれん思うて。
(稔)安子ちゃんのことだよね?
♪~
確かに返しました。 さようなら。
きぬちゃん!? お願いじゃ!ちゃんと説明してくれんかな。
そりゃあ… そうじゃわな。そねんなるわ。
安子ちゃんがそれを持って悩みょうったんです。
どねんして返そう言うて。
見てられなんだから私が預かりました。
それで… 安子ちゃんには黙ってこけえ来たんです。
これは 何のお金なん?
まあ けたたましいと思うたら稔じゃったん。
これは どういうことですか。
こざかしいこと。あんたに返すなんて。
どういうつもりかと聞いてるんです!
(タミ)お帰りなさいませ。
・(稔)僕に黙って 彼女を呼び出してこねんもの 手切れ金みたいに渡すなんてひきょうじゃありませんか!
あの子は お金目当てなんよ。
彼女を… 侮辱するな!
(千吉)やめなさい。
稔 ちょっと落ち着け。
こういう つまらんことをするんじゃねえ。
じゃけど。黙っとれえ。
僕は彼女と…安子さんと一緒になります。
父さんや母さんが何と言おうと僕は 安子さんと一緒になります。
分かった。
そこまで言うんならおめえの好きにしたらええ。
父さん。何ゅう あほうなこと…。
あんな…。そのかわり 家を出え。
雉真の名を捨ててあの菓子屋の婿になりゃあええ。
(美都里)な… 何を言うんです あなた。何で稔が!
(千吉)その覚悟があるんか。
それしかないと… 言うんじゃったら!
(美都里)稔!(千吉)あほう! 考えなしにものを言うな。
どねんして 食うていくつもりなら。
おめえのほれた その安子いうおなごをどねんして 食わせていくつもりじゃ。
それは… 何か 手だてを…。
それが甘え言うとるんじゃ!
ええか。菓子屋じゃろうが 服屋じゃろうが商いは 大学の勉強でどねんかなるもんじゃねえ。
まして 今は戦争中じゃ。
ちょっと気ぃ抜いたら 隙ゅう見せたらたちまち潰されてしまう。
そういう時勢じゃ。
雉真の長男として ぬくぬく育ってきたおめえの手に負えることじゃねえ。
今のおめえにできるんはせいぜい 親の言うことを聞いて会社の益になるおなごと婚約することぐれえじゃ。
そうしたら いずれ戦争が終わった時おめえが好きなように商いするだけの財産を残してやれるんじゃ。
分かったら 世まい言を言うとらんときっぱりと別れてけえ。
♪~
あっ 安子。今日はもう材料がのうなった。 閉めるで。
はい。
・(金太)雉真さん。
安子に用があったんじゃねえんですか?
会うてやってください。
それが 一時安子を苦しめることになってもどうか 安子に会うてちゃんと 話うしてやってください。
お願いします。
すんません。
母さんが失礼なことを言うたそうじゃな。
ごめん。
いけん…。
いや いけん いけん。
やっぱり こねえなん 間違うとる。
安子ちゃん。
時間は かかるかもしれんけど戦争が終わったら…大学 卒業したら…きっと…。
ありがとうございます。
うれしいです。
じゃけど…。
間違うとったんです。 最初から。
分かっとったはずじゃのに夢を見てしまいました。
長うて甘え夢を見続けてしまいました。
安子ちゃん。ラジオの講座が のうなったら覚えた英語 忘れてしもうた。
稔さんのこともきっと忘れられます。
♪~
<稔と一緒にひなたの道を歩いていきたい。安子の夢は はかなく ついえました。Yasuko’s little dreamsadly faded away>


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