軽い言葉、終始言い訳 コシヒカリ発言波紋【記者の目】
2021.11.10
政治家の言葉がここまで軽くていいのか。コシヒカリ発言を巡る川勝平太知事の緊急記者会見を聞いた率直な感想だ。先鋭的な言葉が時に重大な差別を生む自覚はなく、到底、理解できない言い訳を最後まで繰り返した。
「真意」の説明があきれる。若林洋平氏が好きな食べ物に「白米」を挙げ「ご飯さえあれば何もいらない」と言ったことを引き合いに「彼の農業観が表れている。御殿場にコシヒカリしかないようなイメージを広げた。35市町の代表になり得ないという趣旨だった」と釈明した。
好きな食べ物に対する最大限の賛辞を曲解し、批判のための批判をしたとしか思えない。若林氏への批判としてすら成り立っていないからこそ、県民が怒っているという自覚はないのだろうか。
演説の中では御殿場市と浜松市の人口を比較し「どちらを選びますか」と絶叫した。かつて人口減を理由に静岡市を「政令市失格」と断じた姿を思い出した。県の代表である知事が人口の多少で市町の優劣を決めるような発言をするのは看過できない。
県議会での追及が待っている。政策論争をとの声もあるだろうが、政治家の言葉には政治姿勢の根幹が表れる。「失言」で済ましていい問題ではない。