眞子さま「複雑性PTSD」　精神的苦痛大きいと宮内庁

宮内庁は1日、秋篠宮家の長女、眞子さま（29）が「複雑性心的外傷後ストレス障害（PTSD）」と診断されたことを明らかにした。小室圭さん（29）との結婚を巡り、4年近くにわたって続いた批判が、心を深く傷つける結果となったとしている。祝福にあふれた結婚発表となるはずの記者会見は、眞子さまの病状説明の場となった。

「複雑性PTSDに至るほどの精神的苦痛」。1日午後、宮内庁の講堂で行われた結婚の日程発表の場で、秋篠宮家の側近部局トップの加地隆治皇嗣職大夫は眞子さまの病状について切り出した。

加地氏によると、眞子さまは「小室さんは一時金を受け取るために結婚する」などといった誹謗（ひぼう）中傷と感じられる出来事を通じて、強い精神的負担を受けられた。加地氏とともに会見に同席した精神科医で、公益財団法人「こころのバリアフリー研究会」理事長の秋山剛氏は「長期にわたり誹謗中傷を体験された結果、複雑性PTSDと診断される状態になっておられる」と述べた。

複雑性PTSDについて、秋山氏は「言葉の暴力、例えば、ネット上の攻撃や、いじめ、ハラスメントなどでも起こる」と説明。眞子さまについては「誹謗中傷と感じられる出来事が、長期的に反復され、逃れることができないという体験をされた」として、日常的に非常な苦痛を感じられていると指摘した。

眞子さまは2015年から、当時の宮内庁長官に一時金受け取りの辞退について相談されていたという。秋山氏によると、眞子さまの症状が始まったのはその後の18～19年ごろ。婚約内定後の17年末に、女性誌が小室さんの母と元婚約者の間に金銭トラブルがあったと報道。18年以降はこの問題が様々なメディアに取り上げられ、一部では激しいバッシングも行われた。

宮内庁は18年2月、同年秋としていた結婚の日程を、代替わりの一連の儀式が終了する20年まで延期すると発表。眞子さまも「色々なことを急ぎすぎていたのだと思います」との心境を明らかにし、時間をかけて準備を進めるとの意向を示されていた。

だがその後も小室家を巡るトラブルは解決の方向に向かわず、一部メディアやインターネット上では批判が続いた。

秋山氏は眞子さまが「ご自分を価値がないものと考えられたり、感情が揺さぶられたり、以前に比べると他の人との関係を避けてしまうことがおありになったようだ」とも述べた。「特定の文字を見ると、恐怖感がフラッシュバックする」「人生が壊されるという恐怖感が持続する」といった症状を列挙した。

一方で秋山氏は、現在も公的活動に取り組むなど眞子さまの判断力には問題はなく、結婚準備にも支障はないと説明。「結婚について周囲の方々からの温かい見守りがあれば、ご健康の回復が速やかに進むものと考えられる」との見方を示した。

宮内庁の西村泰彦長官は1日、加地氏に続いて記者会見し、眞子さまについて天皇、皇后両陛下が「公的活動に真摯に取り組み、心からねぎらいたい。今後幸せな人生を歩んでいってほしい」とのお気持ちを持たれていると説明した。

福井大の杉山登志郎客員教授（児童青年精神医学）の話　心的外傷後ストレス障害（PTSD）は、災害や交通事故などの強い恐怖体験によって引き起こされる心の病だ。中でも「複雑性PTSD」は、児童虐待やドメスティックバイオレンス（DV）など長期間にわたって極めて過酷な体験にさらされた人らにみられる症状で、最重度のPTSDと言える。

複雑性PTSDの患者には、従来のPTSDに加えて「気分変動」「無価値感、恥辱感」「対人関係がうまく築けない」といった特徴がみられ、社会生活を送るのが難しい状態となることもある。治療には数年かかる場合がある。