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俺の担当バ、ヒシアケボノを一言で表すなら「デカい」に尽きる。
180㎝に到達した等身は平均男性を超え、同世代でも抜群のスタイルをしている。 しかも、これで中等部なのだから恐ろしい。 もちろん身体だけでなく、その器量や性格もあらゆるものを包み込む包容力がある。
「こうやってみるとやっぱデカイなぁ…」
向こうで友達と喋っているアケボノを見てそう思った。 隣にいるのはピコーペガサスだろうか。小柄な体格の彼女と並ぶとより際立つ。
「お待たせー!」
友達と話し終えた彼女がポテポテと走ってくる。
「おし、じゃあトレーニング始めるか」
「おー!」
腕を伸ばすその動きはまだ年相応といった感じだ。
「あー!その前に。トレーナーさん、さっきずっと私のこと見てどうかしたのー?」
「あ!いや、な…」
ギクッ、となる。デカイなーなんて、たとえ本人が気にしていないとしても言えない。 が、このままこの丸い瞳に見つめられていては口を割るのも時間の問題だ。
「ビコーとかと並ぶとやっぱアケボノは背高いなって」
「あぁ、なるほどー!でも、トレーナーさんも私のこと言えないでしょ?」
「まぁ…」
アケボノが上目遣いで聞いてくる。 そう、俺はあのヒシアケボノを見下ろす事が出来るほど背が高いのだ。 最近測ってないが、多分2メートルを越していると思う。
「こうも背が高いと、生活が大変なんだよなぁ」
体に合う服はまず無いし、大体の扉に頭をぶつける。 スポーツをしていた時は役に立ったが、今では持て余すばかりだ。 アケボノの料理でガタイも良くなったので、最近は子供に泣かれるまである。
「そう?背が高いと皆んなのボーノな顔がいっぱい見渡せて幸せだよ!」
「はは、確かにな」
快活に笑うアケボノ。自分と違って、大きな背を気にするどころかプラスに考える彼女はやはり凄いと思う。
そんなデカイ俺たち二人なので、二人でいるとめちゃくちゃ目立つのが悩みだ。
そんな会話の後、俺たちはいつも通りトレーニングを始めた。
「最終コーナーだ!ペース上げろ!」
「よぉし!ボーーノォォ!!」
独特の掛け声でグンとスピードを上げ加速する。ズンズンと音が聞こえてきそうだ。
(見てて爽快だな…)
いくらウマ娘の力が身体の規格に関係しないとしても、身体が大きいことは単純に有利である。 脚が長ければ有利なのは言わずもがな、ウェイトがあれば当たりにも強く、背丈があれば視野も広く、ポジション取りにも有利だ。
そんな豪快な走りで、ゴールまで後少しという時だった。
「あっ…!!」
「っ!」
芝に足をとられ、アケボノの足が持つれる。 そうして不安定になった足は、その速度に耐え切る事が出来ず、勢いそのままに彼女の身体ごと倒れ込む。
「アケボノっ!」
手元にあった救急箱を手に急いで彼女のもとへ走る。
「いったたぁ…」
「大丈夫か?!」
「うん、躓いただ…いっ!!」
「無理したらダメだ」
立ち上がろうとする彼女を静止し、座らせる。 足首をグニグニと触る。
「痛むか?」
「うん、少し…」
外見からは目立たないし、捻挫まではいかず軽く捻っただけですんだようだ。
「ごめんね、トレーナーさん…」
「それはこっちの台詞だ。直線は使い込まれて水捌けが悪くなってだんだな…。気付けなかった俺の落ち度だ」
雨から2日経ち、もう大丈夫かと思ったのがダメだった。 このことは後で学園に報告しよう。それはそれとして芝の確認不足だった。
「取り敢えず、軽い捻挫だな。応急処置はするから、念のためにそのまま保健室に行こう」
「うん、ありがとう…」
それでも責任を感じるのか、アケボノの表情は暗い。こうなっては、優しい彼女は何を言っても自分を責めるだろう。 なら俺に出来る事は少しでも早く治るよう尽力するだけだ。
「立てそう…な訳ないよな」
と言うか、立たせたくない。
「ごめん、少し我慢してくれ…よっ!」
「わぁっ!」
アケボノの膝と肩に手を当ててグンっと持ち上げる。出来るだけ優しく、脚を下げないように。 いわゆるお姫様抱っこというやつだ。 おんぶにしようかとも思ったが、彼女の巨大な胸部装甲との接触を懸念してやめた。
「と!と、トレーナーさん///!」
「氷袋、足首に当ててるんだぞ」
そのまま保健室に向かう。 ふむ、大変失礼だが思ったより全然軽い。 これはアケボノがいっぱい料理を食べさせてくれたので、太らないよう鍛えてきたおかげだろうか。
抱き上げられたアケボノの顔は終始真っ赤だった。
「これでよしっ。後4日もすれば歩けるようになるでしょうから、安静にね」
ベッドに座るアケボノに手際良くテーピングと固定をして処置を済ませる保険医さん。さすが本職、頭が上がらない。
「じゃあ、松葉杖取ってくるから、ちょっと待っててね」
「何から何まですいません」
「良いのよ。それより、アケボノちゃん、顔真っ赤だけどどうかしたの?」
「え?」
「あっ、えっと、その…///」
チラチラとこちらをみるアケボノ。 それを見て何かを察したように微笑み、黙って去っていく保険医さん。
「どうかしたか?アケボノ」
「えっと…トレーナーさん、さっきお姫様抱っこしてくれて…」
先ほど、彼女を保健室まで運んだ時を思い出す。たしかにその時から顔赤かったな。 道中めちゃくちゃ注目された。
「ごめん、嫌だったよな。急に抱き上げられて…」
「あっ!ううん、違うの!ただ、こういう事してもらうの、初めてだから…」
「あー」
これほど上背のある彼女を抱き上げる事が出来る人間は限られるだろう。
「だから、トレーナーさんにはじめてしてもらって、嬉しかったの…」
「そっか。俺のこのデカイ図体もたまには役に立つもんだな」
いくら彼女がその巨体を気にしていないとしても、やはり普通の女の子に憧れる事はあったのだろう。 自分のこの身体が彼女の夢を叶える一助になったなら幸いだ。 久しぶりに産んでくれた母に感謝する。
そこで、ガラガラと音を立て、保険医さんが戻ってきた。が、
「あれ?松葉杖はどうしたんですか?」
「ごめんね。申し訳ないけど、アケボノさんに合う高さのものがなかったのよ…」
「え?でも…
松葉杖って高さ調節できましたよね?と聞こうとして有無を言わさぬ保険医さんの視線に貫かれ黙る。
「後で送ってあげるから。今日はトレーナーさんに送って貰いなさい」
「えぇ?!」
「あぁ、なるほどね…」
さてはこの人、外で俺たちの会話を聞いてたな。どうやら、気を利かせたらしい。
「じゃ、行くかアケボノ」
「で、でも…」
「アケボノはお姫様抱っこして欲しくないか?」
「………して欲しい…」
頬を赤らめ答える彼女を俺は優しく抱き上げた。 体から伝わる熱が、見合った丸く大きな瞳が、密着した肉感が、全てが彼女の魅力だった。 普段は大人顔負けの大らかさを持た彼女の乙女の部分を見る事が出来てなんとも役得だ。
「よろしくね、トレーナーさん…」
アケボノの身体はやはり思ったより軽く、けれど想いの重さをしっかりと感じた。
余談だが、次の日、俺がアケボノをお姫様抱っこをしていた事が学園中に広まっていた。 結果、担当バがトレーナーにお姫様抱っこをねだるという謎のブームが発生した。
ヒシアケボノ可愛いですよね。ぶっ刺さりました。出ないけど。
こうゆう大きい女の子を、逆に女の子扱いしたい…。