スピッツ大学

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スピッツ大学へようこそ!

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スピッツ大学へようこそ!

…なのですが、現在はあんまり更新はしておりません。主に、過去の記事を楽しんでいただければ嬉しいです。

 
スピッツ大学 沿革(2021年更新)

https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/1000/01/01/000000

 


スピッツ大学 学長紹介(2021年更新)

https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/2016/06/20/215848

 


スピッツ全曲研究セミナー

https://itukamitaniji.hatenablog.com/archive/category/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%84%E5%85%A8%E6%9B%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC

 


スピッツ全アルバム研究セミナー

https://itukamitaniji.hatenablog.com/archive/category/%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%83%E3%83%84%E5%85%A8%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%90%E3%83%A0%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%82%BB%E3%83%9F%E3%83%8A%E3%83%BC

 


スピッツ大学校歌

https://itukamitaniji.hatenablog.com/entry/1000/01/04/000000

248時限目:大好物

大好物

 

大好物

大好物

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【大好物】

 

■2021年11月3日に配信リリースされた、45作目のシングル曲です。

 

同日に公開された、劇場版「きのう何食べた?」の主題歌になっている曲です。スピッツが、映画の主題歌を担当するのは、2017年に公開された映画「先生!、、、好きになってもいいですか?」の主題歌【歌ウサギ】以来、およそ4年ぶりです。

 

劇場版「きのう何食べた?」の主演を務めているのは、西島秀俊さんと内野聖陽さんなのですが、西島さんと言えば、スピッツファンを公言しており、何かとスピッツに縁のある方です。

 

例えば、2011年に放送された、西島さん主演のテレビドラマ「僕とスターの99日」では、スピッツでは珍しく、原田真二さんのシングル曲【タイム・トラベル】のカヴァー曲が主題歌に選ばれました。僕はこのドラマを、最初こそ主題歌を聴く目的で見ていましたが、ドラマの内容が面白くて、最後まで全話見ました。

 

それから、2006年に公開になった、西島さんと宮崎あおいさん主演の映画「海でのはなし。」では、これは主題歌というより、映画自体がスピッツの楽曲にインスパイアされて作られたものだそうで、挿入歌でスピッツの曲がたくさん使われています。昔、僕も映画見たんですけどね、全然ストーリーを覚えていません。ちなみに、宮崎あおいさんの映画での役名が”楓”という名前です。

 


■そして、今回の「きのう何食べた?」で、また西島さん×スピッツが実現したわけですね。「きのう何食べた?」の主題歌にスピッツが選ばれたことに対して、西島さんがコメントをしています。

kinounanitabeta-movie.jp

 


この映画の主題歌をスピッツさんが担当すると聞いて驚きと嬉しさで飛び上がりました。
スピッツさんの楽曲はいつも作品の世界観に優しく寄り添い、観る者の想像力を大きく膨らませてくれます。本当に素晴らしい曲です。
この曲を聴いて皆さんあたたかい気持ちで映画館を出られると思います。
そしてこの曲を聴く度に、映画「きのう何食べた?」の様々なシーンを思い出して頂けたら幸いです。

 

”驚きと嬉しさで飛び上がりました”という表現で、嬉しさを爆発させているのがよく分かりますね。

 


また、草野さんも映画に対してコメントを寄せています。

 


様々な人生の歩み方、新しい家族のあり方、色んな愛の形など、多くの事を問いかけてくれる実は真面目な物語なんですけど、まずとにかく面白いです!アハハと笑わされた後、え?ここで?という場面にふと目頭が熱くなってたりします。なので今回、曲の依頼をいただいたら盛り上がっちゃって、ツルツルっと出来上がったのがこの「大好物」です。なんだか縁を感じています。レシピをメモりたくなる美味しそうなシロさんの手料理を堪能した後、シメのデザートにスピッツの曲も楽しんでいただけたら幸いです。

 

ちなみに、「きのう何食べた?」のストーリーなんですが、僕は見たことがないので調べたものを紹介してみると、どうやら男性同士のカップル(ゲイのカップル)の物語のようですね。その男性同士のカップルを、西島さん(シロさんという役)と内野さん(ケンジという役)が演じているようです。

 

予告篇などを見た時に、えらく食事のシーンが多いなと思ったのですが、これは二人の生活が、食生活を中心に描かれているからだそうですね。だから、草野さんもそういう物語に触れてコメントしているのですね。後述しますが、【大好物】の歌詞の中にも、そういう”食”に関係しているようなフレーズがたくさん出てきます。

 

 

 

■ということで、【大好物】という曲を聴いた感想や、解釈などを語っていきます。

 

総じて思ったことを述べると…まぁ、これはいつもスピッツの曲を聴いていて思うことなんですが、”かわいい”と”かっこいい”を、こんなにも同時に表現できるのは、つくづくスピッツだな、スピッツしかいないよなってことでした。しかも、スピッツはもう年季の入った、いわばおじさんたちのバンドですよ、なのに何て軽快な曲を作るんだ!って思うんですよね。

 

アルバム『見っけ』や、その収録曲を解説したときにも紹介したんですけど、【見っけ】や【ヤマブキ】みたいなキラキラした感じの曲だったり、【ラジオデイズ】や【快速】なんかもラジオの音源が挿入されていたり、エフェクティブな加工がされていたりして、スピッツはまた新しい扉を開けたな、と思ったのです

 

そういうところから、スピッツはアルバム『見っけ』辺りから、個人的なくくりとして、新しい時代…第5期にでも入ったのではないか、とさえ思っています。

 

衝動的にロックなスピッツに目覚めて、少しずつそれを研磨していった第3期(『ハヤブサ』~『さざなみCD』)、そこから時間が経つごとに、僕自身がスピッツを長く聴いているせいか、どこか懐かしさも感じるようになってきましたが、さらに東日本大震災を起因として、歌うことや音楽をやること自体にも思いを馳せつつ、”死と再生”の物語を紡いでいった第4期(『とげまる』~『醒めない』)。

 

そして第5期、特にアルバム『見っけ』では、色んなものから解放されて、また”死と再生”の先に進んで、新しい”見っけ”の物語へと踏み出した、と。今までのスピッツロックに、何かをプラスアルファしたような曲、より自由な雰囲気の曲が増えてきました。

 

そういう音楽性の変化っていうのは、考えようによっては、そのバンドが変わってしまったとか、前の方が良かったとか思ってしまう要因にもなるかと思うんですけど、そこはさすがスピッツ、何をやってもしっくりくるんです。新しいことをやっても、やっぱりスピッツスピッツなんですよね。

 


■という風に考えてくと、この【大好物】にも、新しいと思うところがたくさんありました。まさに、スピッツの最新の曲!って感じです。

 


まず、イントロから耳に残るのはシンセサイザーの音ですね。何ていうか、近未来的で最新のテクノポップのようにも聴こえるし、80s90sのシンセポップみたいに古い感じにも聴こえるし、そういう新しい/古いを同時に感じるような、不思議な感じです。

 

こういうシンセサイザーの音が前面に聴こえてくる曲って、スピッツには珍しい気がするんですけど、何かありましたっけ?でも、そこはさすがスピッツスピッツロックとシンセのポップな感じがうまく混ざっていて、新しいのにスピッツっぽいと思わせてくれます。

 


それから、Aメロでは草野さんのボーカルに、いわゆる”こぶし”が使われています。”こぶし”(漢字では”小節”と書く)は…もともとは演歌のテクニックなんですかね、説明としては、ボーカルの音を瞬間的に上下する(揺らす)というテクニックでしょうか。ビブラートは、割と長いこと周期的に声を揺らしているイメージですが、こぶしは、瞬間的にある部分で強調して行います。

 

具体的には【大好物】では、例えば1番のAメロだと、”冬の終わり”の”ゆ”の音や、”はじめて知った”の”じ”の音が揺れていますね。今までのスピッツの曲には、あったの?なかったの?って感じですけど、こぶし自体をスピッツの楽曲で意識したことがないので、少なくともこんなに強調して使われているのは初めてなんだと思います。

 


あと、Aメロで個人的に好きなのは、特に1番のAメロなんですけど、先程のこぶしが入る”冬の終わり”の後の、”テレレレ ダダダ”がめっちゃ好きなんすよ…伝わってますかね笑。要所要所にこういう感じの部分がある気がします、サビ前にも”ダッダダー ンジャジャジャ”も良いですよね…何て言うんだろう、音楽用語などがあるんでしょうか。

 

Cメロの”やわらかく”も良いですよね。ドラムのリズムと、ハモリのボーカル(このハモリは草野さん自身に聴こえますが、さて?)が面白いです。

 

 

 

■そして、歌詞についてなんですけど、今回は深く考えずにすんなりと読むことができました。多幸感が溢れているというか、読んでいて気持ちが良くなるというか、そういう前向きな気分になる歌詞だと思います。

 

先述の通り、「きのう何食べた?」という作品自体が、男性同士のカップルの生活を”食生活”に焦点を当てて描いているという物語なので、そういう”食”に関する表現から、カップルの日常や相手への気持ちの変化を描いていると思われる部分が、たくさん出てきます。

 


例えば、

 


つまようじでつつくだけで 壊れちゃいそうな部屋から
連れ出してくれたのは 冬の終わり

 

冒頭から、”つまようじ”という言葉が使われていて面白いですね。些細で弱々しいものの例えとして、”つまようじ”という言葉が使われているんですかね。そういう繊細で傷つきやすい生活から、相手が連れ出してくれた、と歌っています。

 



ワケもなく頑固すぎた ダルマにくすぐり入れて
笑顔の甘い味を はじめて知った

 

”甘い味”という表現…お菓子やケーキなど、”甘い”ものを食べるというのは、”幸せ”の象徴ですよね、ここでもそういう意味合いで使われているのだと思います。

 

余談ですが、仕事で疲れた時とかに、職場の人がチョコくれたりするんですけど、瞬間的にめっちゃ疲れが回復するんですよね。そんな、いつももらってばかりの自分です。いつも、今度は自分がお返ししないと…と思ってるんですが。

 



吸って吐いてやっとみえるでしょ
生からこんがりとグラデーション
日によって違う味にも 未来があった

 

ここは、”でしょ”と”グラデーション”の韻の踏み方も面白いんですね。”日によって違う味にも 未来があった”という表現で、これもカップルの幸せな食卓の風景が思い浮かびました。

 


■あとは、タイトルにもなっている”大好物”という言葉ですが…正確には出てきませんが、サビに”大好きな物”という表現で出てきます。

 


君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き
期待外れなのにいとおしく
忘れられた絵の上で 新しいキャラたちと踊ろう
続いてく 色を変えながら

 


君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き
そんなこと言う自分に 笑えてくる
取り戻したリズムで 新しいキャラたちと踊ろう
続いてく 色を変えながら

 

相手を愛しいと感じる気持ちを、”君の大好きな物なら 僕も多分明日には好き”という言葉で表現しているのは、まさに草野節ですね。

 

好きな人と長く過ごしたりすると、その相手が好きな物が、自然と自分の好きな物に変わっていくと。その相手と結ばれなくても、気になる人の好きなものを、自分も好きになっていく(好きになろうとする)感じは分かる気がします。例えば、音楽の趣味とか、漫画や本の趣味とか、そういうものが、恋愛の力によって変わっていく感じですね。

 

ただ、”僕も多分明日には好き”の”多分”という表現も、さらに草野さんっぽいなって感じもすしますね。控えめというか、何となく言い切れていないというか。

 

あとは、”取り戻したリズムで 新しいキャラたちと踊ろう”というところも、色々と物語が想像できる部分だと思います。リズムを取り戻した、ということを逆に考えると、今まではリズムを崩していた、と考えることができます。

 

それこそ、過去の恋愛の失敗とかがあって…とかね。そこから新しい恋愛に進んでいって、自分の好みが変わっていくというところを、”新しいキャラ”と表現しているのかもしれません。

 


■ということで、【大好物】でした。

 

個人的には、最近ではかなり好きな曲になりました。アルバム『見っけ』とか最近の配信曲とか、最近のスピッツ曲では、ダントツで好きな曲です。

247時限目:死にもの狂いのカゲロウを見ていた

【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】

死にもの狂いのカゲロウを見ていた

死にもの狂いのカゲロウを見ていた

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■もともとは、スピッツがインディーズ時代に発表した、ミニアルバム『ヒバリのこころ』に収録されている曲であり、2021年に発売になったSpecial Album『花鳥風月+』にも収録されました。

 

ミニアルバム『ヒバリのこころ』は、1990年3月20日に発売になったミニアルバムで、スピッツのデビューが1991年であるので、結成~メジャーデビューの間でこのアルバムは発売されたことが分かります。

 


ミニアルバム『ヒバリのこころ』の収録曲は、

 

01.ヒバリのこころ
02.トゲトゲの木
03.353号線のうた
04.恋のうた
05.おっぱい
06.死にもの狂いのカゲロウを見ていた

 

という計6曲ですが、このうち、【ヒバリのこころ】【トゲトゲの木】【恋のうた】【おっぱい】の4曲は、スピッツがメジャーデビューした後に音源化され、CDで聴くことができたのですが、残りの2曲、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】は、メジャー後の音源化はなく、聴くことができませんでした。

 

それが、スピッツがメジャーデビュー30周年を迎えた今年(2021年)、デビュー30周年の記念的な作品として発表された、Special Album『花鳥風月+』に、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】が初音源化されて収録されました。

 

ということで、今回の記事では、【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】について語ってみたいと思います。

 


■まず、先述の通り、今回のアルバム『花鳥風月+』にて、【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】はメジャーデビュー後に初めて”フル”音源化されました。

 

しかし、実は2001年6月6日に発売になった、映像作品「ジャンボリー・デラックス LIVE CHRONICLE 1991-2000」にて、”DELUXE 1 -EARLY YEARS-”と称して収録されている特別映像にて、1991年の【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】のライヴ映像を見ることができます。

 

ただ、このライヴ映像は、2番のみの短めのライヴ映像となっており、ちょっと物足りない感じはします。それでも、上半身だけ見ると囚人服を着ているように見える、でっかいフォークギターをかき鳴らし歌う、若かりし頃の草野さんの歌唱姿が見られるだけでも、超貴重ですけどね。映像だけ見ると、やっぱりここから草野さんは、かなり爽やかにイメージチェンジしたんだなということが、よく分かります笑

 

ちなみに、映像作品「ジャンボリー・デラックス LIVE CHRONICLE 1991-2000」には、その他にも貴重なライヴ映像が満載で、しかもボリュームもすごいので、超おすすめです。僕はこのDVDを、3050LIVEを観に行った時に物販で見つけて購入しました。以前に、このDVDを見た感想も書いているので、良かったら読んでみてください。

 


■では、曲自体についての情報や感想を語ってみます。

 

まず、イントロは、個人的には【アパート】っぽいなって思いました。ギターのフレーズが似てるんですよね。どこか空想的な世界に入っていくような、不思議な感じのするイントロです。

 

この曲も、前回書いた【353号線のうた】と同時期の曲ですので、パンクロックからの脱却を図っている、その過渡期にあるような曲ですかね。ライヴ映像で草野さんが弾いているように、フォークギターの音が前面に聴こえます。ただ、曲調としては、【353号線のうた】の方がゆるい感じです。【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】の方が、何ていうか、緊迫して切羽詰ってる感があります。

 

あと、何と言っても印象的なのは、アウトロ。4分52秒の歌に対して、およそ2分くらいをアウトロが占めています。このアウトロがメインなの?と思ってしまうほどの力の入れっぷりです。ラッパやキーボードの音が、徐々に派手に盛り上がっていき、イントロと同様、どこか違う世界にでも連れて行かれるような、不思議なアウトロです。

 


■そして、歌詞の世界観も…【353号線のうた】と同様、かなりの謎です。さすが初期…というより、インディーズ時代の曲、独特でマニアックな詩の世界観です。

 

そもそも、ここまで普通に書いてきましたが、”死にもの狂いのカゲロウを見ていた”ってタイトル自体がもうヤバいっすからね。タイトルの長さも一番なんですかね?

 

このタイトルが出てくるフレーズとしては、最後のサビの部分です。

 


死にもの狂いのカゲロウを見ていた
時間のリボンにハサミを入れた
ひとりじゃ生きてけない

 

もう、何か危うさ満載の歌詞ですよね。合わせて、1番の歌詞には、こうあります。

 


殺されないでね ちゃんと隠れてよ
両手合わせたら涙が落ちた
ひとりじゃ生きてけない

 


で、解釈のベースとしては、”殺されないでね”、”両手合わせたら”、”死にもの狂いのカゲロウを見ていた”などの詩を繋げて、誰かが誰かの死に際に立ち会っていて、死なないように願っている、という構図が浮かんできました。

 

タイトルにもなっている”カゲロウ(蜉蝣)”ですが、虫の名前ですね。卵から成虫に成長するまでの期間は、数か月~1年(2、3年という記述もありました)ほどありますが、成虫として生きられる時間は、長くても1週間ほど…短くて数時間~1日ほどしかないという、”儚い命の象徴”としてよく引き合いに出される生き物です。

 

(ちなみに、蜉蝣、蜻蛉、陽炎…全て”カゲロウ”と読みますが、蜻蛉はトンボ、陽炎は夏の暑い日に道の上に見られるもやもやのアレですね。この歌では、上述のように”蜉蝣”という字を当てはめています)

 

だから、”死にもの狂いのカゲロウを見ていた”は、今まさに消えようとしている命の側にいる、という表現だと考えました。

 

…ただ、不穏なのは、”時間のリボンにハサミを入れた”という表現ですね。この辺りの解釈としては、大きく2つの方向に分かれたので、それぞれを紹介しておきます。

 


①まず、”(自分で自分の)時間のリボンにハサミを入れた”と読んだタイプの解釈です。大切な人の死に際に立ち会って、”ひとりじゃ生きてけない”ですからね…単純に考えたら、大切な人が死んだら一人じゃ生きてけないな=だから自分も死んで一緒にあの世に行こう、という解釈になりました。

 

”時間のリボン”という表現も独特ですよね。これは、別のところで”輪廻”という言葉も出てきますが、”輪廻”とは、生き物が生死を繰り返すこととですが、何となくひとつながりの帯がくるっと輪になっているようなイメージですよね。

 

なので、(時間の)”リボン”=”輪廻”という風に捉えると、それにハサミを入れるわけですから、”輪廻”を断ち切る、つまり、”命”を絶ってしまう解釈に繋がっていきます。

 


②この曲を最初に聴いた時に、真っ先に近いイメージを感じた曲がありました。

 

それは、【夏の魔物】という曲です。【夏の魔物】は、個人的な解釈も含めますが、赤ちゃんを中絶する・流産する、という不穏な解釈が割と広まっている曲です。

 

要は、【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】という曲も、【夏の魔物】と同様のことを歌っているのではないか?と思ったのです。

 

先程の、カゲロウ(蜉蝣)の説明を思い出してほしいのですが、要は蜉蝣は、成虫になるまでの期間が長くて、成虫になってからの人生が短い、という生き物です。これを、ちょっと無理やりですが、赤ちゃんに例えるならば、お腹の中に居る期間が長くて、生まれてきて過ごした期間が短い…ということになります。

 

つまり、赤ちゃんが頑張って生まれてきたは良いけれど、何らかの原因で、生きられる時間はわずかである…と。

 

そう考えると、また”時間のリボン”という言葉の捉え方も変わってきます。例えば、”時間のリボン”=”へその緒”という考え方…赤ちゃんは、最初は母親とへその緒で繋がった状態で生まれてきます。母親を、唯一の生の寄るべとして、赤ちゃんが存在していたとしたら、それを断ち切るということは、そのまま”死”へとつながるかもしれません。

 

あとは、”時間のリボン”=”点滴などの管”とすると、延命措置を断ち切る、という解釈などにもつながります。

 


■いずれにしても、不穏な解釈なのですが、じゃあ他の部分の歌詞は…というと、まずは冒頭の歌詞。

 


流れる水をすべって
夕暮れの冷たい風を切り
ほおずりの思い出が行く
うしろから遅れて僕が行く

 

これが冒頭の歌詞です。まだ、この辺りは、情景が浮かんできそうですよね。何となく、”水”や”夕暮れ”という歌詞から夏のイメージが浮かんできます。そもそも、カゲロウが夏の昆虫なので、なおさらこの曲に夏のイメージを感じます。

 

あとは、”ほおずり”という言葉については、言わずもがな、自分の頬を相手にすりつけることを表す言葉ですが、個人的にほおずりをする対象としての勝手なイメージとしては、”小さな子ども”か”小さな動物”が浮かびました。いずれにしても、その対象への愛情表現ですよね。

 

なので、この冒頭の部分は、大切な人と過ごした日々の思い出を表わしてる部分とまとめることができそうです。

 


あとは、2番のAメロ~Bメロの歌詞ですね。ここでね、一気に歌詞の解釈を見失ってしまうんですよ笑

 


ピカピカ光る愉快な
顔の模様が浮かんだボールが
ポタポタ生まれ落ちては
心の窓ガラスたたいてる

 


歩道橋の上から
カンシャク玉をバラまいたら
空の星も跳ねた

 

ね、意味が分からないでしょ?お手上げです笑

 


■ということで、【353号線のうた】と同様、とても解釈の難しい歌だというイメージです。あなたは、この歌からどんな解釈を紡ぎますか?

246時限目:353号線のうた

【353号線のうた】

353号線のうた

353号線のうた

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■もともとは、スピッツがインディーズ時代に発表した、ミニアルバム『ヒバリのこころ』に収録されている曲であり、2021年に発売になったSpecial Album『花鳥風月+』にも収録されました。

 

ミニアルバム『ヒバリのこころ』は、1990年3月20日に発売になったミニアルバムで、スピッツのデビューが1991年であるので、結成~メジャーデビューの間でこのアルバムは発売されたことが分かります。

 


ミニアルバム『ヒバリのこころ』の収録曲は、

 

01.ヒバリのこころ
02.トゲトゲの木
03.353号線のうた
04.恋のうた
05.おっぱい
06.死にもの狂いのカゲロウを見ていた

 

という計6曲ですが、このうち、【ヒバリのこころ】【トゲトゲの木】【恋のうた】【おっぱい】の4曲は、スピッツがメジャーデビューした後に音源化され、CDで聴くことができたのですが、残りの2曲、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】は、メジャー後の音源化はなく、聴くことができませんでした。

 

それが、スピッツがメジャーデビュー30周年を迎えた今年(2021年)、デビュー30周年の記念的な作品として発表された、Special Album『花鳥風月+』に、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】が初音源化されて収録されました。

 

ということで、今回の記事では、【353号線のうた】について語ってみたいと思います。

 

 


■まず、タイトルにもなっている”353号線”について調べてみました。

 

”〇号線”とあるので、おそらく日本の国道のことを指しているんだろうと思い、そういうつもりで調べてみると、353号線はwikiによると、群馬県桐生市から新潟県柏崎市に至る一般国道であると情報を得ました。

 

何か特徴的なことはないか、この353号線について調べてみるのですが、特に何も見つかりませんでした。そもそも、なぜこの353号線をタイトルに曲が作られたのか、メンバーと何か関連があったのか、さっぱり分かりませんでした…。

 


ただ一つ思ったのが、【353号線のうた】の中に、

 


地図にない道を選んで
海の見える街へ行こう

 

という歌詞が出てくるのですが、群馬県は皆さんもご存じの通り、海に接していない県であるので、353号線の一端である群馬県桐生市にも海はないのですが、もう一端にある新潟県柏崎市は海に面しています。

 

なので、”海の見える街へ行こう”と言っているこの歌の主人公(たち)は、群馬県側から新潟県へと、車を走らせているのだろうと想像することができます。ただ、それが何を意味することなのか、それは分かりません。そもそも、本当に車を走らせているのかということ自体が怪しいですが。

 

 

 

■曲自体についての感想や情報についてまとめてみます。

 

まず、さすがインディーズ時代の曲、一癖も二癖もある曲ですね。ただ、同時代に発表された【恋のうた】が、”スピッツがパンクロックから転向するきっかけになった曲”とよく語られるので、スピッツ自体が音楽的に変わっていった時期の曲であることは分かります。

 

イントロがフォークギターのストロークから始まっているのは、そういうパンクロックからの脱却の象徴でしょうか。ボーカルの草野さんは、この頃からフォークギターを握って歌っていたということが、色んな所で語られています。

 

続いて聴こえてくるのは、印象的なベースのリフです。スピッツは、ライヴでメンバー紹介のコーナーがあり、その中で田村さんがベースをソロで弾くのが恒例になっているのですが、何のライヴでかは忘れてしまいましたが、ここのベースのリフを演奏していたのを聴いたことがあります。すごい印象に残るベースのリフですよね。

 

その後、草野さんのボーカルが入ってくるのですが、やはりインディーズ時代の草野さんのボーカルは、今と雰囲気が全然違って聴こえます。曲が曲なだけに余計に、ちょっととぼけた感じに聴こえてきます。どこか、甲本ヒロトっぽく聴こえるところもありますね。ブルーハーツ時代のヒロトも、例えば【TRAIN-TRAIN】とか【リンダリンダ】など、力強く歌っている歌が多い一方、力を抜いて歌っている歌なんかは、優しくもちょっととぼけた感じに聴こえることがあります。

 

それから、サビで「パーパーパパ―パパーパー」というコーラスが入るのも印象に残りました。このコーラスについてですが、よく聴くと女性の声も聴こえてきます。クレジットによると、コーラスの欄に”アサコ&サナエ_CHICKS”とあります。

 

今回調べてみて初めて知ったことですが、CHICKSというバンドは、アニメ『キテレツ大百科』のオープニングテーマソングである【すいみん不足】を歌っていたバンドだそうですね。「すいみんすいみんすいみんすいみんすいみん不足」という歌詞が今でも記憶に残っています、ぶち懐かしい笑

 

とにかく全編が派手で、楽しそうな雰囲気を感じる曲です。特に、アウトロ辺りは、まるでお祭りみたいに、かなり自由に盛り上がっています。そして、この頃からもうすでに、メンバーの演奏技術の高さを感じることができます。

 

 

 

■という感じで、さすがインディーズ時代、曲の感じはかなり今と印象が違って聴こえるのですが、やはり一番注目したいのが、歌詞の部分です。

 

ただし、結論から言ってしまうと、どういう意味なのか、さっぱり分かりません笑 本当に難解です。なので、これで終了!で(あきらめて笑)もいいかなとも思えましたが、ここはスピッツ大学…一番はやはり、歌詞の解釈にこだわってやってきたつもりなので、頑張って語ってみたいと思います。これこそ、色んな解釈ができそうな歌詞なので、皆さんの解釈も聞いてみたいですね。

 


そもそも、草野さんの書く詩のテーマとしては、よく「セックスと死」というものが挙げられます。特に、それは初期のころの楽曲に顕著だと個人的には思っていて、極端にいうと、”性”か”死”か、大抵の曲はどちらかに分けられるのではないかと考えています。

 

で、今回の【353号線のテーマ】についてですが、とても不思議な歌詞であり、”性”の方向にも、あるいは”死”の方向にも、解釈が進められそうだなと感じたので…というより、どちらにも絞ることができなかったので…それぞれの方向に向かって、別々の2つの解釈をしてみました。

 


①”性”の解釈

 

こちらの解釈に進むきっかけになった歌詞として、サビの部分がまず挙げられます。

 


裸になれたらいいな
きのうよりはずかしくても
僕らのうたは止まらない

 

この辺りの歌詞が、何やらイヤーンだなと思いました。”裸”とは、文字通りに”裸”と捉えても良いですし、お互いの素を見せ合うという意味での”裸”と訳しても良さそうです。

 

”きのうよりはずかしくても”…例えば、付き合い初めの男女でしょうか、少しずつ愛を深めていって、いよいよ初めてのイヤーンにたどり着いた、という感じにも読めます。

 

”僕らのうた”…ここの”うた”は、例えば、”喘ぎ声”の隠語と捉えてみるとどうでしょうか。

 

…という風に流れで考えてみると、ここはイヤーンな行為について歌っていると読むことができるかもしれません。

 


こういう解釈に一旦至ってしまえば、冒頭の

 


月まで続いてそうな
坂を登りつめたあとは
地獄の入り口みたいな
真暗な森に入った

 

という謎の歌詞も、何となく”挿入”の描写に読めてしまいました。

 


②”死”の解釈

 

個人的には、こっちの解釈の方がしっくりきています。1番のAメロは、どうしても男女が2人で死に場所を探しているように読めて仕方がありません。個人的には、何となく【死神の岬へ】を思い出させるような歌詞だなと感じました。

 


月まで続いてそうな
坂を登りつめたあとは
地獄の入り口みたいな
真暗な森に入った

 


缶ジュースを飲みたくて
車を止めて探したよ
だけどもここでは多分
空き缶さえ見つからない

 

草野さんの書く歌詞の中に出てくる”丸い物”は、”死”の象徴として描かれていると言われています。

 

とすると、いきなり冒頭で”月まで続いてそうな”という歌詞が出てきますが、これこそまさに、”死”に近づいて行っている、と読むことができるかもしれません。

 

あとは、”地獄の入り口”とか”真暗な森”、続く歌詞として、”空き缶さえ見つからない”などの部分は、どこか俗世を離れていってる感じがします。

 


2番のAメロでも、なかなか意味深です。

 


小さくなってく僕ら
なんだかすごくいい気持ち
つまらない悩みごとに
二度と苦しむこともない

 

 

ここも、実は”性”の解釈としても読むことができそうなんですが…”つまらない悩みごとに 二度と苦しむこともない”というところで、やはり、悩みごとを”死”でもって解決させるという風に読むことができそうです。

 

”小さくなってく僕ら”という歌詞も、例えば、車ごと崖から落ちていって、崖下へ小さくなって消えていく様子も想像できそうですし、あるいは逆に、成仏した魂が空に帰っていく様子にも想像できます。

 


■ということで、はっきりとどちらかに絞ることができませんでしたが…さすが、インディーズ時代の謎曲ですね。

 

皆さんは、この歌からどんな物語を想像しましたか?”性”の解釈?”死”の解釈?はたまた、全く別の解釈でしょうか?

アルバム講義:Special Album『花鳥風月+』

花鳥風月+

Special Album『花鳥風月+』
発売日:2021年9月14日


■収録曲(→の先より、各曲の紹介へと飛べます)

 

01. 流れ星
→ 112時限目:流れ星 - スピッツ大学

 

02. 愛のしるし
→ 3時限目:愛のしるし - スピッツ大学

 

03. スピカ
→ 78時限目:スピカ (スピッツ大学ランキング 第1位) - スピッツ大学

 

04. 旅人
→ 87時限目:旅人 - スピッツ大学

 

05. 俺のすべて
→ 35時限目:俺のすべて - スピッツ大学

 

06. 猫になりたい
→ 126時限目:猫になりたい - スピッツ大学

 

07. 心の底から
→ 52時限目:心の底から - スピッツ大学

 

08. マーメイド
→ 176時限目:マーメイド - スピッツ大学

 

09. コスモス
→ 53時限目:コスモス - スピッツ大学

 

10. 野生のチューリップ
→ 188時限目:野生のチューリップ - スピッツ大学

 

11. 鳥になって
→ 105時限目:鳥になって - スピッツ大学

 

12. ヒバリのこころ
→ 145時限目:ヒバリのこころ - スピッツ大学

 

13. トゲトゲの木
→ 102時限目:トゲトゲの木 - スピッツ大学

 

14. 353号線のうた
→ 246時限目:353号線のうた - スピッツ大学

 

15. 恋のうた
→ 49時限目:恋のうた - スピッツ大学

 

16. おっぱい
→ 32時限目:おっぱい - スピッツ大学

 

17. 死にもの狂いのカゲロウを見ていた
→ まだ書いてません。

 


■1991年3月25日、スピッツは1st Single『ヒバリのこころ』と1st Album『スピッツ』を同時リリースして、メジャーデビューを果たしました。

 

ちなみに、そこからさらにさかのぼることおよそ3年半前、現メンバーの揃ったスピッツが、文化服装学園の文化祭で初めてライヴ出演したというところから、結成日としては1987年7月17日が位置付けられています。

 

なので、スピッツが結成からメジャーデビューまでに有した時間は、まぁそのままですが…およそ3年半だったということが分かります。

 


■ただ、スピッツ自身は、メジャーデビューというものには、そんなにこだわっていなかったということを、色んなところで語っています。例えば、書籍「旅の途中」の中でも、田村さんと草野さんは、それぞれ次のように語っています

 


 『イカ天』に出たバンドは次々にブレイクしていったが、そのままメジャーデビューしていく彼らを見て、かっこいいなとか羨ましいとかはまったく思わなかった。
 CDを出せたらいいな、とは思っていたけれど、プロになりたいとは思っていなかった。あの頃の俺たちにとっては、メジャーでCDを出すことが決してカッコイイことではなかった。むしろ、トンガっているイメージのある、インディーズで出すほうがかっこいいと思っていたからだ。

 

 …メジャーデビューすると、バンドの個性がねじ曲げられるんじゃないか。
 そういう思いも強かった。実際にそういうバンドを見てきたし、そういう話も漏れ聞いていた。

 


 メジャーデビューを焦る気持ちはなかった。
 メジャーデビューでデビューアルバムを作っている時も、インディーズで二枚目を作らないかという話よりもメジャーからデビューしないかという話が来たのが早かっただけ、という感覚だった。

 

スピッツはライヴバンドである」という想いを、メンバーが色んなところでよく語っています。前提として、ライヴがしたいという想いが一番強く、そのためにはCDを発表して名前を知ってもらうこと、そして、そもそも音楽を続けていくために…と考えた結果、メジャーデビュー自体が目的なのではなく、あくまでそれらを大切にするための手段に過ぎなかったのだと思われます。

 


■何はともかく、スピッツはメジャーデビューを果たしました。

 

どうやら先に音楽事務所をロードアンドスカイに決めて、その後、レコード会社をポリドールに決めたようです。

 

当時のポリドールのディレクターである竹内修という名前や、ロードアンドスカイの社長である高橋信彦という名前は、よくスピッツの書籍やCDのクレジットなどで見かける名前でもあります。

 

書籍「旅の途中」だったり、3050LIVEに付随しているDVDなどでも見かけますが、スピッツのメンバーやスピッツの音楽は、竹内さんや高橋さんを初め、周りの人たちに本当に愛され、また信じられていたことがよく分かります。

 


■ということで、時を現在に戻し、2021年3月25日。

 

スピッツは、メジャーデビュー30周年を迎えました。結成30周年の時もそうでしたが、メジャーデビュー30周年も同じように、自分が成し遂げたわけでもないけど、非常に感慨深く思っています。

 

世間的に、2020年よりコロナ禍が続いていることにより、たくさんのライヴが延期・中止になってしまい、決してミュージシャンや音楽業界としても明るいとは言えない時期が長く続いています。

 

そんな中で迎えた、メジャーデビュー30周年の記念の年ですが、それでもスピッツは精力的に活動をしています。

 

例えば、件のメジャーデビュー30周年記念日の2021年3月25日には、スピッツは配信シングル『紫の夜を越えて』を発表しました。個人的には、メジャーデビュー30周年記念…という感じは、曲からはあんまり感じ取ることはなく、やはりと言えばやはりですが、このコロナ禍への憂いの気持ちや、そんな困難な時代を生きている人々に向けて、という側面を強く感じました。

 

あと、これも楽しみですね、スピッツの新曲【大好物】が11月3日公開の映画『劇場版「きのう何食べた?」』の主題歌に選ばれました。これに関しては、今の所は映画の予告編で少しだけ聴けるのみで、続報を待つばかりですが、どんな形で発表になるのか、今から楽しみです。

 


■そして、2021年9月14日。Special Album『花鳥風月+』が発売になりました。これに関しても、シングル『紫の夜を越えて』と同様に、メジャーデビュー30周年記念的な側面が強い作品だと思われます。

 

さかのぼること、実におよそ22年前…1999年3月25日(奇しくもメジャーデビュー日)に、スピッツは『花鳥風月』というアルバムを発売させました。この作品は、いわゆる”普通の流れ”で発売になるオリジナルアルバムとは違っていて、Special Albumという風に呼ばれる特別な作品になっています。

 

Special Albumと呼ばれている所以としては、このアルバムが、アンチベストアルバムを貫くスピッツが、そのベストアルバムへのアンチテーゼとして発表した、カップリング集という形を取っているからなのです。

 

スピッツカップリング曲には、素晴らしい曲がたくさんあって、それらがまとめて聴ける『花鳥風月』は、”Special”の名前の通り特別な作品であり、かくいう僕自身も、スピッツカップリング曲に多く触れたきっかけになった作品でした。

 

『花鳥風月』は、もうこれはこれで完結した一つの名盤だったのですが、その発売から22年が経った今年、何と収録曲を増やして、新たに『花鳥風月+』と名前を変えて発売させるという情報が発表されたのです。まさに、寝耳に水のサプライズでしたね。

 


■しかも、その新たに収録される曲が、これまたすごかったんです。

 

先程紹介した通り、『花鳥風月』はカップリング集なのですが、カップリング曲以外にも、スピッツのインディーズ時代の楽曲や未発表曲なども収録されていました。

 

例えば、『花鳥風月』のラスト2曲には、【おっぱい】と【トゲトゲの木】という曲が入っているのですが、この2曲は、スピッツがインディーズの頃に発表したミニアルバム『ヒバリのこころ』に収録されていた曲でした。

 

ミニアルバム『ヒバリのこころ』が発売になったのは、1990年3月20日のことで、つまり冒頭で説明しました、結成~メジャーデビューの間の期間で発売されました。その収録曲を紹介しておきますと…

 

01.ヒバリのこころ
 (シングル曲&アルバム『スピッツ』収録曲)
02.トゲトゲの木
 (アルバム『花鳥風月』収録曲)
03.353号線のうた
 (アルバム『花鳥風月+』でメジャー後初音源化)
04.恋のうた
 (アルバム『名前をつけてやる』収録曲)
05.おっぱい
 (アルバム『花鳥風月』収録曲)
06.死にもの狂いのカゲロウを見ていた
 (アルバム『花鳥風月+』でメジャー後初音源化)

 

という感じでしたが、アルバム『花鳥風月+』の収録曲と見比べると分かると思うのですが、12曲目~17曲目がそのままミニアルバム『ヒバリのこころ』に入れ替わっていることに気付くはずです。

 

そして、多くの曲は、メジャーデビュー後も何らかの形でこれまでに音源化されて聴くことができたのですが、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】の2曲は、メジャー後初めて音源化されて聴くことができるようになりました。(厳密には、【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】は、映像作品『ジャンボリー・デラックス LIVE CHRONICLE 1991-2000』にて、2番だけライヴ映像で聴くことができます)

 


■ミニアルバム『ヒバリのこころ』について、もう少しだけ紹介しておきますと、まず、やはりインディーズ時代の作品だけあって、今はもう手に入れることはできなくなっています。リアルタイムで調べて見ると、とあるネットオークションでおよそ87000円で取り引きされていましたが、果たして…。

 

スピッツは、インディーズ時代には、カセットテープやソノシートなどで自主制作作品をいくつか発表しているようですが、その中でもミニアルバム『ヒバリのこころ』は、インディーズ時代に発売された唯一のCD作品であるようです。

 

どうやら、初回プレスで2000枚作ったようですが、再プレスされるほど売れなかったようなので、まぁ2000枚弱しか世には出回っていないんですかね。

 

書籍「旅の途中」の中にも、少しだけこの作品について語られています。

 


 「そろそろCDを出さないか?」
 ロフトがやっていたインディーズ・レーベル『ミストラル・ミュージック』から、という話だった。
(中略)
少なくとも、メジャーに行く前に、インディーズというステップを踏んで、スピッツのスタイルを示しておきたいという思いがあった。

 


 でも、『ヒバリのこころ』は売れなかった。
(中略)
 それよりも、当時の自分たちにとっては、いいCDができたということがうれしかった。音にも満足していたし、人とは違うものができたという手ごたえもあった。反響がなくても、時代が合わないんだろうな、くらいにしか考えていなかった。

 

など、『ヒバリのこころ』の話も含めて、インディーズ時代の古い話も入っていますので、「旅の途中」良かったら読んでみてください、面白いです。

 


■ということで、大変長くなっていますが、アルバム『花鳥風月+』の感想を述べていきたいと思います。

 

…と言っても、アルバム『花鳥風月』の記事はかつてスピッツ大学でも書きましたので、『花鳥風月』の部分はそちらに任せるとして、本記事は、『花鳥風月+』によって変わった部分を中心に紹介していきたいと思います。

 

itukamitaniji.hatenablog.com


まず、アルバム『花鳥風月+』に収録されている音源は全て、スティーブン・マーカッセン氏という、何ともすごそうな人による、リマスター盤となっています。

 

この人はあれですね、2002年にスピッツの1st~8thアルバムのリマスター盤が発売になったのですが、そのリマスターを手掛けたのも、このスティーブン・マーカッセン氏でした。要は、録音し直すのではなく、元々ある音源を音質よく生まれ変わらせるという感じですね。映画とかでもありますよね。

 

『花鳥風月+』の音源は、はっきりとクリアに聴こえるようになったイメージです。分かりやすいのが、音量が大きく聴こえますよね。これまでの『花鳥風月』やリマスター盤ではないオリジナルアルバムは、音量が少し小さく聴こえて、最近の高音質なアルバムと合わせて聴いていると、違和感があったんですけど、リマスタリングされたことにより、同じように気にせず聴けるようになりました。

 


■そして、何と言っても、ミニアルバム『ヒバリのこころ』に収録されていた曲たちについてですよ。やっぱり、この曲たちを聴けることが、『花鳥風月+』で一番楽しみな部分でした。

 

ちなみに、【トゲトゲの木】と【おっぱい】については、もちろんリマスタリングされていますが、従来の『花鳥風月』に入っていたものと同じでした。

 


ヒバリのこころ
これが表題曲になるんですね。ここからも、スピッツにとって、昔からこの【ヒバリのこころ】という曲を、特に大事にしてきたことがよく分かります。

 

イントロの疾走感は、メジャーバージョンとあんまり変わらないんですけど、何かボーカルが入ったところから、インディーズバージョンの方は、何かもったりしてる感じがしますね。疾走感というより、何かすごい丁寧に歌唱・演奏しよう頑張っている感じがします。

 

それから、サビに入る前のキーボードの音ですかね、「テテテテッテ」って聴こえてくる音が、何か気が抜けてちょっと笑えてきます。ちなみに、『花鳥風月+』の歌詞カードには、ミニアルバム『ヒバリのこころ』のオリジナルスタッフクレジットも載っているんですけど、そこには、マサムネと三輪テツヤのクレジットに、Keyboardと書かれています。

 

あとは、歌詞が変わっている部分が、何か所かあるようです。確認できたのは、”遠くでないてる”と”遠くで鳴いてる”、”緑のうた声”と”緑色のうた声”(どちらも”ミドリのウタゴエ”と歌っている)、あとがっつり変わっているところとしては、

 

<メジャーバージョン>

いろんなことがあったけど
みんなもとに戻っていく

 

<インディーズバージョン>

いろんなことがあったけど
すぐにもとに戻っていく

 

ここの”みんな”と”すぐに”ですかね。歌ってみた感じ、メジャーの”みんな”の方が自然な流れで歌える感じではあります。

 


【恋のうた】
スピッツのターニングポイントとなった曲として、パンクロックから転向するきっかけになった曲と紹介される曲として有名な曲ですね。

 

ただ、メジャー後はこの曲は2nd Album『名前をつけてやる』に収録されているのですが、このメジャーバージョンの【恋のうた】は、ひとつの完成形としてほとんど違和感なく聴けるんです。

 

それと比べると、インディーズバージョンの【恋のうた】は、言うならばスピッツの”変身の途中”という感じですね。まさに、パンクロックからスピッツロックへ、”ブルーハーツのコピー”から”スピッツらしさ”へ…「ああ、なるほどね、こういう感じでスピッツは変わっていったんだ」って、それを感じることができる、その狭間にあるような貴重な1曲です。

 


■あとは、何と言っても、メジャー後初音源化された、【353号線のうた】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】ですよ。

 

【353号線のうた】
まず、サビの”パーパーパパーパパパー”が頭から離れません。THE BLUE HEARTSに【パーティー】という歌があるのですが、その歌でもパーパー歌われているのですが、何かそれを思い出しました。

 

(※追記 調べて見ると、音源を発表した時期としては、THE BLUE HERATSの【パーティー】は1993年であるので、【353号線のうた】(1990年)の方が古いんですね。)

 

そして、やはりインディーズ時代の曲、歌詞の世界観がすごい。何となく、1st Album『スピッツ』に収録されている、【死神の岬へ】で歌われているような、”あの世への逃避行”的なイメージなのですが、どこか性的な部分も感じる、不思議な曲です。

 

そして、なぜ”353号線”なのでしょうか…。

 


【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】
まず、タイトルから謎です!この曲も、色々想像が浮かぶのですが、真っ先に僕が思い浮かべたのは、【ロビンソン】で歌われている、

 


片隅に捨てられて
呼吸をやめない猫も 
どこか似ている 抱き上げて
無理やりに頬よせるよ

 

という部分でした。カゲロウは、寿命が短い昆虫であり、数日~1週間しか生きられないとされています。そんなカゲロウを”見ていた”とは、つまり、人の死生について色々と想いを巡らせていたのかなと想像していますが、その辺りが、何となく上述の【ロビンソン】の猫の下りに似てるな、とも思ったんです。

 


いずれも、さすがスピッツのインディーズ曲、1st Albumや【晴れの日はプカプカプー】を思わせる、謎曲、奇曲です。この2曲については、また別に1曲ずつの記事を書こうと思っていますが、どのような方向性で書こうか、全く定まっていません…。

 


■アルバム『花鳥風月』を聴いていたのが、それこそ20年以上も前のことで、僕自身は中学生の頃でした。

 

ここのブログでも紹介していますが、自分にとって、『インディゴ地平線』と『フェイクファー』、そして『花鳥風月』の3作品は、カセットテープに吹き込んで何度も聴いた、いわばスピッツへとハマっていくその入り口になった作品たちです。

 

その中でも、『花鳥風月』は、収録されている曲がカップリング曲であり、その発表時期も非常に長い期間に渡っていたため、オリジナルアルバムとは違った雰囲気を纏った作品でした。

 

今回『花鳥風月+』で、久しぶりに通してこの作品を聴きましたが、非常に懐かしい感じがしました。音も良くなっていて聴きやすくなっているし、何よりインディーズ時代の曲がたくさん聴けるなんて、名盤がさらにパワーアップしたという感じですね。

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    こんにちは、久しぶりにコメントさせていただきます。「花鳥風月+」本当に私も嬉しいサプライズでした。すっごく細かいところですが、「おっぱい」は「花鳥風月」にはなかったイントロが足されているような気がしてたんですがどうでしょうか?あまり今回のアルバムは情報が出回っていないので不安ですがマスタリング以上の変化があったように思えました。インディーズの解説楽しみしております。

スピッツ大学学長が今の気分で本気で選んだ スピッツカップリング曲BEST10

花鳥風月+

 

■平素より大変お世話になっております、スピッツ大学学長のitukamitanijiでございます。皆さん、お元気ですか?およそ、2ヶ月ぶりくらいのブログ更新になります。

 

リアルタイムで現在、2021年8月22日…またコロナウィルスが猛威を振るってきましたね。私が暮らす広島県広島市)でも、コロナ感染者が、日ごとに最多記録を更新し続けています。嬉しくない記録更新です。

 

まぁ、僕自身はずっと変わらず、基本は引きこもり、めったに出かけたりすることはないので、生活としては変わらないかもしれませんが、仕事の方には、さすがに影響が出そうです。

 

どうか皆さん、気を付けてお過ごしください。

 

 


■さて。

 

いよいよ迫ってきましたね、アルバム『花鳥風月+』の発売日!…と言っても、発売日は9月15日なので、まだ3週間以上もありますが…。

 

アルバム『花鳥風月+』のことを、少し紹介しておきますと、スピッツはかつてスペシャルアルバム『花鳥風月』という、カップリング曲を収録したアルバムを発表しました。それからおよそ22年後の今年、そのアルバム『花鳥風月』に、インディーズ曲を追加した新たなアルバム『花鳥風月+』を発売させることになったわけです。

 


ということで。今回の企画は、もうタイトルにもなっていますが…

 

もうすぐ『花鳥風月+』発売記念
スピッツ大学学長が今の気分で本気で選んだ
スピッツカップリング曲BEST10

 

をぶちかましたいと思います。ここスピッツ大学でも、カップリング曲にフィーチャーした記事などを書いたことがないので、もうすぐ『花鳥風月+』が発売になるというこの時期に(+自分の手が今空いているので…)、僕が好きなカップリング曲BEST10を紹介してみよう、という企画でございます。

 

 

 

■ところで皆さん、スピッツのシングルカップリング曲…どんな曲があるか、全て分かりますでしょうか?ひょっとしたら、シングルごとに入っているカップリング曲を全て覚えている変t…失礼、優等生も居るかもしれませんが…ちょっとおさらいしてみましょう(主に、僕が振り返りたいだけ笑)。

 

スピッツカップリング曲一覧

 

ビー玉 (c/w 1st『ヒバリのこころ』)
ニノウデの世界 (c/w 2nd『夏の魔物』)
鳥になって (c/w 3rd『魔女旅に出る』)
マーメイド (c/w 4th『惑星のかけら』)
コスモス (c/w 5th『日なたの窓に憧れて』)
心の底から (c/w 6th『裸のままで』)
夏が終わる (c/w 7th『君が思い出になる前に』)
ビーフェイス (c/w 8th『空も飛べるはず』)
猫になりたい (c/w 9th『青い車』)
恋は夕暮れ (c/w 10th『スパイダー』)
俺のすべて (c/w 11th『ロビンソン』)
ルナルナ (c/w 12th『涙がキラリ☆』)
バニーガール (c/w 13th『チェリー』)
旅人 (c/w 14th『渚』)
うめぼし(Live Version) (c/w 15th『スカーレット』)
君だけを (c/w 16th『夢じゃない』)
仲良し (c/w 17th『運命の人』)

 

エトランゼ(TANAYAMIX)
愛のしるし(LIVE'98 Version)
   (c/w 20th『流れ星』)

 

ムーンライト
春夏ロケット
 (c/w 21th『ホタル』)

 

船乗り (c/w 23th『遥か』)
大宮サンセット (c/w 24th『夢追い虫』)

 

ガーベラ
放浪カモメはどこまでも(LIVE)
稲穂
 (c/w 25th『さわって・変わって』)

 

SUGINAMI MELODY (c/w 26th『ハネモノ』)
孫悟空 (c/w 27th『水色の街』)
三日月ロック その3 (c/w 28th『スターゲイザー』)
リコリス (c/w 29th『正夢』)
シャララ (c/w 31th『魔法のコトバ』)
ラクガキ王国 (c/w 32th『ルキンフォー』)
夕焼け (c/w 33th『群青』)
まもるさん (c/w 34th『若葉』)
オケラ (c/w 35th『君は太陽』)

 

花の写真
恋する凡人 (Live from SPITZ JAMBOREE TOUR 2010)
つぐみ (Live from SPITZ JAMBOREE TOUR 2010)
           (c/w 36th『つぐみ』)

ナイフ (Live from SPITZ JAMBOREE TOUR 2010)
シロクマ (Live from SPITZ JAMBOREE TOUR 2010)
       (c/w 37th『シロクマ/ビギナー』)

 

ラクタ (c/w 41th『みなと』)
悪役 (c/w 42th『優しいあの子』)

 


…疲れました、こんなにたくさんあるんですね(全部紹介しきれてますよね?)

 

ということで、この中から、Live Versionとか、何たらMIXみたいなのを除いたカップリング曲36曲の中から、ベスト10を決めました。(ちなみに、【恋する凡人】はライヴテイクが先にカップリングになったので、36曲に含まれています。)

 

ということで、ようやく今回の本題でございます。以下、結果発表です。皆さんも、自分のスピッツカップリング曲ランキングがあれば、それと比べながらご覧ください!

 

 

 

第10位 ガーベラ  
(シングル『さわって・変わって』カップリング曲)

ガーベラ

ガーベラ

  • provided courtesy of iTunes

 

これ、カップリング曲だったんですね、すっかり忘れていました…という感じの1曲でした苦笑。アルバム『三日月ロック』の収録曲という印象が強いです。シングル『さわって・変わって』には、カップリング曲が3曲も入っていてすごいお得ですね。シングルというより、EPって感じです。

 

【ガーベラ】は、スピッツ屈指の名バラードだと思うんです。歌詞の雰囲気とも相まって、夜の空を見上げているような、そんな壮大な広がりを感じる曲です。草野さんのボーカルって、高音はもちろんきれいなんですけど、この曲のAメロみたいな、低音の時々ちょっとかすれる感じの声も良いですよね。

 

 

第9位 ベビーフェイス
(シングル『空も飛べるはずカップリング曲)

ベビーフェイス

ベビーフェイス

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確かこれは、「身内を亡くした友人のために作った歌」とかなんか聞いたことがあるんですけど、情報が見つからない…何かで読んだ記憶があるんですが、間違っていたらすみません。

 

ただ、曲調は何かを祝っているような、明るく楽しい感じなんですけど、歌詞を読んでいくと、”星になったあいつも空から見てる”とか、人の死が垣間見える言葉があったりして、やっぱりそういう曲なのかな、と想像したりしています。この辺りのギャップが、秀逸というか狂気というか…。

 

まぁ、聴く時はあんまり気にしていないですけどね。アルバム『空の飛び方』にも収録されていますが(こちらはアルバムバージョン)、アルバムの収録曲として、中学生の頃にめっちゃ聴いてた記憶があります。

 

 

第8位 夏が終わる
(シングル『君が思い出になる前に』カップリング曲)

夏が終わる

夏が終わる

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調べて見ると、どうやらアルバム『Crispy!』に収録されたのが先のようですね。同アルバム収録の【君が思い出になる前に】をシングルカットする時に、この【夏が終わる】もカップリング曲として収録されました。なので、厳密にはシングルで初めて聴けたカップリング曲ではないですが…まぁ良いか。

 

タイトル通り、夏の終わりになると聴きたくなる曲ですね。AOR的な、大人な雰囲気が漂う曲です。

 

 

第7位 オケラ
(シングル『君は太陽カップリング曲)

オケラ

オケラ

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3rd Album『惑星のかけら』を彷彿させるような、ゴリゴリのグランジを思わせる曲です。実は、最初は割と苦手な感じの曲でしたが、今は【君は太陽】よりもこっち派です。

 

ある時期から、スピッツのシングルカップリング曲が、割と実験的な位置付けになってきて(確かどこかで、田村さんがそういうことを言っていた気がしますが)、シングルとはガラッと違う雰囲気の曲がカップリングに入っていたりするので、何かニヤッとします笑。

 

ただ、最近のシングルは、【猫ちぐら】しかり【紫の夜をこえて】しかり、配信が多くなってきたので、スピッツに関わらず(BUMPとかもカップリング曲好きだったんですけどね…)、カップリング曲を楽しむということがなくなってきたのが、何か寂しいです。

 

 

第6位 三日月ロック その3
(シングル『スターゲイザーカップリング曲)

三日月ロック その3

三日月ロック その3

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ここスピッツ大学で行ったランキング企画の中でも、カップリングでありながら第23位でした。カップリング曲だけに絞れば、これは第4位になります。ちなみに、第3位は【俺のすべて】、第2位は【恋する凡人】、第1位は…カップリング曲最強のあの曲です。分かりますかね?

 

スピッツファンに人気の高い1曲だという印象です。アルバム『三日月ロック』には、表題曲がなかったくせに、その後になって、その1とその2を華麗にスルーして、いきなり【三日月ロック その3】を発表するあたりも、面白いところ。

 

まさに、これぞスピッツ流のギターロックという感じの曲ですね。この曲は、ギターの音が好きなんですけど、特にAメロのブリッジミュート…って言い方が正しいんですかね、音が「ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャッ…」って鳴っているやつ、他だと、【晴れの日はプカプカプー】とか【潮騒ちゃん】とかにも出てきますが、音が気持ちよくて好きなんです。

 

 

第5位 リコリス
(シングル『正夢』カップリング曲)

リコリス

リコリス

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スピッツを聴きはじめて、もうすでに25年くらい経過しているんですけど、未だにスピッツの曲を聴いていると、新しい発見などに出会うことがあるのは、面白いところだと思います。

 

この【リコリス】も、そんなに聴いてなかった曲だったんですけど、記事を書く時になって、改めてこの曲がどういう曲なのか、この曲だけをエンドレスリピートで聴いていたことがありました。結局、どういう曲なのか(特に歌詞的な意味で…)よく分からなかったんですけど…そのまま眠ってしまって、眠っている間中ずっと頭の中で、【リコリス】が流れてしまった結果、起きた後もずっと頭の中で【リコリス】のサビの”ふーれーあーうーこーとーかーらーはーじーめーるー”が響いていました。

 

そういう洗脳効果(?)もあって、【リコリス】という曲が大好きになりました。ボーカルに何かエフェクトがかかっていて、天から声が響いている感じ、映像だったら白くかすんでいる感じのイメージです。アコギの音が印象的で、間奏のアコギとエレキギターとキーボードの音の混ざり合いがきれいです。

 

 

第4位 孫悟空
(シングル『水色の街』カップリング曲) 

孫悟空

孫悟空

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 スペシャルアルバム『色色衣』にも入っていますが、『色色衣』自体、草野さんが「ごった煮」と表現していたように、アルバム『ハヤブサ』やアルバム『三日月ロック』の後の、一番濃くおいしい部分が詰まった作品って感じで、かなり実験的な曲も多く入っています。今はもう廃盤になっている、『99ep』の曲とか良い曲ですよね。

 

そんなアルバムの収録曲でもあります、【孫悟空】ですが、とにかくかっこいい曲です。レゲェ調(?)で曲が始まったと思ったら、サビから一気にメロディックなギターロックに早変わり、このAメロからサビに切り替わるところが、めちゃくちゃかっこいいんです。さらに、大サビまであるという、ダイナミックな展開が熱い曲です。

 

 

第3位 悪役
(シングル『優しいあの子』カップリング曲) 

悪役

悪役

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現時点では、一番新しいカップリング曲になります。今日紹介しているカップリング曲の全ては、Live Versionや何たらMixなどを除き、オリジナルアルバムかスペシャルアルバムに収録されていて聴けるのですが、【悪役】のみアルバム収録されておらず、シングル『優しいあの子』でのみ聴ける曲ということになりますので、聴いたことのない方はぜひ聴いてみてください。めちゃくちゃかっこいい曲です。

 

まだ記憶に新しい、【優しいあの子】の朝ドラ主題歌起用ですが、個人的な想いですが…確かに【優しいあの子】は良い曲ではあったのですが、どこか物足りなさを感じていたんです。率直に、もっとロックを欲していたんです。

 

そこに来て、シングルが発売になって、カップリング曲に【悪役】ですよ。そうそう、これだよ!ってな感じでしたね!にしても、タイトルだけ見ると、朝ドラ主題歌【優しいあの子】のカップリング曲に、【悪役】とはね。”優しい”と”悪”だなんて、何ていうひねくれなんだっていうね。A面でしっかりと国民的バンドのスピッツを見せつつ、B面で少し毒を吐くみたいな、そういう対比が面白い両曲だなという印象です。

 

最高にかっこいい曲です。もう、ギターのためにある曲って言って良いほど、ギターのフレーズがめちゃくちゃかっこいいです。疾走感が気持ちい良い曲なんですけど、パンクロックっぽさもあって、単純には括れない感じのおもしろい曲です。

 

 

第2位 バニーガール
(シングル『チェリー』カップリング曲) 

バニーガール

バニーガール

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僕がスピッツにハマったのは、今からおよそ25年前…小学5年生くらいの時に、最初は偶然でしたが、【チェリー】を聴いたことがきっかけでした。その後、しばらく経ってだったと思いますが、シングル『チェリー』を中古CDショップで購入しました。

 

当時は、まだ”カップリング曲”というものに対しては、ただ単にシングル曲のおまけ程度にしか考えておらず、特に気にしていませんでした。そういう時に、シングルのカップリング曲である【バニーガール】を聴くことになるわけです。で、めちゃくちゃかっこいいじゃないですか!何、”バニーガール”なんていうヘンテコなタイトルをつけながら、こんなかっこいいギターロックの曲は!?

 

なので、そもそも、カップリング曲はシングルのおまけなんかじゃなくて、もうカップリング曲自体が完成された、一つの素晴らしい楽曲なんだと、認識を改めた最初のきっかけが、この【バニーガール】でした。

 

何か、自慢げに言ってましたね。
「…あぁ、【チェリー】良い曲だよね。でも、B面の曲(最初はB面とか呼んでたなぁ…)の【バニーガール】も良いよね…え、何?知らないの?絶対聴いた方が良いよ(ドヤッ)」って感じに。

 

スピッツしかり、あと個人的にカップリング曲が良いなと思うのは、BUMP OF CHICKENとかね、シングル曲を平気で食ってしまうことあったりして、恐るべしカップリング曲!という感じです。

 

 

第1位 猫になりたい
(シングル『青い車カップリング曲) 

猫になりたい

猫になりたい

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やっぱりこれで、間違いないですね!超名曲、王道中の王道です!スピッツカップリング曲の中でも、知名度はトップクラスなのではないでしょうか。

 

ここスピッツ大学で行ったランキング企画の中では、全体で第11位でした。惜しくもBEST10入りは逃がしましたが、200曲以上あるうちの、しかもカップリング曲で第11位なので、さすがだなと思います。そして、カップリング曲だけに絞ると、見事第1位でした。やはり、スピッツファンにも人気の高い曲ですね。

 

草野さんの書く詞というのは、良い意味で回りくどいんですよね。古くは、シングル曲【裸のままで】において、”君を愛してる”なんていう直接的な言葉を使うことに抵抗を示していましたが、そんな風に直接的な言葉は使わないで、君への想いを表現したり、面白い例えを使って言い換えるというのは、草野さんの歌詞の特徴です。

 

例えば、【恋のはじまり】という曲では、恋のはじまりとして、普段は絶対にしないような行動として、”花屋のぞいたりして”と表現してたり、【恋は夕暮れ】なんてのも、”恋”というものを色んなものに例えています。

 

【アカネ】では”身体のどこかで 彼女を想う”、【仲良し】では”いつも仲良しでいいよねって言われて でもどこかブルーになってた”、新しい曲でいうと、【優しいあの子】でも、きれいな景色に出会ったその感動を、”優しいあの子にも教えたい”と歌って、あの子への気持ち(恋心)を表現していると考えることができます。

 

そして、今回の【猫になりたい】も…スピッツ大学では、”ストーカーソング”という解釈も紹介していますが、とにかく自分が思っている人と一緒に居たい、という気持ちを、”猫になりたい”と表現するところとか、まさに回りくどさ爆発じゃないですか!君と一緒に居たいだの、君が好きだの、あなたがくればいいのに、などと言えばいいのに、そういう直接的な表現を避け、”猫になりたい 君の腕の中”と言うところとか、草野さんらしい表現だなという印象です。

 

個人的な思い出としては、この曲との出会い自体はもう古く、それこそ中学生の頃…もう20年以上も前になるんですけど、そこから時が経って自分が大学生の時に、バイト先の人とカラオケに行った時に、先輩の女性がいきなり【猫になりたい】を選曲していきなり歌い始めたんです。

 

「え、先輩、スピッツ好きなんですか?【猫になりたい】知ってるんですか!?」と、テンションが上がって、そのままその先輩に恋に落ちていた…という思い出がおじさんにもあるんですよ笑。

 

…まぁ、そういう思い出補正もありつつ、まぁやっぱり歌詞の世界観の印象が強いですね。文句なし、大番狂わせなしで、この曲をカップリング第1位とさせていただきました。

 

 

 

■はい、ということでいかがだったでしょうか。

 

カップリング曲って、やっぱり良いですよね。あの、シングルが出る時って、割とそのシングル曲の方は、例えば、先にMVが発表されているとか、ラジオで音源が発表されているとか、映画やドラマなどの主題歌だったらそれで先に聴けるとか、要は、新曲と言えど、シングルを買う前から少しは聴いている場合が多いですよね。

 

そこへ来て、カップリング曲は、シングルで全く初めて聴くことが多いので、シングルを買う目的として、カップリング曲を聴くことはかなり大きいんです。

 

ただ、シングル曲をレコード盤で出すこと自体の需要が減ってきて、カップリング曲という概念、文化そのものが薄れてくるのは、何か寂しいですね。果たして、新曲の【大好物】は、どういう形で発売になるのでしょうか?

 

 

ところで、2019年にアルバム『見っけ』が発売になったのならば、3年周期の法則に則れば、来年に新しいアルバム発売!?【猫ちぐら】【紫の夜を越えて】が既に出ているので、【大好物】という曲を布石として、来年新しいアルバムの発売に期待しています!

 

ということで、まずはアルバム『花鳥風月+』楽しみですね!

最近のスピッツ 2021年4月~6月

■お久しぶりでございます、スピッツ大学学長のitukamitanijiでございます。僕は元気です。皆さん、お元気ですか?

 

現在、2021年6月20日…ちょうど本日、コロナ禍の影響により出されている緊急事態宣言が、沖縄県以外の9都道府県で解除されるということで、僕の暮らす広島も該当しているため、一応今日から緊急事態宣言が明けて、日常に戻るという感じです。…が、どうなるんでしょうね。またリバウンド→緊急事態宣言のループに戻る気もしますし…オリンピックは大丈夫なんでしょうか…とか考えると、まだまだコロナ禍は続きそうですね。

 

とりあえず、まだしばらくは様子見ということで、あんまり出かけないことを個人的には心がけます。基本、家に引きこもるのは得意なので、お家最高!ということで、個人的にはあんまりそれは負担にはなりません。まぁ、リアルに仕事が超忙しいので、暇がないだけなんですけどね。

 


ということで、久々のスピッツ大学での講義ということで…つまり記事を書きました。テーマは…特にありません!最近のスピッツのことについて…最近って言っても、4月~6月くらいのことで、気になったことをまとめてダバダバと書いてみようという、ただそれだけです。

 

では、よろしくお願いします。

 

***

 


44th Single『紫の夜を越えて』配信

 

2021年3月25日に配信されました、現在のスピッツでは最新曲になりますね。これより少し前に、これまた配信という形で発表されました、43th Single『猫ちぐら』とともに、昨今のコロナ禍という特別な時代を歌った、スピッツにとっても僕たちにとっても特別な曲になっています。

 

この曲に関しては、もうすでにスピッツ大学で講義済みですので、よろしかったら、詳しくはそちらをご覧ください。

 

itukamitaniji.hatenablog.com

 

【紫の夜を越えて】という曲は、何て言えば良いんだろう…聴くと元気が出るという感じでもなく、かと言って、暗い曲だとも思わないんですけど、ふとした時に聴きたくなるような、そんな不思議で面白い曲だなと思っています。

 

youtu.be

 

 

 

ロック大陸漫遊記にて、草野さんが自らスピッツ曲特集を行う

 

2021年4月25日、ラジオ番組「Spitz 草野マサムネのロック大陸漫遊記」において、何と草野さん自身が、自らスピッツ曲を選んで紹介するという、とても面白い回が放送されました。僕は、このことを後で知ったのですが、radikoでさかのぼって聴くことができました。その曲にまつわるエピソードなどを合わせて紹介してくださり、非常に興味深い回になりました。

 

ということで、その日のラジオ音源を文字起こししてみました。軽い気持ちでやり始めましたが、これがかなり時間がかかりました。一応、本記事のメインの内容ということで、長いですが、良かったら読んでみてください。

 

 

冒頭 企画説明

「さぁ、番組の今日のテーマですが、『自らスピッツ曲を選んで漫遊記』です。この番組、始まってから”スピッツ特集”みたいなことはあえて一度もやらなかったんですけれども、3年ちょいやってますので、そろそろそういうのもありかなと思いまして、自分で気に入ってる曲をセレクトしてかけていきます。この間出演しました、ミュージックステーションで、あいみょんさん、adiueさん、sumika片岡くんが、それぞれスピッツの推し曲を5曲選んでくれたりしてましたが、それを「歌ってる本人が選んだらこうなりました」って感じでお届けしてまいります。まぁその時々でお気に入りというのも変わるので、「自分で気に入っている曲2021バージョン」ってとこでしょうか」

 


漫遊前の1曲 渚 / コトリンゴ(カバー)

渚

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「今日は、スピッツ以外でいこうかな。スピッツの曲をカバーしてくれているやつ…あの【楓】とかはカバーしてくださる方がすごい多くって、最近だとそのadiueさんとか…上白石萌歌さんね、あと土岐麻子さんとかもカバーしてくださっていて、本当にありがたいんですけれども、あえてでも今日は外して、渚のカバーいってみようかな。これも、あの城南海(きずきみなみ)さんのと迷ったんですけども、コトリンゴさんのやつ、これがピアノの旋律がほんとに波打ち際な感じで素敵なんで、これを聞いてもらいましょう」

 


ハヤテ

ハヤテ

ハヤテ

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「この【ハヤテ】なんですけど、普通ポップな曲というのは、特に4小節単位でフレーズが続いていくことが多いんですけれども、この曲はAメロが3小節単位で進んでいくというのが、個人的には気に入っているポイントです。あとね、間奏のテツヤのギターのフレーズ(※実際に演奏が入る)このフレーズがすごい好きで、レコーディング当時はすごい忙しくって、スタジオの別室にこもって俺、作詞作業していたんで、テツヤのギターダビング作業に立ち会ってなかったんですよね。だから、これが入ったってのをあとから聞いて、「あっ、何かすげぇ良いフレーズ入ったじゃん!」みたいな、そういう良い思い出があります。亀田さんがプロデュースになってからは、歌詞は先に作って、レコーディングも、皆でせーので録音するようになったから、その辺もすごくかわったんですけどね、当時からね」

 


ナサケモノ

ナサケモノ

ナサケモノ

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「割と最近の曲ですが、この曲はサウンド的に良く録れたなと思ってまして、最近のレコーディングでもレスポンス用によく聴いています。あと、田村の家にあった…ベースのね、スピッツベースの田村の家にあった、キッチンタイマーの音をちょっと取り入れたり、色々楽しかった思い出と相まって、個人的に気に入っている曲です」

 


オケラ

オケラ

オケラ

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「この曲は『君は太陽』のシングルのカップリング曲で、リリース当時は結構地味な扱いだったんですけど、周りでもね、「あの曲良いよね、あの『君は太陽』のカップリングの…」とか言ってもらえて、今はかなりお気に入りの1曲です。あの、スピッツのロックサイドを代表する曲かな、曲の尺が短いってのも結構良いよね」

 

「この歌詞に出てくる、”えぐすぎるスライダー”というのは、当時ホークスに在籍して活躍していました、新垣渚投手が投げるスライダーのイメージです。で、打ち返すイメージは、ライオンズのおかわり君になったような気持ちで書いてましたけどね。でもこの曲本当『おるたな』っぽいよね。アルバムタイトルを象徴する曲だと思います」

 


ハチミツ

ハチミツ

ハチミツ

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「この曲は、ライヴでも結構やっていますが、これね当時新曲のアイデアとしてバンドで合わせていた時に、普段はあんまり褒めてくれなかった、当時のプロデューサーの笹路さんが、「この曲良いね!」って言ってくれたんですよ。「他にこんな曲やれるバンド居ないよ」って、すごく珍しくべた褒めしてくれたのが、すごく嬉しかった記憶があります。あの最初がね、あのこういう(※実際に弾いて歌って)こういうあの、カッティングだけで、それに乗せて歌うアイデアだったんですけども、テツヤがすぐに良い感じのアルペジオをつけてくれて、そのアルペジオのおかげで、すごくキラキラした曲になったと思いますね」

 


えにし

えにし

えにし

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「ここまでね、カタカナのタイトルの曲が、これでもかと続きましたので、ここらで平仮名いってみようかなということで【えにし】、平仮名です。この曲は、サビのメロディーを作った時に、何か良いのが出来たかも、と思って盛り上がって嬉しかった記憶がありますね。個人的には、アルバム『とげまる』の1曲目にしたいと思っていたのですが、まぁ色々考えて、みんなでミーティングとかもしまして、最終的に【未来コオロギ】が1曲目になったんだけど、まぁ今でも、ポテンシャル的にはこの曲アルバム1曲目でもアリかなと思ったりします。まぁその割には、ライヴであんまりやってないんですけどね」

 

「この曲はね、山崎のランチパックのCMでも使っていただきまして、それを機にランチパックの種類の多さというか、それを知りました。」

 

※ラジオ音源通り載せていますが、アルバム『とげまる』の1曲目は、【ビギナー】なので、草野さん間違ってしゃべってますね。

 


小さな生き物

小さな生き物

小さな生き物

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「これもね、まずサウンド的に良い音というか、好きな感じの音で録れたなという曲です。リファレンス音源として、今もよく聴いていますが、何ていうか、歌詞とかメロディーよりも、好きな感じの音で録れたかどうかっていうのが、やってる本人的にはめちゃめちゃ重要なんだなと改めて思います。あとは、この曲は思い出がありまして、『小さな生き物』のアルバムツアーで、1曲目だったんですよ。で、ライヴのね、何度か目に入ったお客さんでね、結構大泣きしている方がいらっしゃって、それが目に入ってきて、「え、泣いてくれちゃってるの!?」っていう、「絶対歌詞間違えらんねぇな」っていう、かなりプレッシャーを感じながら歌っていましたね。まぁでも本当にありがたいことなんですけどね。私ごときの歌で、そんなに感激していただいてね」

 

「ちなみに、リファレンス音源というのは、新しくレコーディングした曲の音の感じを、他の曲と比較するための音源という感じです。ちゃんと良い曲で録れているかなという確認のために、過去の自分たちのお気に入りの曲と比べるという、そういう曲です」

 


ちょっぴりタイムマシン 旅人 / ケリー・チャン(カバー)

為自已作証

為自已作証

  • KELLY CHEN
  • 広東ポップ
  • ¥255
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「今日掘り起こすのは、ケリー・チャンさんの【旅人】です。これはですね、当時香港でアイドル的人気スターだった、ケリー・チャンさんがスピッツの【旅人】という曲をカバーしてくださったシングル盤です。スピッツのオケをそのまま生かして、だから俺と同じキーで歌ってらっしゃいま。結構ハマってね、何度も家で聴いていました。最近動画を検索したらですね、最近のコンサートでもケリー・チャンさん歌ってくださっているみたいで、嬉しかったです。残念ながら、俺もメンバーもお会いしたことないんですけどね」

 

 

 

アルバム『花鳥風月+』発売決定

 

2021年9月15日(水)に、アルバム『花鳥風月+』なるものが発売になるという情報が発表されました。これに関しては、まさに寝耳に水でしたね。

 

スピッツは、既に発売しているアルバムを、改めてアナログ盤で発表するということをやっているんですけど、最初はてっきり、「あぁ『花鳥風月』もアナログ盤で発売になるという記事か…」とか思っていたら、「ん?”+”ってなんや…(記事を読んで)何!?収録曲を追加した新しいアルバムだと!?」みたいな感じで驚きました。

 


その『花鳥風月+』の収録曲についてはこちら。

 

01. 流れ星
02. 愛のしるし
03. スピカ
04. 旅人
05. 俺のすべて
06. 猫になりたい
07. 心の底から
08. マーメイド
09. コスモス
10. 野生のチューリップ
11. 鳥になって
12. ヒバリのこころ(新収録)
13. トゲトゲの木
14. 353号線のうた(新収録)
15. 恋のうた(新収録)
16. おっぱい
17. 死にもの狂いのカゲロウを見ていた(新収録)

 

11曲目までと、13曲目、16曲目は、従来の『花鳥風月』に収録されていた曲なのですが、それ以外は『花鳥風月+』になって新たに収録になる曲です。

 


で、その新収録曲の内容なのですが、なんとスピッツがインディーズ時代に発表したミニアルバム『ヒバリのこころ』の全収録曲を網羅した内容になっているようです。

 

ミニアルバム『ヒバリのこころ』のことを、もう少しだけ詳しく紹介しておきますと、この作品が発売になったのは、何と1990年3月21日のことのようです。スピッツのメジャーデビューは、デビューシングル『ヒバリのこころ』と1st Album『スピッツ』を同時リリースした、1991年3月25日のことであり、そこからさかのぼることおよそ1年前に、ミニアルバム『ヒバリのこころ』は発売になったことになります。

 

このミニアルバム『ヒバリのこころ』の収録曲は以下の通りです。

 

01. ヒバリのこころ
02. トゲトゲの木
03. 353号線のうた
04. 恋のうた
05. おっぱい
06. 死にもの狂いのカゲロウを見ていた

 

先述の『花鳥風月+』の収録曲と照らし合わせてみると、12曲目~17曲目が置き換わっていることに気付くはずです。

 

なお、ミニアルバム『ヒバリのこころ』の収録曲のうち、【ヒバリのこころ】はシングル化&アルバム『スピッツ』に収録されましたし、【恋のうた】は2ndAlbum『名前をつけてやる』に収録されています。また、【トゲトゲの木】と【おっぱい】については、もともとのアルバム『花鳥風月』に収録されています。つまり、この4曲に関しては、ちゃんと音源化されて、現時点ですでに聴ける状態にあるわけですね。

 

ただし、残る【353号線の歌】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】についてですが…これまで、ちゃんと音源化されることはありませんでした。【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】に関しては、実は『スピッツ ジャンボリー・デラックス Live Chronicle 1991-2000』という映像作品の中で、ライヴ映像で少しだけ(1番だけ?)聴くことができますが、これでも、ちゃんとフル音源で聴くことは叶っていません。

 

ということで、【353号線の歌】と【死にもの狂いのカゲロウを見ていた】については、メジャーデビュー後、初の音源化ということで、今からワクワクが止まりません。当然、新たなスピッツ曲の追加ということになりますので、発売後に聴いた暁には、ここスピッツ大学にて講義したいと思いますので、その時はまたよろしくお願いします。

 

itukamitaniji.hatenablog.com

 

 

 

SPITZ JAMBOREE TOUR 2021 ”NEW MIKKE”開催

 

spitz-web.com

 

2019年~2020年に渡って、スピッツはアルバム『見っけ』のリリースツアー『SPITZ JAMBOREE TOUR 2019-2020 ”MIKKE”』を開催…する予定でした。

 

しかし、昨今の新型コロナウィルスの感染拡大のため、2020年3月~7月に予定していたホール公演は、振替公演も叶わなくなり、中止という形で幕を閉じてしまいました。

 

これに関しては、メンバーや、ライヴ運営に関わった全てのスタッフ、そして、それに行く予定だったファンの方々…それぞれが皆、残念な想いをしたことでしょう。ツアーが”中止”になる…ということは、スピッツにとって、初めてのこと(?)でしょうか。

 

しかし、これと同時に2021年、『SPITZ JAMBOREE TOUR 2021 ”NEW MIKKE”』なる、新しいツアーが始まることが発表されたのです。要は、”MIKKE”ツアーは残念ながら白紙に戻しつつ、それでもその魂を引き継ぐ、”NEW MIKKE”ツアーを新たに始める、という発表でした。

 

まさに、2021年6月18日(金)…リアルタイムでおとといより、この”NEW MIKKE”ツアーが、神奈川県より始まったわけです。

 

僕は、このツアーに参加はしませんが、色んなことを乗り越え(ようとし)て、このツアーにまでこぎつけたことに関しては、とてもすごいことだなと、勇気をもらうばかりです。

 

話は少し逸れますが、音楽野外フェスとか、オリンピックとかもね、色々と賛否両論はある中の開催になると思いますが、それがたくさんの人に元気を与える結果になることを願っています。

 

 

 

2021年6月、今思うこと

 

先述のとおり、僕はツアーに参加する予定はないので…リアルタイムでめっちゃ忙しいのでその時間もないし、そもそもライヴに行く習慣もあまりないため…今まで通り、ひっそりとスピッツを聴いています。

 

最近、スピッツを聴いていて一番思うことなんですが、自分にとってスピッツ「日常」だなと。もう行き着くところまで来たなと思っています。スピッツを聴くことが、(良い意味で)全然特別じゃない、という感じです。

 

何ていうか、お腹が空けばご飯を食べるように、眠ければ眠るように、呼吸をしないと生きていけないように、ごく自然に、自分の「日常」に溶け込んでいるのを、最近特に感じるのです。

 


話はめっちゃ逸れるのですが…

 

僕が大学生の時、音楽サークルの友達(後輩)で、歌がめちゃくちゃうまい後輩が居たんですが、素人ながら僕はその子の歌のファンだったんです。しかしながら、彼女は歌うたいの道に進むことはなく、学校の先生になりました。

 

その子がよく使っていた言葉として、「日常に溶け込む音楽」というものがありました。”溶け込む”じゃなかったっけな…”寄り添う”だったか”~の中にある”だったか、もうよく覚えていません。とにかく、そういうものがあるから、学校の先生になりつつも、音楽を愛し続ける日々を過ごせるのだと、言っていたような気がします。

 

または、これまた話が逸れますが、恩田陸さんの小説「蜜蜂と遠雷」の登場人物の中に、高島明石という人が出てくるのですが、物語の舞台となっているコンクールの出場者のほとんどが、音楽の道を志している者なのに対して、この高島明石という人物は、「音楽の専業者だけではない生活者の音楽」というものを追い求めて、コンクールに参加するわけです。

 


多分これらのことは、スピッツとは全く関連のないことなのだと思いますが、何故か最近よく思い出すのです。

 

自分にとってスピッツは、「日常」なのだと。「生活の中に溶け込んでいる」のだと。じゃあ、四六時中お前はずっとスピッツを聴いているのか!?と…問われると全然そうではなくて、むしろ中学生の頃とかの方が、それこそ毎日聴いていました。

 

本当に気の向いた時…通勤の時に、時々仕事をしながら、休みの日に…といった具合に聴くスピッツが、本当に大事なんだなと、しみじみと思うばかりです。

 

 


■ということで、長々と書かせていただきました。軽く済ませようと思っていましたが、ここまで、リアルタイムで今日の朝からぶっ続けで書いています。今回はこれくらいにしておきます。次にお会いするのは、アルバム『花鳥風月+』が発売された後でしょうか。

 

ということで、またお会いしますよ!

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  • くろはる (id:kuroharu969696969696)

    初めてコメント投稿します。
    スピッツ大学でスピッツの歌詞についてアレコレ考えて楽しむことを学習しました!(笑)

    ミュージックステーションでadieuがスピッツと対談している姿を見て胸アツでした。以前、adieu(上白石萌歌さん)がスピッツファンっていうことを知ってから、彼女の独特の表現に惚れてadieuファンにもなりました(笑)

    上白石萌歌さんがJWAVEでやっているラジオがあるのですが、第5回(だったかな?)でスピッツファンの方をゲストに呼んで、「今日」好きなスピッツ曲3つをあげる、というコーナーをやってました。
    youtubeにあがっているので良かったら聞いてみてください!

245時限目:紫の夜を越えて

紫の夜を越えて

紫の夜を越えて

紫の夜を越えて

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【紫の夜を越えて】

 

■通算44作目のシングル曲です。2021年3月25日に配信リリースされ、同日にMVも公開になりました。

 

さかのぼること、(おそらく)去年2020年12月25日のこと…最初は、曲名は明かされませんでしたが、ニュース番組「NEWS23」の新エンディングテーマをスピッツが担当するという情報が出ました。

 

そして年が明け、2021年1月5日、新年1回目の「NEWS23」にて、スピッツの新曲【紫の夜を越えて】が、初オンエアされました。その1発目のオンエアで、僕はその新曲を聴くことができました。流れたのはほんの少しでしたが、やっぱり新曲が聴けたってだけで、とても嬉しかったです。

 

それにしても、【優しいあの子】が朝ドラの主題歌に選ばれた時も驚きましたが、今度はニュース番組ですか、何とまぁ幅広い活動ですよね。

 

言ってみれば、朝ドラとニュース番組って、割と対極的な位置にあるものじゃないですか。方や子どもから大人まで楽しめるような国民的な番組、方や世の中のリアルを映し出す社会派番組…スピッツは、どちらにもしっかりと振り幅を持っているバンドなんだと、改めて気づかされます。

 


スピッツの新曲が、「NEWS23」の主題歌に選ばれたことに関して、草野さんがコメントをされているのを見つけましたので、引用して載せておきます。詳しくは、下記のサイトをご覧ください。

 

natalie.mu

 


草野マサムネ コメント
「毎日当たり前のように夜11時からは「NEWS23」を拝見してきたので、スピッツの曲を使っていただけるのは不思議でもあり、大変光栄に思います!
新型コロナの影響で従来の価値観が揺らいで、社会全体が不安の霧で覆われそうな昨今です。
そんな日々の締めくくりに「NEWS23」を見て一喜一憂した後に、この曲を耳にされた方々が今後少しずつでも霧が晴れて、明るい方へ向かっていけるイメージを持ってもらえたらという思いで作りました。」

 

やはり想いを馳せておられるのは、新型コロナウィルス感染症により、自粛生活などを余儀なくされている我々の生活なのでしょうか。

 

気を張って皆が生活をしているように思える昨今…そういう日常の1日の終わりに、草野さんの優しい声、ひいては、スピッツの楽曲を聴くことは、草野さんがおっしゃるように、少しでも明るい気持ちで…というか、少しでもラクな気持ちで、1日を締めくくることができるかもしれません。

 


■さて、【紫の夜を越えて】がリリースされた2021年3月25日と言えば、スピッツがメジャーデビューして、実に30周年を迎える記念すべき日でもありました。

 

今から30年前…1991年3月25日に、スピッツは1stシングル『ヒバリのこころ』と、1stアルバム『スピッツ』を同時リリースして、メジャーデビューを果たします。

 

デビューアルバムに関しては、今はもう伝説の1枚ですよね。スピッツの一番マニアックなところが凝縮されている、まさしく1枚目にして1番の奇作だという印象ですが、紛れもなくここからスピッツの長い歴史が始まったわけです。

 


そんな、スピッツのデビュー30周年を記念して、色々な企画などが催されました。

 

例えば、「スピッツデビュー30周年 みんなで作った!スペシャルプレイリスト公開」と称して、1ヶ月間に渡って再生回数の多かった上位30曲をまとめたスペシャルプレイリストを公開するという企画。

 

選ばれた30曲は、以下のリンクの先にある通りです。

www.universal-music.co.jp

 

シングル曲ばっかりで、自分にとっては目新しくないなっていうのが率直な感想でしたが、まぁ別にファンサイトなどで行われたわけではないので、有名曲が並ぶのはしょうがないと言えばしょうがないですかね。

 

ちなみに、ここスピッツ大学で過去に行った、スピッツ大学ランキング企画の上位30曲は以下の通りです。特に、最近スピッツに興味を持ち始めた生徒は、ぜひチェックしてみてください。

 

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あとは、WOWOWにて、スピッツ特集が組まれました。

 

ファンの中からリクエストを募り、リクエストの多かったが曲MVを流すという特番「スピッツデビュー30周年記念MVコレクション」では、僕も後半をちらっと見ましたが、新旧問わず色んなMVが流されていました。ちなみに、この特番の最後で、新曲【紫の夜を越えて】のMVが、テレビ初公開されました。

 

それから、何と言っても「スピッツ 猫ちぐらの夕べ WOWOWスペシャルエディション」ですよ!

 

2020年11月26日に、東京ガーデンシアターにて行われたライヴイベント「スピッツ コンサート2020 ”猫ちぐらの夕べ”」の模様を、何曲かのカットはありつつも、余すことなく放映してくれました。僕自身は、この放送で初めて「猫ちぐらの夕べ」を見ましたが、スピッツマニアも喜ぶ、本当にレアな選曲で楽しめました。【魚】、【君だけを】、【ハネモノ】辺りは、特に個人的に嬉しかった曲たちです。

 


■そんな風に、デビュー30周年の節目の時期に、新曲【紫の夜を越えて】は発表されましたが、個人的にはこの曲自体からは、”デビュー30周年記念感”はあんまり感じませんでした。

 

例えば、結成20周年記念ソングはと考えると、個人的には【ルキンフォー】がイメージされますし、結成30周年ソングと考えると、これはもう言わずもがな【1987→】ですよね。

 

こんな風に、”結成”記念ソングとしては、結構印象深い曲はあるんですけど、ただこれが”デビュー”記念ソングとなると、あんまりイメージできる曲がないんです。例えば、デビュー20周年ソングって、何かありましたっけ?強いていうならば、アルバム『とげまる』収録の【えにし】とかでしょうか?

 

まぁとにかく、【紫の夜を越えて】という曲は、自分たちのデビュー30周年に想いを馳せた曲という感じには聴こえませんでした。それよりもむしろ、先述した通り、今のこの社会に向けて、この社会で懸命に生きる人々に向けて…という側面を強く感じました。

 


■ということで、この曲の個人的な解釈・感想について、紹介してみます。

 

まず、曲の感じとしては、ドラマチックだと感じました。印象的なギターのアルペジオからイントロが始まり、そこから静かに曲は進んでいくのですが、少しずつ音が増えていき、サビで一気に解放されるという展開…スピッツにはこういう曲は多いですよね。

 

ただし、決しておとなしい曲調ではないですし、歌っていることもそんなに暗いわけではないんですけど、個人的には明るい曲という感じはしませんでしたね。サビのドラムのリズムとかもそうですけど、どこか切迫感というか、追い立てられている感みたいなものを感じるところがあります。

 

個人的に思い出したのは、【さらさら】という曲でした。あの曲も、まぁ歌が発表された時期が時期なだけに…という理由もあるかもしれませんが、おとなしい曲調なわけではないけれど、どこか胸が苦しくなる感じ、個人的には鎮魂歌と表現しましたが、そういう部分を両曲に共通して感じました。

 


■では、歌詞について、少しずつですか紹介しつつ、考察してみます。

 

個人的に、この曲の歌詞の中に出てくる言葉として印象に残ったのは、”惑星”という言葉でした。もちろん、”紫”という言葉も印象には残ったのですが、個人的には、この歌の中では、”惑星”という言葉がキーワードになっていると思っていました。

 



君が話してた 美しい惑星は
この頃僕もイメージできるのさ 本当にあるのかも

 

まず、出だしの歌詞です。”君が話してた”という風に、いきなりの二人称の行動から曲が始まるのも面白いんですけど、ここに早速、”美しい惑星”という言葉が出てきています。

 

この”美しい惑星”というものについて、続く歌詞には”この頃僕もイメージできるのさ”とありますが、逆に考えると、この頃までは”美しい惑星”を”僕”はイメージすることができなかったということになります。”君”という人物の話を聞いて教えられて、あるいは、何か自分を取り巻く状況が変わったことで、僕はこの頃、”美しい惑星”のことをイメージできるようになった、ということになります。

 

スピッツの曲の中で、”惑星”という歌詞が使われている曲がどれだけあるのかは分かりませんが、すぐに思い出せるのは、個人的には2曲、【惑星のかけら】と…インディーズ時代の曲である【惑星S・E・Xのテーマ】でした笑。

 

両曲に出てくる”惑星”という言葉からは、エロティックというか、ファンタジーというか…何ていうか、特に過去に【惑星のかけら】の記事で書いたんですけど、草野さんの妄想が集まっている場所というか、そういう概念みたいなものだと感じました。

 

一方、【紫の夜を越えて】の歌詞に出てくる”惑星”という言葉からは、割とリアリティを感じました。”本当にあるのかも”という風な歌詞も出てきていますからね。

 

この歌に出てくる”僕”が、草野さん自身を指すのか、それとも、もっと広く万人を指す言葉として”僕”と表しているのかは定かではありませんが、紛れもなく草野さんが書いた詩であることを鑑みると、”惑星”という言葉に対するここら辺の気持ちの変移は面白いなって思いました。

 


■では、具体的に”惑星”とは何を指しているのでしょうか。

 

もちろん、ただ単に”惑星”=我々が暮らしているこの”地球”という惑星と訳しても、別に差し支えはないような気もします。

 

”惑星”…少し言葉を変えて、この”世界”だったり、”人生”と言い換えてみるとどうでしょうか。例えば、君との出会いによって、君と過ごす日々によって、惑星=(僕の)世界や人生は素晴らしいものだと、思うことができるようになったと、そう読むことができます。

 


ただ、この”惑星”という言葉に、ちょっと違う意味を感じ取った歌詞がありました。

 


紫の夜を越えていこう いくつもの光の粒
僕らも小さな ひとつずつ

 

ここの”いくつもの光の粒 僕らも小さな ひとつずつ”という歌詞についてですが、ここでひょっとしたら、”惑星”=我々人間を表しているのかな、と思うようになりました。

 

太陽のような恒星が放つ光を受けて、互いに距離を取りながらも、離れることなく恒星の周りを回る惑星…”僕らも小さな ひとつずつ”とは、そんな惑星の姿に、我々人間の姿を重ね合わせているのではないか、と感じたのです。

 

人間と人間が、距離を置いて生活をせざるを得なくなっている昨今の、ある種異常な生活だからこそ、なおさらその姿に惑星を重ね合わせているのかもしれない…と考えました。

 


とすると、再び冒頭の歌詞、

 


君が話してた 美しい惑星は
この頃僕もイメージできるのさ 本当にあるのかも

 

だったり、

 


袖をはばたかせ あの惑星に届け

 

などの部分での”惑星”も、やはり、人間を指しているのだと思えてきます。

 

前者では、君との出会い自体が、人の優しさだったり、人と過ごすことの素晴らしさを知るきっかけになったのかもしれないですし、後者では、自分の想いが、離れた相手(これを”惑星”と表現しているのか?)にも届くようにと歌っているのかな、と感じました。

 


■その他、印象に残った歌詞を紹介してみます。

 


いつも寂しがり 時に消えたがり
画面の向こうの快楽 匂いのない正義 その先に

 

この辺りは、まさしく今の社会の現状を風刺しているような歌詞ですよね。特に、”画面の向こうの快楽 匂いのない正義”という部分…実物に触れなくても手に入ってしまう画面(スマホやパソコンのディスプレイ)の向こうの快楽や、匂いのない正義…個人的には、ツイッターなどのSNSで振りかざされる正義を思い浮かべました。

 



紫の夜を越えていこう 捨てた方がいいと言われた
モリーズ 強く抱きしめて

 

ここは、歌われている内容としてはそのままだという印象ですが、スピッツファンならば、”メモリーズ”という言葉に反応してしまうはずです!

 


■あとは、タイトルにもなっている”紫の夜を越えて”という言葉について。

 

これは、もうすでに前に書いた記事でも触れたので、自分の記事を丸パクリします、苦笑。


そもそもこの歌に、”紫”という言葉を当てはめていることについてですが、その前にまず、これまでのスピッツの曲のタイトルや、その歌詞の中に”紫”という言葉がどれくらい使われてきたのか、ということを調べてみたんです。

 

その結果…実は、これまでのスピッツの全楽曲のタイトル、歌詞の中に、”紫”という言葉が使われている曲は1曲もないんですよね。

 

何となく不思議な感じはしました。もちろん、赤や青などと比べると、紫という色は、あんまり日常でも使う場面は少ないかもしれませんが、1曲もないとはねぇ、意外でした。


ということで、今回の曲で”紫”という言葉が初めて使われたわけですが、さらに色々とネットで調べていくと、”紫”という言葉に対して草野さんがどういう印象を持っているのかが分かりました。

 

草野さんが”紫”という言葉に持っている印象…ずばりそれは、”孤独”であるようです。いつだったか、音楽雑誌にてそう語ったことがあるようです。

 

とするならば、”紫の夜”=”孤独な夜”と、安直にですが読み取ることができ、それを”越えて”とくれば、やはりこのコロナ禍により不安な気持ちに苛まれた人々が、不安な夜(日々)を越えて、また明るい日々へ向かっていけるようにと、願いがこもっているのだろうと、想像ができます。

 

ただ、先述した通り、(個人的な解釈ですが…)人々を惑星と例えることにより、距離を取りつつも、付かず離れずで我々人間たちは、こんな時代でも確かに、いくつもの”紫の夜”を越えて生きているのだと、そう歌ってくれているんだなとも思っています。

 

youtu.be

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  • 単なる凡人

    はじめまして
    NEWS23で、草野さんがインタビ受け手受けていましたね。紫の夜は、暗い夜から朝に向かっていく時の夜を紫と表現したみたいな事を言っていたと思います。
    別の歌番では、ニュース番組のエンディングというお題をもらっていたので、曲を作りやすかったとも言っていましたね。
    草野さん、NEWS23を毎日見ている番組に自分の曲を使ってもらえることも喜んでいましたね(どこかのインタビューで)。私も、もともと毎日NEWS23を見て寝る生活だったので嬉しい驚きでした。(NEWS23は、過去井上陽水の曲も使った事もあるので、spitzが使われるのも、そんなに意外でもないのかも)

  • Kaede

    修正ありがとうございます!80年代はいいロックバンドがたくさんあるんですね。
    私はまだ高校生でファン歴も4年と浅いものです。スピッツ大学を見て、知っていた曲がもっと好きになったり、新たに知らなかった曲が脳内ライブラリに追加されたりと楽しく拝見しています。最近ではレコードに興味があってちょうど紫の夜を越えてのアナログ盤を予約しました!本当に80、90年代に生まれていたかったと思う今日この頃です、!これからも講義楽しみにしています!

  • itukamitaniji (id:itukamitaniji)

    あまのがわさん
    コメントありがとうございます!何と、中学生ファンの方ですか!文章もお上手で、感心しています!

    知らない曲がたくさんあるなんて、スピッツの色んな曲との出会いがこれから待っているなんて、うらやましすぎますよ!僕も、もう一度全て記憶を消して出会いたいです。


    僕も、(小学生で好きになり)スピッツに本格的にハマったのが中学生の頃でした。僕にとっては、今から25年くらい前になりますが…。

    僕は、アルバム『フェイクファー』が子供の頃の記憶をもっとも思い出させる作品ですかね。表題曲である【フェイクファー】を、子供心に想像を色々と膨らませながら、何度も何度も繰り返して聴いたりしていましたね。

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2021年 スピッツの新曲が発表された件

■どうも、お久しぶりでございます。学長のitukamitanijiでございます。

 

ここで記事を書くのは、去年の7月ぶりになってしまいました。何なら、2020年も終わり、年をまたいでしまいました。そういうわけで、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 

さて、こんなに久しぶりに、ここで記事を書きはじめた理由は、他でもありません…スピッツの新曲についてです。

 

※ということで、スピッツの新曲について語っていきますが、ネタバレ(そこまでなっていないと思いますが…)などが気になる方は、すみませんが、ここで読むことを止めていただきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

■振り返ってみると、初めて自分が情報を確認したのは、12月25日のことでした。

 

何と、2021年からニュース番組「NEWS23」のエンディングテーマソングとして、スピッツの新曲が使われることになったのです!具体的には、1月4日の当番組にて初OAされるとの情報でした。

 

そしてさらに時が経って、まさに今日(1月4日)のことになりますが、その新曲のタイトルだったり、草野さんと、番組のメインキャスターである小川彩佳さんのコメントなどが公開されました。

 

natalie.mu

 

一先ず、新曲のタイトルは、【紫の夜を越えて】ということが分かりました。そして、草野さんのコメントのみ引用させていただくと、以下の通り。

 


毎日当たり前のように夜11時からは「NEWS23」を拝見してきたので、スピッツの曲を使っていただけるのは不思議でもあり、大変光栄に思います!
新型コロナの影響で従来の価値観が揺らいで、社会全体が不安の霧で覆われそうな昨今です。
そんな日々の締めくくりに「NEWS23」を見て一喜一憂した後に、この曲を耳にされた方々が今後少しずつでも霧が晴れて、明るい方へ向かっていけるイメージを持ってもらえたらという思いで作りました。

 

やはり想いを馳せているのは、去年から続くコロナ禍により、変わってしまった社会や我々の生活なのでしょうか。そのような生活や社会に対して、少しでも明るい気持ちになれるようにと、願いを込めたのだろうと察することができます。【猫ちぐら】が、そういう曲であったように…。

 


■聴く前からもうすでに色々と想像を膨らませているのですが、そもそも”夜”という言葉に、”紫”という色を当てはめていることについて、考えていました。

 

どうでしょうか、”夜”という言葉に、何かの色を当てはめるときに、”紫”という言葉が思い浮かびますかね?ちょっと不思議な感じがしますよね。

 

それで、色々と調べてみたんです。まず、これまでのスピッツの曲のタイトルや、その中の歌詞に”紫”という言葉がどれくらい使われたのか、どういう時に使われたのか、みたいなことが気になって調べてみました。

 

結果…実は、これまでのスピッツの全楽曲のタイトル、歌詞の中に、”紫”という言葉は一度も出てこないんですよ。


まぁ、確かに”赤”や”青”や”緑”みたいなメジャーな色に比べると、”紫”という言葉を使う場面って日常でも少ないですかね。


それでも、ただでさえひねくれ者のスピッツ、草野さんのことだから、一度くらいは使っているだろうと思ってたんですけど…一回も使ったことがないとは少し意外でした。

 


ということで、今回の曲で”紫”という言葉が初めて使われたわけですが、さらに色々とネットで調べていくと、”紫”という言葉に対して草野さんがどういう印象を持っているのかが分かりました。

 

草野さんが”紫”という言葉に持っている印象…ずばりそれは、”孤独”であるようです。いつだったかの、音楽雑誌にてそう語ったことがあるようです。

 

とするならば、”紫の夜”=”孤独な夜”と、安直にですが読み取ることができ、それを”越えて”とくれば、やはりこのコロナ禍により不安な気持ちに苛まれた人々が、不安な夜(日々)を越えて、また明るい日々へ向かっていけるようにと、願いがこもっているのだろうと、想像ができます。

 


***

 


■はい、ということでここからは、今しがた新年1回目の「NEWS23」にて、EDテーマソング【紫の夜を越えて】を、初聴きした後でございます。

 

てっきり、バラードかと思っていましたが、割とノリの良い曲でしたね。

 

また、この曲が何らかの形で、フルで聴けるようになった暁には、ここで改めて語りますので、よろしくお願いします。

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  • itukamitaniji (id:itukamitaniji)

    こつぶライダーさんへ
    コメントありがとうございます。【猫ちぐら】に関しては、まだ少しのんびり感を感じていましたが、【紫の夜を越えて】からは、一転して力強さを感じます。いよいよ、立ち向かって越えていく方向へ動き出す感じでしょうか。

  • こつぶライダー

    明けましておめでとうございます。
    今年もよろしくお願いします。
    新曲発表驚きました!コロナ禍での猫ちぐらの発表で、スピッツの優しさに触れましたが、そこから継続して曲作りをしてるあたりにスピッツの力強さを感じました。
    社会に敏感な草野さんだけあって、世間で抱くイメージに遠回りしながらも的を射る、痒いところに手が届く、そんな曲になると期待しています。(まだ聴いていないのでさっぱりわかりません笑)

244時限目:猫ちぐら

猫ちぐら

猫ちぐら

猫ちぐら

  • provided courtesy of iTunes

 

■2020年6月26日より、配信サイトやサブスクなどで配信された新曲です。

 

これまでの、スピッツの配信限定シングル(レコードが作られていないシングル)と言えば、【愛のことば -2014mix-】と【雪風】がありますが、【猫ちぐら】はどうなんですかね?レコードは作られないのか…そもそもシングルという位置づけになるのか…シングルだとするならば、43作目のシングルとなります。

 

さて、その【猫ちぐら】という曲ですが、作られた経緯などがとても特別なので、その辺りのことについて、まず紹介しておきます。

 


■まさに、確実に歴史に残るであろう出来事、未曽有のパンデミックになりました…2020年、新型コロナウィルス感染拡大。

 

世界中にコロナウィルスが拡大していく中、日本にもコロナウィルスが入ってきて、感染が拡大していきました。オリンピックの延期が決定になったり、学校が長いこと休校になったり、色んなところに影響が及びましたが、同年4月16日、緊急事態宣言が発令になったことをきっかけに、自粛モードはさらに加速…我々は家に閉じこもることを余儀なくされました。

 

このコロナ禍によって、クラスター発生の懸念から、音楽イベントやアーティストのライヴが次々と延期・中止になってきました。

 

それは、スピッツも例外ではなく、2019年~2020年に行われる予定であった、『SPITZ JAMBOREE TOUR 2019-2020 “MIKKE”』の3月~6月の各所公演を延期するという決定がなされました。スピッツメンバーはもちろん、関わったスタッフの方々、そして、そのライヴに参加する予定だったファンの方々等は、本当に残念な気持ちになっただろうと察します。

 


■そんな状況を憂いてか、スピッツが動きます。

 

大分さかのぼって、2013年9月14日のことになりますが、スピッツは横浜赤レンガパークという場所で、野外ライヴイベント『スピッツ 横浜サンセット2013』を行いました。このライヴの様子については、2015年に『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-』として劇場公開されたのですが、それ以降は映像化されることはありませんでした。

 

しかし、2020年5月15日、YouTubeのオフィシャルチャンネルにて、突如『スピッツ 横浜サンセット2013 -劇場版-』が無料公開されたのです。これに関しては、本当にサプライズで、多くのスピッツファンを喜ばせる結果となりました。

 

まぁ、これだけでも十分素敵な贈り物となったのですが、さらにスピッツの贈り物は続きました。

 


■2020年6月14日、草野さんがパーソナリティ―を務めるラジオ番組『SPITZ 草野マサムネのロック大陸漫遊記』のオンエア内での出来事でした。

 

当ラジオ番組の内容としては、ひとつのテーマを決めて、そのテーマに合った曲を草野さんが紹介していくというものなのですが、この日のテーマは、【日本のロック最盛期1999年で漫遊記】でした。

 

…実は、最近あんまり『ロック大陸漫遊記』を僕自身が聴いていなかったのですが、テーマが面白そうだと思い、久しぶりに聴きました。

 

時間になり、いつも通りの感じで番組が始まりました。番組コールがあって、この日の番組テーマが語られた後、通常であれば、まずそのテーマに合ったスピッツの曲を草野さんが流すところなんですが、そこで草野さんが、何とスピッツの新曲について語り始めたのです!そこの部分だけ、文字起こししてみると、

 


草野さん「…そして、漫遊前の1曲なんですけども、この話の流れだと、スピッツの99年の曲をかけそうなところなんですけれども、今日は何と新曲を聴いていただこうと思います。緊急事態宣言、前後含めて2ヶ月間くらい、ほぼステイホームで、俺らだけじゃなく世の中の人皆さん過ごされたと思うんですけども、スピッツ、リモートでどこまでレコーディングできるかっていうのをやってみまして、一度もメンバー同士顔を合わせることなく、時間差で音を重ねて、データのやり取りなんかで、結構できちゃうもんだなという感じで、何かできちゃったんで、今日はそれを聴いていただこうと思います。」

 

という感じでした。ごく自然に、つるっと語られた後、新曲が流れ始めたのです。この新曲こそが、【猫ちぐら】でした。

 


何と、メンバーが一度も顔を合わせることなく、データのやり取りだけで、全てリモートで作られた新曲【猫ちぐら】…もちろん、緊急事態だからこそ、こういうことに踏み込んだのでしょうけど、出来るものなんですね。

 

先述の通り、コロナウィルス感染拡大のために、家に閉じこもることを余儀なくされた僕らでしたが、そういう時間が長く続いても、家に居る間も少しでも気持ちを楽にしてもらいたいという配慮から、まぁライヴ映像の配信もそうですけど、スピッツは・草野さんは、スピッツファンのために、色んなことを考えて、音楽を作ってくださっていたのでしょう。

 

しかもそれを、大々的に「やります!」とか言わないで、さらっとやってくれるじゃないですか。もちろん、事前に告知があっても、十分嬉しかったはずなのですが、そこをさらっとやるところに、これまたスピッツらしさを感じたところでありました。

 

という感じで発表された新曲【猫ちぐら】でしたが、どういう形で具体的に音源化になるんだろう、と思った矢先、同年6月26日に配信限定(シングル?)の音源として配信されました。

 


ちなみに余談ですが…

 

おそらく、早めに番組を聴くことができた人たちだと思うのですが(放送時間が各地でずれているため)、ツイッターで、この日のロック大陸漫遊記でスピッツの新曲が発表になったというツイートを流していました。ツイッターは流れが早く予測不能なので、ネタバレ回避との相性が悪く、実際僕自身も、そのツイートを見てしまいました。

 

個人的には、あんまりこういう先んじたネタバレは好きではないんですけどね…新曲を公開するという告知がなかったのは、サプライズ要素もあったからだと思いますし、少し残念だったな、と思っています。各地のリアルタイムでの番組が、全て終わった後ならば良かったんですけどね…。

 


■さて、そもそもタイトルになっている、”猫ちぐら”という言葉についてなんですけど、意味を知らなかったので、wikiなどで調べてみました。

 

元々は、人間の赤ちゃんを入れるように作られた、わらなどで作られたゆりかごのことを、「つぐら」「ちぐら」などと言うんだそうです(どうやら、漢字で書くと、ちぐら/稚座のようです)。農作業をしながら、あぜ道にちぐらを置き、その中に赤ちゃんを入れてあやしながら、作業をしていたようです。

 

そこから、猫が暗く狭いところに好んで入っていくという習性を利用して、猫用に作られたのが「猫ちぐら」ということだそうです。新潟県や長野県などの伝統工芸品として有名のようです。

 

以下、猫ちぐらのイメージです。宣伝みたいになっちゃいましたが…なかなかシュールでほっこりします笑。 

www.nekochigura.com


ちなみに、タイトル自体に、”猫”という言葉が使われている曲は、【猫ちぐら】の他に、名曲【猫になりたい】がありますが、歌詞を探せば、スピッツの曲には、”猫”という言葉が出てくる曲がたくさんあります。いくつか紹介してみますね、曲名は当ててみてください!

 


片隅に捨てられて 呼吸をやめない猫も
どこか似ている 抱き上げて 無理やりに頬よせるよ

 


手を離したならすぐ
猫の顔で歌ってやる

 


近づいて 抱き上げて
ノドを鳴らす 子猫のような
望み通りの生き物に変わる

 


スズメのざわめき かためた木々も
野良猫 サカリの頃の歌声も

 


■では、【猫ちぐら】という曲についての、個人的な感想・解釈について語ってみます。

 

まず、曲の感じとしては、草野さんの弾き語りを、楽器隊お三方の演奏が優しく引き立てているような構成になっています。途中の間奏から、ドラムの音が加わってきて、少し曲の雰囲気が変わりますが、終始ゆったりとした曲調で曲は進んでいきます。

 

先述の通り、この曲がメンバー個々で録った歌唱・演奏を、リモートで重ねた曲であるということも影響しているのか、とてもシンプルな気がしましたが、草野さんのボーカルも、メンバーの楽器の演奏も、それぞれがしっかりと聴こえてくるような気がしました…まぁ、それはいつも通りですかね、それこそがスピッツの最大の魅力なんですが、曲が作られた経緯を知ると、何となくいつもより、それぞれの楽器の音が引き立って聴こえてきたのです。

 

こんな風に、直に顔を合わせることなく、新曲をレコーディングするという試みは初めてのことだったはずですが、素人の自分からすると、それでもこんな素敵な歌が作れるんだなと、ただ驚くばかりです。何たってそれでも、【猫ちぐら】はしっかりとスピッツの楽曲として出来上がっているわけですからね。

 


■それから、【猫ちぐら】という歌に込められた想いとして、個人的に受けとったものが大きく2つあったので、紹介します。



一つ目
「家の中に閉じこもっている人々の気持ちが、少しでも楽に、少しでも明るくなるように」という願い

 

こちらに関しては、歌詞を読んで…というより、この歌が作られた経緯や発表されたタイミングだったり、【猫ちぐら】というタイトルの響きなどから、受け取った想いでした。

 

先程から何度も言っている通りなのですが、当分の間、家から出ることを自粛しなければならなくなったり、仕事のやり方を変えなければならなくなった僕(ら)ですが、その間だからこそできることを探して頑張っているはずです。

 

しかしながら、ふとした時に感じる”自粛疲れ”…僕自身は元々が出不精なので、家で過ごすことはそんなに苦痛とは思わなかったですが、一番何が辛かったかって、「いつかこの自粛期間が明けたとして、普通通りの生活に自分が戻れるか」ということを考えた時でした。

 

そんなときに、スピッツのライヴ映像が発信されたり、新曲【猫ちぐら】が発表されたりして、本当に嬉しかったんです。引きこもり最高!ステイホーム万歳!…とあまり大声で言うことは憚られますが、本当に楽しい一時を過ごすことができました。やはり、スピッツという存在は、自分にとって大切なものなのだと、改めて実感しました。そして、それはきっと、草野さんの・スピッツの願いとも、一致していると思います。

 


二つ目
「いつか自粛期間が明けて、また再び外に出られる日がやってくるから、頑張っていこう」という応援

 

歌詞を読んだ感じ、やはりこちらの解釈に落ち着きました。歌詞を紹介しつつ書いてみます。

 



作りたかった君と小さな
猫ちぐらみたいな部屋を
斜め方向の道がまさか
待ち構えていようとは

 

まず、”猫ちぐら”という言葉が出てくる部分の歌詞です。ここを読んだときに、やっぱり草野さんの書く歌詞って、特別で不思議だなって思ったんです。

 

先述したとおり、”猫ちぐら”とは、つまり”猫の家”を意味する言葉なわけですけど、”猫ちぐら”という言葉をタイトルに使って、しかもこの時期に歌を作るならば、例えば、「家の中に居ても楽しいことはあるよー」「温かい生活を家の中で作ろうよー」「今はステイホームだよー」みたいな感じで歌詞を書くはずなんです。

 

しかし、歌詞を読んでみると…”猫ちぐら”は作りたかったけど、作れなかったんですよね。ということは、望んでいたけど作れなかったものを、タイトルに据えているということになるわけで、これはやっぱり視点がすごいと思ったんです、逆説的ですもんね。

 

”斜め方向の道~”の下りに関しては、予期せぬ出来事を表しているのだと思いますが、やはり今の時期だと、コロナウィルス感染拡大と捉えるのが自然だと思います。

 

あとは、別の解釈として少し思ったのは、”猫”とは気まぐれな動物の象徴ですよね。そして、”猫ちぐら”が作れなかった…つまり、”猫”がどこかに行ってしまったとして、”猫”を”君”として捉えると、”君との別れ”というものが思い浮かんだんですけど、やっぱり時期的に前者の解釈が強くあります。

 



続いた雨も小降りになってた
お日様の位置もなんとなくわかる

 

ここの歌詞が、個人的にこの歌の中で、一番印象に残っている部分です。この歌詞もすごいですよね。

 

”雨”とは、現在の僕らに降りかかる困難の象徴、そして”お日様”とは、その雨がやんだ後に出る太陽=困難が去った後の生活の象徴、という風に捉えると、この部分はやはり、今の困難がいつか過ぎ去って、元通りの生活に戻る(はずである)ことを願っていると考えることができそうです。

 

ですが、”続いた雨”は、まだ止んではいないんですよね。だけど、”小降り”にはなったんです。”お日様の位置”も、はっきりは分からないんです。だけど、”なんとなくわかる”んです。だから、元の生活に戻ることを願いつつも、まだもう少しかかるかも?という、何とも言えない曖昧な気持ちをも代弁してくれているような気がします。

 



驚いたけどさよならじゃない
望み叶うパラレルな世界へ
明日はちょこっと違う景色 描き加えていこう

 

ここの部分ももちろん、困難が過ぎ去って、元の生活が戻ることを願う気持ちが込められているとは思います。

 

ただ、”パラレル/parallel”という言葉が、平行という意味であるので、”パラレルな世界”は、”未来の世界”というよりは、どちらかというと、たくさん存在する”現在の世界”を意味していると思います。

 

こんなことを言うと、ファンタジーのような気がしますが、要するに、今の困難な生活が続くけど、少しでも自分のできることを探して行動し、代わり映えしない生活にも変化を見出していこう、という前向きなメッセージも受け取りました。

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  • itukamitaniji (id:itukamitaniji)

    なおみさん
    コメントありがとうございます。【猫ちぐら】は、タイトルとも相まって、のんびり感を感じる曲だという印象です。記事で書いている通り状況が良くなるようにだとか、良くなるように願っているだとか、そういうことを歌っている歌ではなく、あるがままを受け入れて、あくまでも少しずつ…と優しく背中を押すように、歌っていると思っています。

  • なおみ

    こんにちは。スピッツが大好きで、以前よりこちらのブログ拝見してます。とても深く考察なさっていて、そういう解釈があるのかと面白い記事ばかりです。
    その中でも今回の猫ちぐら、聴けば聴くほど最近ではウルウルっとするようになって・・。悲しい曲ではないのに何故だろうと思っていました。
    記事を拝見して、もうちょっと頑張ろうと励ましているような歌詞やメロディーが疲れた心に沁みていたんだな〜と深く共感しました!
    これからもブログ楽しみにしております。