レンタルサーバーやSSL関係のお役立ちコラム

さくらのホームページ教室

DNSの切り替え時に何がおこるの?サーバ移転時に気を付けたい事

サーバ移転は大変

あるホスティングサーバから、別のホスティングサーバへサーバ移転をしようとすると、たくさん行わないといけない事があります。

・新規サーバの開設、ドメイン追加等の基本的な設定の実施
・新サーバで利用するメールアカウントの設定
・ウェブサイトのデータ移行(あるいは新規作成)
・その他、付加機能があった場合も、システムとデータの移行

これだけでもなかなかの工数となります。

技術力が高い方にとってはさほど難しくなかったりすると思いますが、それでも煩雑な作業ではあります。そして、この最後にドメインとサーバの紐付けを切り替えるため DNSの切り替えを行う必要があります。

DNSの切り替えとプロバゲーション

DNSは大まかに、ドメインとサーバの紐付けをする役割と担う機能と考えてください。

DNSの切り替えには、ネームサーバそのものを切り替える方法と、ネームサーバはそのままだけど中の設定を変更するという方法がありますが、それはさておきDNSの切り替え時に、一時的にドメインの紐付けが不安定になり、新旧サーバのどちらにも接続される可能性がある期間が発生します。これをプロバゲーション期間と言ったりします。

インターネットは突き詰めると、ある4つの企業が持っているネットワークの塊が相互接続しているだけのものなのでネットワーク的に絶対の存在が存在しません。
※ ちなみにこの4つのネットワークのうち、3つまではアメリカの企業で、残り1つはNTTになります。

そのため、DNS切り替えは、それぞれのネットワークに実際に反映されるまで待たなくてはいけないという次第です。このプロバゲーション期間について、10年ほど前までは、1~2週間続くというのが定説でしたが、さくらインターネットでは48時間程度とご案内差し上げています。回線が太くなったために、このあたりの反映も早くなったという事でしょうか。

サーバの挙動について

ウェブサイトについて

DNS切り替え前にドメインでのアクセスを検証したい場合

WordPressやEC-CUBEのCMSだと、CMS側にドメインやURLの情報が格納されてしまうので、IPアドレスや(さくらのレンタルサーバの場合)初期ドメイン名での検証が困難な場合があります。

DNS切り替え前にドメインでの接続時の状態を確認したい場合は、Windows などPC側ののOSにhostsファイルというものがあって、そこで疑似的にDNSの切り替えを行う事ができます。設定は各OSで異なってくるので、インターネットで検索してみてください。

Windows10の場合
例えば、Windows 10 だと以下のパスにあります。C:\Windows\System32\drivers\etc\hosts
メモ帳などのアプリを管理者権限で開き、編集すればそのPCでだけDNSの切り替え後の状態を確認できます。

WordPressなど更新が頻繁なサイトについて

DNS切り替え後はプロバゲーション期間中は、新旧サーバにウェブアクセスがある可能性があります。

そのため、旧サーバで記事を更新したら、DNS切り替え完了後に記事が消えてしまっていた、というような事もあるので、なるべくこの時期の更新は控えるか、同じ内容を投稿できるようにしてください。

メールサーバの取りこぼしを防ぐために

DNSが不安定なプロバゲーション期間には、新旧両方のサーバにメールが受信される可能性があります。そのため、メールの取りこぼしを防ぐためには新旧両サーバのメールをチェックする必要があります。

このように、DNS切り替え時は1メールアドレスにつき2つ、新旧サーバ用にIPアドレス、あるいはさくらのレンタルサーバの場合は初期ドメインなどで分けて、メール受信設定を行ってください。

旧サーバのメールデータはPOP受信が必要です

もし今までIMAPで運用されていた場合、POPの受信で一旦メールデータをご利用PCにダウンロードする必要があります。

メールサーバにはさまざまな設定があり、メールデータの保存形式一つ取っても複数パターンあります。そのため、サーバ間でデータを移行する事は現実的ではなく、サーバ移転時は一旦、PCの旧サーバのデータはPOP受信でダウンロードする必要があります。

IMAPを利用していた場合のデータの受信方法
POP受信は受信フォルダのデータを受信します。

IMAPを利用していた場合の、受信フォルダ以外のデータの受信について、事前にIMAP接続でその他のフォルダに格納されているメールを受信フォルダに移動させれば、送信済みメールもお手元のPCにダウンロード可能になります。

まとめ

DNSに切り替える際は、新旧サーバどちらにでもアクセスされる可能性があります。どうしても制御はできないので、どちらのサーバにアクセスがあったとしても、問題が無いように十分に検討して移行計画を立てていきましょう。

Promotion

執筆

さくらインターネットでカスタマーサポートを担当。 さくらのレンタルサーバのお客様へ、サーバ運用の一助となるような記事を書いていきたいと思います。