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その日、俺はコース研究や最近頭角を現すライバルウマ娘達のレース観察を始めとした調査を行っていた。 レース出走後というのもあってライスとのトレーニングはお休みとし、たまには1人黙々と仕事をするのも悪くないななどと錯覚しだす程に根を詰めて研究に勤しんでいた。 これではライスに言った、無理をするな、なんて言葉の説得力が無くなってしまうなと、そんなことを考えていると、 扉のノックされる音が聞こえた。
どうぞー。と声をかけ変わらずPCに視線を移そうとした時、俺の目は大きく柔らかい黒色の耳を生やした可愛らしいウマ娘を捉えた。 まさしく俺の担当バ、ライスシャワーだ。
「お邪魔するね、お兄様。」
「いいけど、今日は休みだったよな?」
「うん、そうだけどなんとなくお兄様と一緒にいたくて… それにライスは読書するだけでお兄様のお仕事の邪魔はしないから…その…だめ、かな?」
「ああいや、何となく休みなのに来たのが気になっただけだ、ライスが仕事の邪魔をするだなんて思ってないから楽にしてていいよ」
良かった…と胸をなでおろすライスを見て、ほんと、ライスはいい子だなぁ…としみじみ感じたところで、やらなくてはいけない事を再び思い出し、それに取り掛かろうとした。
仕事の事を考えいた為に、この時点でライスのそわそわした様子や頬を少し淡く染めていたこと、いつ話しかけていいかタイミングを伺っている様子など様々なことを見落としていたのは俺の過失と言えよう。
そうしてライスが静かに本を読み始めて何分かたった頃、ひとまずの仕事を終えて息を付いたところ。この時始めてライスがやや挙動不審で有ることに気付き、此方から何かあったのかを聞こうとした、まさにその時。
それはまるで青天の霹靂、曲がり角から飛び出してくる小さな子供、路面電車を撮ろうとした時に現れるピースをしたママチャリ外国人。 要は予期のできない衝撃、アルマゲドン。 その鶴の一声が彼女の喉から響き出されたのだ。
「ねぇ、お兄様。」
「ん?何だライス。」
「うまぴょいって、何?」
文字通り、俺の天地はひっくり返った。
刹那、俺の生きている宇宙は地球を中心に太陽系や銀河が周りだし、水は上に落ち、木は喋り出した。脳内CPUは120%に張り付き、グラフィックボードは気化し、マザーボードは絶対零度を迎えた。
ウマピョイッテナニ?
うまぴょい?
「………URA決勝後にライブで歌うことだよ」
「ライスもそう思ったんだけど、違うみたいなの。お兄様は、知ってる?」
あ……………………終わった………………… 俺の人生は早くも終わりを迎えたようだ。 将棋で言うところの投了、チェスで言うところのチェックメイト、野球で言うところの33-4。いやまてでもしかしもしかしたらだが……… 本当にもしかしたらだが、実はほんの少しだけ、うまぴょいに関して風のうわさを聞きつけたことのあるライスさんが今この瞬間に存在するかもしれないいやそうでないと俺は完全に詰みであるわけであるがとりあえずライスの知識の有無を確認するべく観測を通じてライスの状態を確定させねばならない
「…………………ライスは少しでもうまぴょいについて知ってるのか?……」
「うーん、よく分からない。…お菓子かな?ほら、ライブの後で配られるお土産みたいな!」
ああああああああああああああああああああああああああああ くっそかわいい発想をしておられますねえええええええええええええええ 純粋無垢なライスに俺は感動しただが無意味だ。 これは……………俺一人で解決できる問題なのだろうか???????? 既に俺は諦めモードに達していかけたが、 ふと一つの考えがよぎった。
このまま純粋無垢なライスのままで大丈夫か?
よく考えてみて欲しい。これ程俗世の汚い部分に触れてこなかった幼気な少女が鬼畜共が跋扈する世の中に放逐され、この先生きのこれるのか、俺は一人の大人として、その責任を、いや義務を負わなくてはならないのではないか???
オーケー、俺も大人だ。腹を括ろう。
手始めにまずは性教育を始めねばならない。
「……いいか、ライス。」
「!はい!」
「世の中には男と女が居るよな」
「…はい。」
「男と女の違いってのは分かるか?」
「…えーと、男の人は体がガッチリしてて、女の人は柔らかい、みたいな?」
「ええとな、それもそうなんだが、からだの構z…ッ!」
この時、俺はライスの澄んだ瞳をモロに見てしまった。その凄まじい輝きと限りない透明さ、穢れ無き瞳の色、その全てに俺は自身の汚れを強く自覚してしまい、結果的に言えば、俺は日和ってしまった。 結果として、俺がこの話をすべきではない。俺の口から出たオブラートで包まれたような言葉ですら、それをライスが咀嚼してはならない。そんな考えが体全体頭全体を巡ってしまい、超入門編を挟み、後は齢の近い方に任させて貰おう、いや任させてくださいお願いしますとなってしまった。俺は大人失格だ… そうして紡がれた言葉はこれだ
「……キスをするとな、コウノトリが赤ちゃんを運んでくるんだ……」
許せライス……!俺にはこれ以上の説明は出来ないんだ…!
「……?お兄様?」
「まずこの時点で大丈夫か?」
「えーっと、お兄様。1つ疑問があるの。聞いていい?」
「…なんだ…?」
「この前テイオーさんとテイオーさんのトレーナーさんがキスしたって話を聞いた事があるの。そうしたらテイオーさんに赤ちゃんが来るってこと?」
……………………………………終わりだ…… すべての終わりだ。そうか…俺はATフィールドを無くし肉体はLCLと化して全てと一体化するんだそうに違いないいやそうでないと困る…………どうして溶けないんだよぉ!!!!!! どうして!!!!!!!!!!!! ああ!!!!!!!! 狂う!狂う!クレラップ!狂う!狂う!狂う!狂う!狂う!狂う狂う狂う狂う!クレラップ!
そうして俺は石灰と化した脳内で戯言を発するのだ。
「…花の受粉って知ってるか…」
「…う、うん。」
「…アレの人バージョンだ……」
「…えっと、それってどういう」
「それはだな!!!人にも雄しべと雌しべがあ……」
過去から学ばない人に未来は無い。 こんな言葉があれば俺がその起源として語り継がれてしまうであろう程に俺はもろにライスの潔白な視線をまた食らってしまった。もう結果は言うまでもないだろう。
ガラッ 「俺じゃなくて同級生に聞いてくれえぇぇえええええええええ!!!!!!!!」
「えぇ!お兄様!?」
俺は光を置き去りにする走りをやってのけ、過去へと遡る。そうであれば良かった。光速度は不変だし、肉体はエネルギーになってくれない。俺には明日があってしまう。もういっそのこと今日は無かったことにしてしまおう。そうしよう!そうして俺は自室のホコリに名前をつけながら、弁当のパッキンに水を与え、床に溶けるのであった。明日はいい日になるかな?ゴルシちゃん。そうか、明日はアポカリプスか火の七日間かフォースインパクトか。俺は泥のように寝る。ライスはその上に蓮の様に咲いてくれ。お休み。
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やっぱり、ライスは悪い子です。 高校生のライスなら流石にうまぴょいの意味くらい、人に聞かずとも自ずと分かってきます。ですがふと、思いついてしまったのです。 ライスの小さい見た目ならお兄様がライスがうまぴょいを知らないと思ってしまうのではないのかと、そして、そのおかげで普段は冷静で、堂々としていて、凛としているお兄様が慌てたり、おどおどしている姿を見るれるかも、と。 勿論、そんなことをしちゃうのは悪い子だけです。でも、そんなお兄様も見てみたい、お兄様の違う一面も、この目に焼き付けたい、という好奇心にライスは負けてしまいました。そして、そんな様子のお兄様をライスは楽しんでしまいました。最後の様子を見るに、とっても困惑していた様に思います。 これ以上お兄様を困らせるのはライスも良くないと思うので、この話はライスの心の奥底にしまっておきます。本当にごめんなさい、お兄様。そして、今日のお兄様がとっても可愛らしく、愛おしいと感じてしまったライスがいる事もごめんなさい。でもご馳走様でした、お兄様。
やっぱりライスしか勝たんのよな結局。Vやねん!ライスシャワー!
(この作品にはいろいろなミームネタが盛り込まれてるので苦手な人はドッグフードを箸で蜂に上げてください。)
それではお楽しみください。
オダイバコ↓
https://odaibako.net/u/sasage_416c