pixivは2021年5月31日付けでプライバシーポリシーを改定しました。

推しに弱過ぎるアグネスデジタル

推しに弱過ぎるアグネスデジタル - カステラ3世(ベネ=カステラ)の小説 - pixiv
推しに弱過ぎるアグネスデジタル - カステラ3世(ベネ=カステラ)の小説 - pixiv
4,223文字
無防備栗毛シリーズ
推しに弱過ぎるアグネスデジタル
栗毛は淫乱。
全部アグネスデジタルが悪い。

今回で……えーーっと、第七走でしたっけ??

……みなさん、懸命に走るデジタルに拍手を送ってあげてください!!
続きを読む
54867210212
2021年9月16日 23:30


「——アグネスデジタル。お前のヘソを、舐めたい」

「……ふぇ?」

ある日の朝。

トレーニングのために部屋へとやって来た担当ウマ娘を一瞥、俺はそのまま地面へと額を擦り付けた。

「頼む!!!この通りだ!!!」

「え?……どういうこと?」

「おへそを、見せてくれ!!そして舐めさせてくれ!!プリーズ!!」

「……トレーナーさんがおかしくなっちゃったぁぁぁぁぁ!?」

頭を下げる俺、頭を抱えて叫ぶデジタル。トレーナー室は、朝から叫喚の渦に呑み込まれる。

……たしかに、おかしくなった自覚はある。だが、それ即ち、元はおかしくなかったのだ。

デジタルには、俺がタイトで素敵なトレーナーに映っていたことだろう。

そんな俺を狂わせたのは、目の前のこの栗毛だ。

ウマドルライブの応援練習かなんだか知らないが、……飛んだり、跳ねたり、目の前でチラチラと臍部を晒すからよくないのだ。これでは舐めてくれと言っているのと同義だ。良くないね。責任取ってね。

「一ペロでいい、一ペロだけでいいんだ……」

「そ、そんなこと突然言われてもっ……!?ああ、それより保健室にっ、トレーナーさん、保健室に行きましょうっ!!ね、ねっ!?」

「デジ子がヘソを舐めさせてくれたら治るんだよ!!」

「そ、そんなわけないですよねっ!?あとデジ子って何ですかぁ!?」

――デジタル、君が困惑する気持ちは分かる。痛いほど、よくわかる。……だが、こちらとて突如として身体の内に沸いた伊勢湾台風クラスの情欲に、ほとほと困り果てているのだ。

この脳が、……脳だけではない。身体中のあらゆる部位が、デジたんを求めて狂気に踊り叫んでいるのだ。

舌はデジたんのおへそを求め、鼻は匂いを求める。

……この距離からでもふわりと良い少女臭がするのだ、突き付けて匂えば、いわんや〜をや、と言ったところだろう。

あ、急にハグ欲も湧いてきた。身長150センチにも満たないデジたん、小さくて、それでいてパワフルなウマ娘ではあるが、……きっと、とてもとても柔らかい肌に違いない。

タケノコだって、大きく育てば硬くなってしまうが、新芽を地面から生やしたころは非常に柔らかく脆いのだ。

俺が抱きしめたら、きっと心地よい感触で全身を抱きしめ返してくれることだろう。

「……一生に一度のお願いだ。頼む、デジたん。お腹を舐めさせてくれ。あと、ハグもさせてくれると有難い」

「増えてるっ!?」

ガーン、という擬音が聞こえてきそうなほどに驚いた様子でのけ反るデジタル。……今更だが、相当ヤバイことを頼んでいるような気がしてきたな。

……学園にバレれば処分、……デジタルが理事長室に駆け込めば懲戒免職まで行きそうだな。うん。全然行きそう。

それでも目の前の少女は、ただその場でたじろぐばかりで、背を向けて逃げ出しはしない。

……こんなおかしなことになってしまった俺を、心配してくれているのだろうか。……心配しているのは俺じゃなくて、トレーナーがおかしくなったことによって今後のトレーニングに支障が出てしまう事かもしれない。

なんだろう、急に悲しくなってきた。

「はあ……鬱だ……」

「トレーナーさんの情緒がやばいっ!?」

――考えてみれば。デジタルとはトレーニングとレースを除けば学園外、つまりプライベートでは一度も関わったことがない。

俺は土日出勤当たり前だし、たまの休みも家で惰眠。デジタルは地方のライブへ出張。

……他のチームは、どうだろうか。桐生院さんとミークは、一緒にロデオをして遊んだらしいな。樫本代理も、担当の娘たちとツイスターゲームに挑戦してみたのだとか。筋肉痛全治1ヶ月。

……みんな、楽しそうだな……。

「……あのっ、トレーナーさん?元気ですか?……おーい……」

気が付けば、先ほどまでの、どちらかといえばコミカルな様相とは打って変わって、心配そうな表情のデジタルが至近距離まで近づいてきていた。

あいにくの身長差で、視角を変えなければ頭のリボンくらいしか瞳には映らないが。

少女が伸ばした小さな手が、ブンブンと目の前で左右に振れる。……この手でも良いかな……にぎにぎしたら柔らかいだろうなぁ……スキンシップが、したい……

「……はぁ……」

「っ!?なんで急に体育座り!?どゆことっ!??!?」

――だけど、デジタルの嫌がることはしたくない。この欲は、担当を悲しませてまで満たす欲ではない。

セクハラの切れ目が縁の切れ目。デジタルがそういう思想の持ち主ならば、喜んでセクハラさせてもらった。

だが、この娘は意外と身持ちが固いのだ……いや、身持ちが固いは嘘だな。結構チョロいと思う。

栗毛だし仕方のないことだ。

「……デジタル、さっき俺が言ったことは、忘れてくれ。あと暫く、俺を一人にしてくれ」

「……」

もっと、コミュニケーションの機会を増やすべきだったかな。ヘソを舐めるためじゃない、……思い返せば思い返すほどに、担当ウマ娘と親睦を深める機会が欠けていたのかもしれない。

「……そう、ですねぇ……。ちょっと、今日のトレーナーさんのテンションは、その、……あたしにとっても未知のもので、……そのせいで、混乱しちゃったんですけど」

「……すまん」

そうだよな、もっとデジタルの気持ちを考えて発言するべきだった。言葉もセクハラになり得るのだ。何と生き辛い世の中だろうか。

「……でも、デジたんは、……えーと、いつもワガママ聞いてくれて、練習日程を調整して、ライブにも行かせてくれて……だから、トレーナーさんには、すごく感謝してる、というか……。あの、……その、なんて言えばいいんだろ……。わかんなくなってきちゃった……」

「無理はしなくていい。全部俺が悪いんだよ……全部俺が……」

視界を少しだけ開くと、目の前にはアグネスデジタルの顏があった。困惑や、哀しみ……

他はよくわからないが、とにかく。色々な感情が入り混じった、そんな顔をしていた。

「……だ、だから……その……」

胸の前で、もじもじと指を擦り合わせている。

「恥ずかしいですけど、すっごく、恥ずかしいんですけど……デジたんのトレーナーさんなら。……デジたんに、ハグくらいなら、……いつでもしてくれて、いいです、よ……?」

その言葉に俺はガバリと顔を上げた。全身を激しく豊かに情熱的に、赤の血潮が駆け巡る。

これは現実か、それとも胡蝶の夢か。……デジたんがかわいいからどちらでもオッケー!!!

「……それで、へそは?」

「……へそ」

すまない、デジタル。これはお前が悪いよ。お前と栗毛が全部悪い。

そんな言い方をされたら、より求めてしまうのは当たり前ではないか。本能スピードである。

「へそは、どうなんだ?」

「……うう……うーっ………」

目の前の少女は暫く唸っていたが、やがて諦めたように、がっくりと頭を下げた。

「…………あたしのおへそ、好きにしちゃってください……」

「!?イエス!!デジたん、イエス!!愛してる!!」

「きゅ、急に情熱的にならないでくださいよぉ……照れちゃう……」

――元から赤みがかった頬が、更に真っ赤に染まっているのが分かる。

「だけど、先にシャワー浴びてきてもいいですか……?その、汗とか……」

「WHY!?!?!?」

「WHY!?!?!?はこちらの台詞ですからねっ!??」

何故だ。シャワーなど浴びれば、デジタル甘露が水で押し流されてしまうではないか。

……ああでも、お風呂上がりで火照ったホットデジタルも捨てがたい。なんだこの二者択一は……傾かぬ天秤、全く同じ重さの、分銅という名の享楽的シチュエーション。

どうすればいいというのだ、神よ。そうか、神は死んだのだ。アーメン。

そうして俺は気が付いた。——串カツの二度漬けはNGだが、デジタルの二度漬けは。オーケーなのではないか、と……

道は、自ら切り開くものだ。

「わかった。では、こうしよう。まずはデジタルをハグして、お腹を舐めさせてもらう」

「ファッ!?」

「それからシャワーを浴びてもらって、その後もう一度ハグとおへそを舐めさせてもらう。どうだ?」

「あたしの言葉の意図、何一つとしてトレーナーさんに伝わってないっ!?」

「哀しいな……言葉で伝わらないならボデーで伝えるしかないな……」

「無茶苦茶!!言ってることが無茶苦茶ですよっ!!」

「というわけでハグさせてくれ。アーメン」

「!?……う、うう……あたし、キリスト教徒じゃ、ないんですけどお……」

その言葉は、照れ隠しだろうか。

デジタルは驚くほどに無抵抗で、その小柄な体はすっぽりと俺の内に収まった。

……柔らかい、あと良い匂いがする。想像通りの、いや想像以上だ。

デジタルの息遣いが、鼓動が、身体の微かな振れが、何重にも折り重なって、甘くて蠱惑的な振動を、こちらの体へと運んでくれるのだ。

……うん、とっても、柔らかい。

「はあ……ウチにあるぬいぐるみよりも柔らかいぞ、デジタル……」

「……ふくよか、太ってる、……ってことです?」

「そうじゃなくて、……そうじゃないんだ。うん」

「よくわかんないですけど、……トレーナーさんがわかんないなら、仕方ないかなあ……」

そうして、初めは抱きしめられても強張っていたデジタルの身体が、少しこちらに重心を寄せてきた

「……やはり、栗毛は淫乱だったか……」

「雰囲気が……いや、あたしはそういうの、求めてない、決して、求めてない、ですけど……それ、風評被害ですから、ね……」

少女の呟きは、その殆どが密着した胸部に吸い込まれ、熱い吐息に変換されていく。

そう――栗毛は、淫乱。

そのトレーナーはいとも容易く、栗毛に狂わされてしまう運命なのだ。

寧ろ、よくぞ二年も耐えきったよ、俺。

そうして、こんな俺を受け入れてくれてありがとう、デジタル。流石は栗毛だ。

「なんだか、謗られてる気がするんですが……」

「謗ってないよ。あと、そろそろヘソを」

「……」

こちらにかける体重が、ひときわ強まった。

ヘソは、まだ準備ができていないらしかった。



シリーズ
推しに弱過ぎるアグネスデジタル
栗毛は淫乱。
全部アグネスデジタルが悪い。

今回で……えーーっと、第七走でしたっけ??

……みなさん、懸命に走るデジタルに拍手を送ってあげてください!!
続きを読む
54867210212
2021年9月16日 23:30
コメント
作者に感想を伝えてみよう

関連作品


好きな小説と出会える小説総合サイト

pixivノベルの注目小説