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3年間を共に駆け抜けた愛バ、タイキシャトルとのURAリーグ挑戦を終え一段落。 しばらくはレースも無く、トレセン学園も冬休みを迎えたある日。 学生は休みだが、教員と同じくトレーナー業に冬休みなんてものは存在しない。
取材スケジュールの調整や、テレビ出演、ドリームトロフィーリーグへの出走手続き、新設するチームメンバーのスカウト。 トレーニングの合間に少しずつやっつけていたとはいえ、URA優勝を経て一気に仕事が増えてしまった。 寒いグラウンドに出ず、温かいトレーナー室で仕事をできるのはありがたいが、賑やかな愛バがいないトレーナー室は、外から聞こえる練習中の生徒たちの声がよく響き、この部屋の静かさが浮き彫りになるような気がした。 結露で景色のぼやけた窓を眺めながら、愛バの寂しがりやな性格が少し移ってしまったのだろうかとコンビニの100円コーヒーに口をつける。
「ハウディー!!トレーナーさん!!」
学園指定のトレンチコートにマフラー、ニット帽とモコモコとした姿で、 部屋に漂うセンチな気分を吹き飛ばすように愛バ、タイキシャトルが飛び込んでくる。
日本の冬は寒いデスなんて言いながら完全防備の防寒具を丁寧に壁にかけていく。 そんな姿を横目に作業をしていると、タイキが近寄ってきた。 人懐こい彼女は、1人でウマホを見ることはあまりせず誰かが近くにいれば積極的にコミュニケーションを取りに行く。 コートに包まれ暖まった彼女の薫りがふわっと香れば、右肩にのしっと重みが加わる。 肩に顎を乗せこちらの手帳を覗いているのだろう。 この距離感の近さにも最初の頃は戸惑ったものだが、今じゃすっかり慣れたものだ。
「スケジュールいっぱいデスネ。」
「タイキのおかげだよ。」
「次のオンセン、まだ行けないデスカ?」
「そうだなぁ、取材がひと段落するまではお預けかな。」
「オアズケ……?」
「あー……、ウェイトフォーアモーメント、合ってる?」
「Wait for a moments? Hmm……、あ!少し待たないといけない、デスカ?」
「そうそう、そんな感じ。」
「オアズケ……オアズケ!覚えマシタ!」
ふんふん、と鼻歌交じりに肩にアゴを乗せたまま頬擦りしてくる愛バ。 いくらなんでも近すぎる、と頬ずりを拒否したことがあったが、本気で泣かれる手前までいったので2人きりの時を条件に許している。 ヒトであれば耳がある位置に生えた髪の毛が、ゴソゴソと耳を擦るのがくすぐったい。
頬を密着させながら肩越しにデスクの上の手帳をパラパラとめくっていく。 これからの予定を眺め終わったら、これまでの出来事を2人で眺める。 最初のうちはあの時はこの時は、とはしゃいでいたタイキだったが、 3年の時の遡るうちにタイキのページをめくる指はどこか淋しげに見えた。
「コーヒーでも入れるよ。」
声をかけると肩に乗った重みはスッと軽くなり、タイキはそっぽを向いている。 先程までの賑やかさが嘘のように、大風の去った海のように静かなタイキはコーヒーを淹れている間も曇った窓をぼんやりと眺めていた。
「入ったよ。砂糖とミルクも入れといた。」
「トレーナーさん。」
「ん?」
「トレーナーさんはワタシのこと、どう見てマスカ?」
普段の明るい調子を含みつつ、どこか試すような、しかし覚悟を決めたような視線。 しっかりとこちらを見据える双眼にテーブルに置きかけたマグカップは宙に浮いたまま、言葉に詰まってしまう。
コーヒーの水面に視線を落とす。
タイキは共に3年間駆け抜けてきた相棒で愛バで生徒で。 言葉に詰まったのは、彼女のことを少しでも異性として意識していた自分に気付かされたから。 もちろんそんなこと言えない。 いや、言えるわけない。
「どうってそりゃあ……。」
視線を落としたまま、止まったと時が動き出したように、宙に浮いたマグカップをテーブルに置く。 マグカップを置いた自分の手に細く整った手が置かれた。
「スチューデント、デスカ?」
コーヒーを置く姿勢のまま固まる。 前髪同士が触れそうな距離。 自分の少し上から至近距離で注がれる、普段のタイキからは想像もできない熱を帯びた視線。 空いた右手がマグカップを掴んだままの手に重ねられる。
冷静に平静に、寄せてくる熱に気づかないフリをしてなんとか言葉を返す。 とにかく、一旦この間合から離れないと。 マグカップから手を離し距離を取ろうとするも手首を掴まれる。
「1人のレディとして見てくれまセンカ?」
逆告白とも取れる言葉に掴まれた手首がどんどん熱くなる。 タイキは返答に困っている自分に一歩一歩と近づいてくる。 つられて自分も一歩一歩後退せざるを得なく、壁まで追い詰められる。
ポニーテールを解いたウェーブがかった美しい明るいブラウンの髪は、普段のスポーティーな印象とは違い、目の前にいるのが1人の女性としてたまらなく魅力的で、気を抜くとそのまま飛びついてしまいたい衝動のまま動いてしまいそうになる。
ジリジリと距離を詰めてくる。 身を捩るも空いた手でもう片方の手首を掴まれてしまう。 そのまま身を寄せてくるタイキシャトル。
豊満な肢体がしなだれかかる。 暴力的なまでに発達した双丘が自分と彼女の間で柔らかく広がる。 壁と彼女に挟まれて、ヒトより高いウマ娘の体温から発せられる熱と興奮に滾る体温で頭がクラクラしてくる。
「ワタシ、知ってマス。」
「トレーナーさんがガマンしてくれてるコト。最近、たまにですケド、エッチな目で見てるコト。」
「……ごめん。」
「ちがいます。ワタシとっても嬉しいんデス。」
耳にかかる彼女の吐息は高まった体温そのままの熱で耳元を通り過ぎる。 捕まったままの手が彼女の身体に引き寄せられ、細いアバラ、引き締まった横腹から背中を通り、若々しい弾力のある臀部に導かれる。
「サァ、トレーナーさん……、どうぞ……♡」
腰に招かれたままの手はタイキシャトルに導かれるまま、その豊かな臀部を這う。 手のひらから伝わる滑らかでしっかりとした柔らかい快楽。 このまま指に少し力を入れてしまえば、彼女はそれを受け入れ、自分もそのまま快楽に飛び込めてしまうだろう。
しかし、彼女はまだ未成年で。 自分は教え子たる彼女を守る立場の人間で。
「やめよう。タイキ」
優しく臀部を這わされる手を離し、やっとの思いで絞り出す。
「俺は、大人としてここから先へはいけない。」
手首を掴んだ手はアッサリと解かれた。 震える彼女の肩を掴み、身体を離し、絶望に染まる彼女の瞳をしっかりと見据える。
「そんな、ワタシの事……」
「違う、好きだよタイキ。好きだからこそ大切にしたいんだ。成人するまで、せめて卒業まで待ってくれないか。」
「……。」
「その時は、俺から伝えるよ。」
肩の震えが止まり、凄まじい瞬発力で抱きつかれる。
「トレーナーさん……」
「じゃあ、ワタシの事がキライというわけじゃ無い……デスネ?」
「そんなわけない。」
「ワタシのことが好き……ということデスネ?」
「……あぁ、好きだ。」
「……だったら良かったデス!!」
「ごめんな……誤解させて。 ……?」
身体を締め付ける力が強くなったと思った瞬間、両足が地面を離れる。 理解の及ばないままタイキはズンズンと部屋を歩く。
「え?おい、タイキ?」
「トレーナーさんにスキって言われたら……」 「もう我慢できマセン……♡」
「お、おい!?……うわっ」
宙を舞う感覚から背中に柔らかい衝撃が走る。 仮眠用に使っているソファーベッドだ。
まさか、タイキ……。 思ったのもつかの間、長い影が自分にかかり、下半身にしっかりとしたやわらかい重みがのしかかる。
「ホラ、日本のコトワザでも言いマスネ?スエゼン食わぬはオンナのハジ……デスヨネ!お互いスキならなんにも問題はアリマセン!」
「ちょっと違うぞそれ!?いや、問題あるからな!?トレーナーと担当ウマ娘だぞ!?」
「最初はユウワクして、ケモノになったトレーナーさんに襲ってもらおうと思っていマシタ……、でも、もうガマンの限界デス……♡」
獲物を狩る肉食獣じみた瞳が、たわわに実った峰の向こうからハッキリと自分を見据えていた。
「プランとは少し違いマスガ……、結果オーライ!デスネ♡」
「タイキ!どきなさい!」
女性らしい細さをもった肩に手をかけ渾身の力で押す。
「……?もしかしてトレーナーさん、押し返そうとしてマスカ?」
自分の掌に収まるような小さい肩、なのに、動かない。
「うっ……くっ……。」
彼我の力の差を理解ってしまったのか、こちらを見下ろす口元が愉悦に歪んだ。
「……ホラホラ♪ もっとガンバらないと、悪〜いウマ娘に食べられちゃいマスヨ?」
どんなに力を込めても動かなかった上半身が、徐々に徐々に倒れてくる。 妖艶な笑みを浮かべた顔がジリジリと近づいて、これから味わうご馳走を受け入れる準備をするように舌なめずりするのが見えた刹那、熱い何かが唇をこじ開け侵入した。
肉厚でぬめぬめしたそれは、何か別個の生き物のように口内を蹂躙し、それが舌を、頬の内側を、歯茎を、這い犯す度に脳が痺れる程の快楽が押し寄せる。
どれだけの時間、蹂躙を許しただろう。
歳下の、教え子がこんなテクニックを持っているなんて 酸欠状態の脳には酸素の代わりに快感が満ちており、呼吸が整うまで許してくれと、辛うじて互いの顔の間に手を滑らすが、簡単に捕まり二度目の蹂躙。
窒息寸前まで行われる責め苦が何度も何度も襲いかかる。 時間も感覚も曖昧になり、荒波の間に気がつけば、自分の腹に跨りながら、いそいそと衣服を脱ぐ愛バの姿が目に入った。
ここまで良い様にされて、今更後戻りが出来るわけない。 酸素の足りない頭で分かっていながらも、教鞭をとる者として最後の一線だけはなんとか守ろうと身を捩り、這い出ようと試みる。
ぎゅうっ……と自分を挟み込む柔らかな腿に万力のような力で締め上げられれば無様に呻くほか無かった。
「トレーナーさん……、もう諦めてクダサイ♡ぜったいぜったい逃げられないし、逃しませんカラ……♡」
耳元で甘く、淫靡な囁きが聞こえる。
「でも、必死で抵抗されるとお腹がウズウズします♡ガンバッてくださいネ♡」
カラッと切り替わるように、明るい口調であっけらかんと、とんでもないことを宣告される。 もう自分は食べられるしか無い、彼女の欲を満たすための供物なのだと理解った瞬間血の気が引いた。
「……その顔、最高デス。そんな顔されたら、モウ……♡」
瞳に差す情欲の色がより濃くなった。
「トレーナーさん……、壊れないようガンバってくださいネ……♡」
「タ、タイキ、ゴム、ゴムだけでも………んむっ!!」
翌朝
「………。」
「トレーナーさん……?」
「……。」
「朝、デスネ。」
「………。」
「次はできるだけセーブしマス……。」
「……おねがい。」
毛布で口元を隠しつつエヘヘと笑う愛バには昨晩の情欲に狂った獣の姿はなく、エアコンの生暖かい風が噛み傷だらけの全身に染みる。 ソファーベッドに敷いていたシーツは互いの体液でグチャグチャになっており、この分だとベッド自体も清掃する必要がありそうだ。 床には綺麗に形を保っているタイキの制服と、自分の着ていたワイシャツとスラックスの成れの果てと思わしきズタボロな衣類が落ちている。 どうにか片付けないと。 立ち上がろうとするも、身体に力が入らない。
「あ!トレーナーさん無理しないでクダサイ!ワタシ片付けます!」
あれだけ激しい動いていたのに、疲れた様子は微塵もなくベッドから飛び出し衣服や汚れたシーツを手際よく片付けるタイキ。 機嫌よく揺れる尻尾と、薄っすら筋の浮かぶ引き締まった背中を眺めていると猛烈な疲労と眠気が襲ってくる。
「……ごめん、助かる。」
「あとで一緒にシャワー浴びましょうネ♪今日はまだまだ長いですカラ……♡」
愛バの瞳に再び情欲の色が灯ったが、微睡みに沈みつつある自分には知る由もなかった。
毎回飽きずに同じような話書いてんなこいつってのは性の癖なのでご容赦を……。
キャラ崩壊と乱文で恐縮の至りですが読んでいただければ嬉しいです。
本当に筆が遅くて申し訳ないです。
いくつも並行して気分で書き進めてるからいつまで経っても書き終わらないんですよね……。
次回作はもう少し早めにお目見えできるかと思います。
前作も前々作に続きたくさんの方に読んでいただいて感謝感激恐悦至極です。
この場を借りて感謝申し上げます!
コメントいただけると死ぬほど喜びます。