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ササゲ
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キス魔、ライスシャワー - ササゲの小説 - pixiv
キス魔、ライスシャワー - ササゲの小説 - pixiv
4,021文字
キス魔、ライスシャワー
いつまでも
受け身だけだと
思うなよ
-ライスシャワー(字余り)
みたいなライスを書きたかっただけです。
キャラ崩壊に関しては熊の手でギリ届かないくらいのところにある背中の痒さと同じくらいの微妙さが売りの存在です。
庇護欲マシマシのライスをご所望の方はせっかくだから赤い扉を選びましょう。
それではお楽しみください。
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2021年9月10日 15:41

最近、ライスがおかしい。

いや、別に恒常的に精神状態がおかしいとかそういう話じゃない。 端的に言えばおかしい所は1つだ。

毎日、必ず、俺にキスしてくる。

例えば一昨日で言えば、トレーニングの帰り際に必死に背伸びしながら頬にキスを。 昨日は、暖房で暑く感じた故にシャツを捲った結果露出した二の腕に。 そして今日は、昼休みに一緒に弁当を食べた後に、首に。

それだけ毎日されてるなら防げるだろって? もっともな意見だ。しかしそれは不可能だ。 俺もある程度防ごうと身構えたり、後は注意を払ったりしたが、全てが無意味だった。 2年年とちょっとを過ごしてきた故か完全に隙を掴まれているというか、注意の外を縫うようにライスは飛んでくる。

そして、接吻。

からの、即脱出。

ほんとに即という程の急激な離脱。 やはりブルボンやマックイーンを差しきった脚だからか、凄まじい速さなのだ。 それ故、俺の些細な注意は、空を切るだけで、ライスの耳には届かないのだ。 それに俺も何回キスされても慣れないので、咄嗟に声を上げることもできないし、できたとしてもさっき言った通りだ。 まあライスも頬を大好物のりんご飴以上に赤らめてるのはお相子様といったところか。

なぜこんなことになったのかは、目星がついている。

多分春天皇賞だ。

菊花賞の時のように、相手の三冠がかかっている状況にほんの少しだけ臆してこそいたが、それ以上の執念、そして身を引き裂く様な過酷な鍛錬の末の、鬼を宿したような、その走りで掴んだ勝利。

俺はその勇姿に、美しさに、何百回と感動し、惜しみない祝福を送った。しかし感極まった末に何でもすると言うような約束を交してしまった。

いや、しまったの言うのは適切ではないが、結果的にいえば、しまったと言うしかない。

その時は今まで色々な事を成し遂げてきたライスの滅多にない我儘だった為、俺が何でもするのは当然の道理だと思ったし、今もそう思う。

だがしかし、まさかキスをせがまれるとは思わなかった。その時、勢いに乗っていたとはいえ、即決した後に屈んで、頬をライスに向けた俺も俺だ。 おそらくだが、勝利の喜びと、緊張からの開放と、我儘だからこその背徳感と、色々が混ざりあった結果、見事にキスの味の虜になってしまったのだろう。 それからはもうずっと、ずっっっっっっと、エブリデイキッスだ。

まだ、人目のつかない所でしているのはいいものの、いや駄目だわ。訂正しよう。 百歩譲って人目のつかない所でしてくれている事はいいものの、そのうちエスカレートして、アピールとして人前でキスを始めるかもしれない。そんなことがあると困るのだ。そりゃもうほんとに、ほんとに困るのだ。 まあ、言うまでもないだろう。

だから今日こそ、ガツンと言わないといけないのだ。

そうして、俺はコース研究をいいところまで終わらせ、あと5分ほどあるミーティングまでの時間を部屋の真ん中で仁王立ちで、待機する。

コンコン

「どうぞ。」

「失礼します。お兄さ………お兄様?」

そりゃ困惑するわな、担当が部屋で仁王立ちしてりゃ。ただライスもライスで昼間にキスをしたことを忘れているようなケロッとした何食わぬ顔で入室してくることも見逃せない。そのかわいい顔のせいで毎日なあなあにさせられているこちらの身になってくれ。

「やぁ、ライス。ここに座ってくれ。」

「…えっと…お兄様、ライス、何か、しちゃった…?」

「部分的にはそうだな。」

「…やっぱり…ライスは……お兄様を不幸に……ッ」

「今日ばかりは、その前振りには付き合わないぞ。毎日、その言葉を言うライスを励ましたあと、何食わぬ顔で自分の話題に持っていくライスはもう2桁回は見たからな。」

ミーティングの最初に同じことをされて話すタイミングを失う事はもはや珍しい事ではないと言える程の域に達そうとしている。 最近のライスはしたたかなのだ。

「むー!!」

「そんなかわいいふくれっ面しても駄目だ。今日という日こそは言わせてもらう。

ライス、キスするのは暫くお預けだ。」

「えぇ~~!」

「そんなベタな反応をしても駄目なもんは駄目だ。」

「でもお兄様!もう何十回もしてるんだし、これ以上しても、変わらないよ!」

「そういう問題じゃない。スキャンダルだったりの厄介になるのはごめんだ。」

「でもでも、ライスの身長だったら、子供が親にするのみたいに見えるから、そんなこと思われないよ!」

「どれだけ身長で誤魔化そうとしても、高校生と大人がキスをする事を許してくれるほど世間は甘くありません。」

あと単純にそんなこと自分で言って悲しくないのか…?

「じゃあ……お兄様はライスとちゅーするの、嫌いなの…?」

「嫌いだからやめろって言ってる訳じゃないんだよ。それとこれとは別問題だ」

「やっぱりお兄様もちゅー好きなんだ!ならやっぱりしてもいいでしょ?」

「だーー!!!そうじゃないって!!!」

「お兄様の話を聞く感じだと、人に見つからない所ならいいんでしょ?大丈夫!ライス、今まで見つかってないもん!」

「今までは奇跡的に、な。次は見つからない保証はない。」

「次も見えない所でするもん!」

駄目だ、これでは埒が明かない。仕方ない。強硬手段だ。

「やっぱり駄目なもんは駄目だ!今日からキス禁止だ!」

「…うぅぅ……」

「そんなかわいい唸り声を上げても駄目だ」

「じゃあもういい!今日の練習しないもん!」

「何!?」

まさかの自体だ。今までどんなに揉め事があっても真面目に練習だけはしていたライスがここまでゴネるとは…

「何馬鹿なこと言ってんだ、ほら行くぞ。」

「……ムスッ」

完全なるふくれっ面だ。今まで体験したことの無い程の不機嫌な顔だ。かわいい。 この完全不機嫌形態のライスに色々してみたが、てこでも動かないご様子だ。 お兄様にちゅーさせてくれたら動くかも!と囁くがそれを許したら元も子もない。 断固として拒否の姿勢を貫きながらもどうにかして動かせないかと苦心していた。その時

「いかがしましたか?ライスのトレーナーさん」

この機械的な声は…!

「ブルボン!」

「ええ、私がブルボンです。」

「良かった、今ライスを」 「ふえぇぇぇん!」

「何!?」

「ブルボンさん……たすけてぇええ!」

完全に嘘泣きである。まさかここまでライスも狡猾になっていることに驚きである。ライバルであるブルボンに泣きついてまでキスをしたいとはどれだけの執念なんだライスシャワー…

「状況を確認中、ライスの号泣の原因はライスのトレーナー以外無いと断定。直ちに排除します。」

「だあああまてまてまてまて。違うんだミホノブルボン!そうじゃない!」

「……ヒグッ…お兄様が…ライスのお願い、聞いてくれないの…」

「やはりライスの号泣の原因はライスのトレーナーと再確認。排除を再開します。」

「ああああああああ分かった!わかったから!要求を飲むから!!だからとりあえずその殺気立った立ち振る舞いで近づくのはやめてくれえええええ!」

くそっ!こんなことで負けるとは……

「取引の成立を確認。良かったですねライス。」

「うん!ありがとうブルボンさん!」

くうぅ…勝ち誇った顔をしよってからに…かわいいけど

「ところでその要求とはどのようなものなのでしょうか。」

「えっ!?えっと……それは……き」 「おおっとブルボン、そろそろ練習の時間なんじゃないのか~~~?お前のマスターが校庭で待ってるんじゃないか????」

「…そうでした。では、私はここで。」

「ああ、練習頑張れよ!………ふぅ」

これ以上ライスがキス魔だという情報を広げる事は防がなくてはならない。グッジョブ、俺。しかし、何も解決していない事を思い出し、その褒めはなんの意味もないことに気づく。

「はぁ………俺の負けだ、ライス。」

「じゃあ今日もちゅーしていいってことだよね!?」

「ああ…もう勝手にしろ… ただ、さっきみたいにあまりおおっぴらにする事だけは避けてくれ、場所もな…」

「やったー!!!お兄様だーーい好き!」

大敗を喫した故に切腹する準備を整え介助者を待つ武将の気分はまさにこんな感じなんだろう。

「あと、異性にこんなことするなよ。絶対だからな。」

「……そんなのお兄様だからなのに…」

「なんか言ったか?」

「なにも!!」

ちょっと怒り気味だ。怖いけどかわいい。

「ライス、久しぶりに普通のちゅーしたくなっちゃった。急なのじゃなくて。」

「………やらなきゃ練習してくれないんだろ?……もう好きにしてくれ…」

「じゃあお兄様屈んで!」

「はいはい。」

いつの間にやらこんなに強くなったんだか。 こりゃ将来も安泰だな。なんて事を目を瞑りながら考えながら、そのいつもの感触を待っていると、その感触は予想通り、直ぐに感じた。

唯一予想通りでないところと言えば、その場所だ。 刹那の時間と言えば些か短すぎる時間の間、互いの息が交わり合う感触と柔らかい温かさが、口に、肌に伝い、余りの衝撃に目をかっ開いてしまう。 そうして目に入ったライスはいつもと同じ顔のはずが、女としての艶容さと学生特有の青々とした若さを持ち合わせているように感じた。 しかし、それも一瞬の後、その肌は赤一色で満たされ、えも言えぬ羞恥の極みに蹂躙された後、一心不乱に駆け出すこと以外頭に浮かばなかったようである。

そうしてもぬけの殻となった部屋で俺は使い物にならない程煮立った頭の中を必死にかき回して、どうしようもないほど、素朴な質問を、吐き出した。

「……この後どんな顔すりゃいいんだよ」

キス魔、ライスシャワー
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-ライスシャワー(字余り)
みたいなライスを書きたかっただけです。
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庇護欲マシマシのライスをご所望の方はせっかくだから赤い扉を選びましょう。
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