pixivは2021年5月31日付けでプライバシーポリシーを改定しました。
〜トレーナー室〜
ウララ「トレーナーむつかしい顔して何見てるの?」
デスクと自分の隙間から桜色のモノがひょっこりと飛び出した。
その物体の天辺には忙しなくピコピコと動く耳が生えており、瞬時にこれはウララだと認識した。
トレーナー「ん。G1レースの映像。随分前の世代のものだけどね」
トレーナー「近年トップクラスのウマ娘をチェックするのは勿論だけど、こうして過去の名だたるウマ娘を見るのも勉強になるよ」
ウララ「ホントだ、ちょっと映像古いかも?」
言いながら自分の膝の上に腰掛けてきた。
座高の差で、ちょうど自分の顎の下にすっぽりと収まるのが何とも可愛らしい。心なしか柔らかな桜の花の香りさえしてくるようで、穏やかな気持ちにさせられる。
ウララ「すごぉーい、なんかカッコいいウマ娘がいっぱい居るね!」
トレーナー「この頃はいかにも競技選手って感じの子が多かったみたいだね。今はアイドル要素を取り入れる子とか、選手の性質が幅広くなってきてるから」
PCの画面の中で、ウマ娘達が一斉にスタートを切る。
ウララ「ワタシ2番の子が勝つと思う!」
トレーナー「うーん…5番かなぁ」
無意識だろうか、ウララの足がデスクの下でパタパタと動いている。
己も走っているつもりでいるのかと思い微笑ましくなる。
微笑ましくなるの、だが。
足をバタつかせる度に、自分の膝上に深く腰掛けている彼女の臀部がもぞもぞと動く。
筋肉の動作と振動が自分の下腹部に直接伝わってくる。
トレーナー「(……画面に集中しよう。)」
単にレース映像を楽しんでる彼女に、純真無垢な彼女に、やましい意図なんてある訳も無いし、自分もそんな気持ちになったりはしない。
ただ少し、下腹部が圧迫されてるだけ。それだけだ。
この程度なんの問題も無いーー。
ウララ「あ!抜かした!抜かしたよトレーナー!」
トレーナー「……え?あ、ああ。そうだなーーーーッ‼︎⁉︎」
やったやった!と言いながら、バランスボールよろしく膝上でピョンピョンと跳ね出した。
臀部が空中に離れ解放されたかと思えば次の瞬間、先程よりも強く重く叩きつけられる。一度ならず、二度三度…と、規則的にリズミカルに。
流石に、これはーー。
トレーナー「〜〜ッ、は、はは。こらこら。膝の上でそんな跳ねたら危ないだろ。」
必死に笑顔をつくりながら、さり気なくウララの両の腕を掴んで静止させる。
ウララ「落っこちたりしないよ?」
そこじゃない。そこは心配していない。
トレーナー「僕と頭ぶつけちゃうかもよ」
ウララ「ぶつけないよー」
兎に角、動きは止められた。一先ずは安心だ……。
ウララ「よい
しょっと」(ズシンッ)
トレーナー「う゛ッ」
位置を変えた。
座る位置を。
自分の体に身を預けるように、先程よりもずっと深くに。
つまりは、本格的に股間の真上に移動してきた。
わざわざ立ち上がってから腰を下ろした。
小刻みな刺激ではない。一度で、極めて重く圧迫される。
トレーナー「……まずい……」(ボソッ)
きた。
意識を逸らそうと、我慢しようと、どうにもならない。悲しいほどに正確に、自動的に起動し始める男の機能。
トレーナー「ウララ、そろそろ降りーー」
ウララ「えー?やだよ〜もうすぐゴールだよ?」
駄目だ。間に合わない。
下敷きにされているせいで、自身の手で押さえ込んで隠すことは不可能。
血流が集中し熱くなる。硬直性がじわじわと広がっていく感覚。
最早コントロールの出来ない域に突入してしまった。あとはもう、完成した状態に至るまで。
ピクッ、
と。彼女の耳が少しだけ揺れたかと思えば、そのまま黙ってしまった。
彼女の臀部と自分の股間の間に先程までは無かったものが明らかに存在して、挟まっている。
異物に気づいたんだ。
トレーナー「(ああ…終わった……)」
これをどうやって説明する?
ただでさえ、ウララはこういうことには疎そうな印象がある。
生理現象云々なんてどうやって伝えたら良い?
いやーーそれならば、いっそ誤魔化した方が良いだろうか。
トレーナー「……悪い、ウララ。携帯ポッケに入れてたの忘れてた…」
かなり苦しい嘘だ。しかし、これに賭けるしか無い。
ウララは姿勢はそのままに、首だけこちらへ回した。
自分をジッと見つめてくる。吸い込まれそうなほどに綺麗な桜模様の瞳も、今この時は恐怖を感じて仕方ない。
トレーナー「…ごめん、固くて痛かったろ。これは…そう、携帯だから…」
ウララ「ねえ、トレーナー」
ウララ「どうしておっきくしてるの?」
トレーナー「え」
今、なんて。
予想外の発言にしばらく放心してしまう。
彼女はというと。
自分の瞳をジッと覗き続け、
最後にクスリと微笑を浮かべた。
ウララ「…あ、2番が一着。ワタシの勝ちだね」
ウララ「ノド乾いちゃったからジュース買ってくるね!…よいしょ」
膝から降りて、そのまま部屋を出て行ってしまった。
トレーナー「……」
なん、だったんだ?
彼女は知っていたのか?
自分の、男性の体の機能を。
それに最後のあの微笑み。
普段の彼女からは想像もつかないような、悪戯っぽく、また蠱惑的な笑み。
まるでーー動作の全てを、ワザとやっていたかのような、そんなーー。
トレーナー「まさか…いや、偶々だよね?…は、ははは…」
続く?