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ハルウララに揶揄われているかもしれない話、いつか小さな命を。 - 要の小説 - pixiv
ハルウララに揶揄われているかもしれない話、いつか小さな命を。 - 要の小説 - pixiv
2,374文字
ハルウララに揶揄われているかもしれない話、いつか小さな命を。
ウララさん⁉︎
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2021年8月31日 13:01

〜休日・公園〜

ウララ「べろべろべろば〜」

赤子「キャッキャッ」



今日は彼女の新しいシューズを購入するため、一緒に町へ出た。

ついでに必要物品を買い漁りひと通り回ってから、最後はウララの要望で公園でひと休み…もとい、ひと遊びしていくことになった。

休日なだけあって公園にはちらほらと子供や親の姿が見られる。そして今、彼女は偶々出会った赤ちゃんに夢中になっていた。

トレーナー「すみません。ウララ…ウチの生徒が、突然。」

母親「いえいえ。むしろ助かりました。さっきまで機嫌が悪くてどうしたものかと思ってたんです」

母親「ハルウララさんに遊んで貰えてすっかり気分良くしちゃって。」

自分とお母さんはベンチに座りながら、数歩だけ離れたところで赤ちゃんを抱いてあやしているウララの様子を眺めている。



ウララ「おりょりょりょ〜」

赤子「うけけけけけけけけ!」



トレーナー「…っ、ば、爆笑してますね」

母親「すごーい…あの子にあんな声出させるなんて…」

トレーナー「ウララ。虫起きると夜眠れなくなるかもだから、程々にな」

は〜い、と返事をする彼女の腕のなかには、赤ちゃんが丸みのある手をバタつかせながら満面の笑みを浮かべていた。

ウララ「ありがとーございました!お返しします。」

母親「こちらこそ。遊んでくれてありがとうね。〇〇クン良かったねー?お姉ちゃんと遊べて楽しかった?」

赤子「キャッキャッ」

トレーナー「ウララ、赤ちゃんの扱い方上手だね?」

ウララ「そーかな?商店街のお手伝いしてるときに赤ちゃん連れのお父さんお母さんが来たりするからかも」

トレーナー「!…それは…凄くいい、な」

商店街という居場所を通じて、彼女は日頃から素晴らしい経験を培っているのだと感じる。

同時に、自分は普段走りに纏わる経験「しか」させてあげられていないのでは、と猛烈な罪悪感が湧き上がる。

選手である前にひとりの学生。ひとりのウマ娘。いずれ成人になる前の、この時分にこそ色々なものを見て、触れることは何よりも大切な筈だ。

トレーナー「(くっ…こんな当たり前のことが頭から抜けていたなんて…トレーナーとしても、大人としても失格だ。挽回しなければ…‼︎)」



ウララ「?トレーナーどしたのむつかしい顔して?」

母親「どうかされました?」

トレーナー「ん。あ、ああ、いえ。ちょっと己を省みてました」

トレーナー「そんなことより。ウララ、何かやりたいことはないか?」

ウララ「やりたいこと?」

トレーナー「どこかに行きたいとか、〜をしてみたい、とか。あとは、〜が欲しい、なんてのも。」

ふむふむ?と呟きつつ首を傾げる。

ウララ「ん〜。なんだろ?突然だから思いつかない…ううん、いっぱいあるからちょっと迷うかも?」

トレーナー「折角の休日だからね。普段は走ることしかさせられてないから、せめてこういう時ぐらいはウララの要望を聴いてあげたくて」

ウララ「んん〜」

ウララ「……ん」

ふと、ウララの視線がお母さんーーの腕のなかの赤ちゃんにとまる。

ウララ「…うん!思いついた」

トレーナー「よかった。是非教えて」

ウララ「赤ちゃん」

トレーナー「ーーえ?」







ウララ「わたしも赤ちゃん欲しい」







トレーナー「赤ちゃんかぁ…」



それは…流石に自分にはあげられるものではない。ウララが将来、誰かとの間に授かるものだ。

隣に座るお母さんも目を丸くして(何故かちょっと頬を赤らめて?)驚いている。

トレーナー「…ごめん、それはちょっと無理かな。ウララが大人になったとき、好きな人と一緒になって初めて貰えるものだから」

ウララ「も〜。わたしもそれくらいわかるよぉ!」

トレーナー「そ、そっか?」

それもそうだ。彼女もそれがわからないほど幼くはない。

あくまで「いつか」、誰かとという話なんだろう。

ウララ「………だからね………」





ウララは少しだけ屈み、ベンチに座る自分と視線を合わせた。

顔を近づけてくるかと思えば次の瞬間、ツン、と鼻先に彼女の人差し指が触れられる。









ウララ「……いつか。ちょーだい、トレーナー?」







トレーナー「……え?……」

ウララ「ふふっ。トレーナー、あっちで遊んでくるね‼︎」

トレーナー「あ!ちょっと、ウララ?」



ばびゅーん、などと言いながらあっという間にいなくなってしまった。

トレーナー「え?…いつか頂戴、って…え…?」

どういう意味だ?

否ーー意味は恐らくわかっているけれど、まさか、本当に?

冗談とか、揶揄っているわけではなく?



一瞬であれこれと悩んだ末、縋るように隣のお母さんに救いを求めようとする。



トレーナー「は、ははは。まあ、彼女も困った子ですね。揶揄ったりして……です、よね?」

母親「……」



お母さんは口元を手で覆い、目をキラキラさせながら如何にもたまらないという感じでこちらを向いている。

母親「……あの、私は個人的に良いと思います。素敵です。」

トレーナー「お、お母さん?」

母親「はぁぁ羨ましい…まさに青春…!」

トレーナー「お母さん??」

母親「指導者と未成年とかアウトですけど、でも愛があってちゃんと時期を待てばセーフだと思います!応援しますね!」

トレーナー「お母さん!!?」



トレーナー「〜〜っ、う、ウララ!ウララさん⁉︎戻って来なさい‼︎ちょっと今のーーなんか、誤解があるような気がするから‼︎戻って‼︎」





続く?

ハルウララに揶揄われているかもしれない話、いつか小さな命を。
ウララさん⁉︎
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2021年8月31日 13:01
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