新型コロナウイルスで自宅療養者が亡くなるケースが全国で相次いだのを受けて、神奈川県真鶴町は、血中酸素飽和度を測る機能がある腕時計型のウェアラブル情報端末を使用した自宅療養者への新たな支援を始めることを決めました。医療体制をめぐる第6波への備えについて自治体や医師会の動きです。
新型コロナウイルスに感染して自宅療養をする場合、状態の変化を把握するために血液中の酸素飽和度をモニターすることが重要とされていて、パルスオキシメーターが利用されています。
こうした中、神奈川県真鶴町は、血中酸素飽和度を測る機能がある腕時計型のウェアラブル情報端末を使った自宅療養者への新たな支援を始めることにしました。
町によりますと、自宅療養中の町民にこの時計を貸し出して身につけてもらうことで、計測した数値が定期的に町の診療所に送られるということです。
数値が低下した場合はアラームが鳴り、診療所の医師がテレビ電話や訪問診療で対応するとしています。
真鶴町国民健康保険診療所 葉田甲太医師
「自宅は病院ではないので、患者さんにとっては医師がみているという安心感があると思う。医師は問題があると思っても、患者さんは気が付かないこともある。計測データの精度については検証していくが、低酸素の症状が進む症例の早期発見につながる可能性があると思う」
これまでは、自宅療養者がパルスオキシメーターを使って自ら測定した結果を県に報告していましたが、症状が悪化した場合、連絡できず手遅れになるおそれがあるとして、自動的にデータが送られるウェアラブル端末を使うことにしたということです。
真鶴町 上甲新太郎参事
「ウェアラブル端末の情報自体は医師が判断する材料のひとつとしての参考値だが、自動送信ということに価値があると思う。パルスオキシメーターと並行しながら、医師に迅速に患者の状態を確認してもらうことで命を守ることにつながればと思う」
一方、東京都医師会も第6波に備えた対策を示しました。東京都医師会の尾崎治夫会長は12日、定例記者会見のなかで、発熱外来を設けている都内の医療機関を公表し、地図上でわかるように対応を進めていることを明らかにしました。
さらに、医師などが早期に介入し、治療につなげることが重要だとして「感染がわかった段階で保健所と連携して医師による往診につなげ、必要があれば入院や抗体カクテル療法につなげる。タイミングを外さずに治療につなげることで第6波に備えていきたい」と話しました。
また、感染状況に応じた医療提供体制が必要だとして「病床は都立公社の病院が中心となってコロナ病床を確保してほしい。患者が実際に入院しているのか見える化することも必要だ」と訴えました。