「タダというわけにはいかない」
――日当5000円について。
「動員がかかれば交通費や日当で。タダというわけにはいかないので」
――実質的な投票依頼と受け止めた人もいる。
「そういう人もいるかもしれませんが、買収したわけではありません」
――有権者買収に当たる。
「そう言われれば、杜撰なやり方だったなと思います。『買収だから』と、お巡りさんから言われれば『そうですか、すみません』と捕まるほかないけど」
茨城県トラック協会に国光氏の依頼で買収を行ったかなどについて、改めて書面で確認を求めたところ、
「回答は差し控えます」
と口頭で回答した。
国光事務所にも、自身の関与や買収行為に対する見解などを尋ねたが、いずれの質問に対しても、
「全く承知していないので、コメントは差し控えます」
などと回答したのだった。
公職選挙法に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が指摘する。
「河井克行・案里夫妻の事件では、厳しい選挙情勢に加えて選挙直前という時期、金銭を渡した規模や範囲などが総合的に勘案されて有罪判決が下りました。今回は、案内状で国光氏を〈推薦者〉と明示した上で〈協力〉を依頼しただけでなく、動員要請自体を『実質的な投票依頼』と受け止めた参加者もいる。しかも、選挙期間の真っ只中に不特定多数に呼び掛け、実際に金銭を支払っているわけですから、有権者買収に当たる疑いが非常に強いと言えます。今回のケースで『私は知りません』という言い分は通用しない。国光氏が『別添の案内』に詳細を記さなくても、協会が動員をかけてくれるという親密な関係性も窺えます。公選法上の直接の買収者は県研究会ですが、今後、捜査が行われれば、国光事務所の関与が明らかになる可能性が高いでしょう」
公職選挙法が極めて厳格に定められているのは、民主主義の根幹だからだ。今回の衆院選でも、日本維新の会から当選した候補者の運動員が、ビラ配布の報酬として日当1万3000円を渡す約束をしたとして公選法違反の容疑で逮捕されている。
岸田首相は、河井氏の買収事件について「透明性のある説明」を繰り返し求めてきた。それだけに、自らの応援演説で起きた岸田派議員の「集団買収」について、透明性のある説明が求められる。
11月10日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」および11月11日(木)発売の「週刊文春」では、岸田首相と国光氏の関係、国光氏の経歴や人物像、県運輸政策研究会から自民党への献金、案内状や現金を受け取った複数の有権者の証言、県運輸政策研究会の専務理事との一問一答、国光氏への直撃取材など、「岸田首相 衆院選応援で違法『集団買収』」と題して5ページにわたって詳報している。
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