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打倒魔王の魔術学校生徒 作者:野河マコト
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2話 クラスルーム

俺が「桐ヶ谷誠」だと言ったら、向こうも自己紹介をしてきてくれて嬉しかった。

俺は特に、左目の眼帯が他人に気味悪がられるらしく、親しい友達も小学生の時にはいなかった。一人でいた佐久間君に話しかけたのは正解だった。

チャイムが鳴り出したので、クラスのみんなも席に座り始めた。

教室に着いたのが7時20分で、もう10分も経ったのかと、時間の速さに少々驚いた。

扉が開き、担任の先生が教壇に登った。体格は体育系に近いが、顔は岩の様ではなく、爽やか味があるような顔立ちだった。

「はい皆さん、起立。」

今日が初授業のはずだが、まるで普段通りかのように先生は言葉を放つ。

みんなは戸惑いを残したまま、椅子から立ち上がった。

「気を付け、礼。」

おはようございます、と言ったのは、俺と佐久間君だけであった。

俺たちは互いに顔を見合わせた。

周りからは笑い声が響き、俺も佐久間君も笑いだした。

「ハハハ。でもいい心がけだ。これからも忘れるなよ。それじゃ着席。」

顔と同じように爽やかな、でも少し熱意のある声で、先生は俺たちに話した。

佐久間君は苦笑を浮かべたが、俺は素直に「はい。」と返事を返した。

「俺は静寂戒斗(しじまかいと)、このクラスの担任教師、てことは知ってるよな。みんなよろしく!」

元気が有り余るような声で静寂先生は自己紹介を軽く済ませた。


「さて、まだ魔法とかについてよく知らなかったりする人がいるだろうから、色々説明していくぞー。寝ないでしっかり聞いとけー。」

全員が座るのを確かめてから、先生は話し始めた。その説明は、15分の朝の学習、果てには50分間の1時間目までをも使い説明した。一語一句同じように解説すると時間がかかるので、簡単にまとめると…、


魔法とは、科学的に説明できない、自然現象に干渉、操る事が可能な力であり、詠唱によって発動する。

よくあるファンタジー世界のものと同じやつと思えば簡単だろう。

魔法には、火、水、土、風の基本4属性に、無属性と回復系魔法、光属性と闇属性、それとあと何種類かの系統魔法があり、得意属性や特性には個人差がある。

その後なにやら難しい説明が出たので聞き流した。最初に「1年では必要ない」て言ってたし。

何故魔法なんてものがあると証明されたのか。その答えは、60年前、魔法学的生命体、通称魔物が現れたからだ。

デーモンだのスケルトンだのを想像すればいい。突然出現した理由は調査中との事だ。

魔物たちの間でも争いがあるらしく、逃げてきた魔物(正確にはエルフらしい)が人間へ助力を求め、その対価として魔法を教えたのだとか。

んでエルフを追いかけて1種の魔物が現れて、それを追うかのように次々と魔物が襲撃してきた。

それに対抗する為、エルフが対価として渡した力、魔法を用いることにしたそうだ。

魔法が使える魔法師、魔法騎士を育成する為に創られたのが、この国立魔術学校との事。

小学生から大学生までなら誰でも入れるが、16年間一貫で通う訳ではなく、3年で学習は修了する。(例えば中2で入った場合、高1で卒業することになる)

最初はエルフが教えてたが、10年後くらいから人間の魔法師が教員になったそうだ。

魔術学校は創立されたが、世界全体が魔法の世界という訳ではなく、魔法が発見される以前の生活の方が世界に浸透している。

コンクリートジャングルの街並みは広がるし、コンピューターはむしろ高性能化したし、科学の面でも発展はどんどんしている。

今後、魔法の生活と現代の生活をどのように両立させていくかが課題になっているらしい。


とまぁ、こんな所だろう。

知りたいことはおおよそ理解出来た。

だが、「1つ説明していない事があるな」と、聞き終わったあとに思った。

魔法師、及び魔法騎士になるということはつまり、

兵器になることと同意である、と。


俺は次の授業までの間、それだけを考えていた。

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