第3話 最強の生物兵器
初老の紳士が続けて話す。
「我々は、ある機関に属している。我々の究極的な目標はこれまでにない世界最強の兵器を設計製造することだった。核兵器は強力な兵器だが、それを扱うのは脆弱な人間である、という事実に着目して、我々は人々の精神を操作できる兵器を開発した。 我々はその兵器を社会構成員を意味する、みんな(every-one)、からの類推でE-1と名付けた。それが、君だよ。栄一。その強力な兵器としての側面を隠ぺいするため、我々の管理下で君には普通の生活をさせていた。」
「そんな・・・、信じられない。」
私は、ほぼ絶句した。
「君は客観事実の成立条件を遂に解明した、後はそれをコンピュータに実装して社会貢献だな、などと喜んでいたけど、事実はこうだ。それ自体の性能にも影響するからこれまで黙っていたけど、君は君の主観現実を基に全体の客観現実を置換できる強力な生物兵器なんだ。具体的には、君と少しだけでも話をすると、話し相手は一時的にではあるが、現実と虚構を区別できなくなる。ちなみに、君とずっと話していると、半永久的かつ不可逆的にそれらを区別できなくなるだろうね。まあその兵器についてはもっと強力な別の使い方もできるのだが、それは後で話そうか。これまでのことを言い換えてまとめれば、つまりその兵器自体が客観現実の成立条件を定める理論の表現であるわけだ。だから、君が客観現実の成立条件を定める理論を発見できたのは、あたりまえであって偶然ではない。」
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