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栄一

第1話 客観現実の成立条件

今、自分のいる部屋に、手に注射器を持った美しい看護師がどこか現実のものではない笑顔を浮かべながら、突然、入ってきた!!!!

既に注射器の先端から薬液がわずかに滴り落ちている。

今気づいたが、身体中を器具で拘束されていて身動きがとれない!!!!


・・・


という夢を見て今朝飛び起きたが、あれは一体何だったのか。


・・・


さて、私は研究者である。

ある研究所で『客観現実の成立条件』を研究している。


定義が循環し、厳密性を欠くが、理解を助けるために『客観現実の成立条件』を簡単に説明する。

例えば、あなたが現実には働いていない研究所の入り口に居る守衛に「私はここで働いています。」と言っても、決して中には入れてもらえないだろう。

だが、偶然そこを通りかかったその研究所の重役数名が、あなたがその研究所で働いている、と偶然にも思い込み、守衛と話し始めた場合は、一時的な措置となるかもしれないが、異なる結末が得られるだろう。

この例からもわかるが、社会を構成する多数の人々がそれを正しいと認めた場合に生じる客観現実の成立条件は必ずしも自明ではなく、その解明は学術的に面白いだけではなく、少なくとも認知心理学の観点から社会基盤を変革できる可能性も持つ。

私は『客観現実の成立条件』を研究テーマとして数年前から研究を実施してきており、細かい理論的な正当化を除けは、研究はほぼ完成していた。


というわけで、研究所の入り口に着いたので、守衛に私のIDカードを提示し、研究所の中に入る。

今日も一日研究するぞ。









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