ニゲラってた季節③

今邑彩 という作家をご存じですか?推理小説を書いてる人なんだけど、代表作に『ルームメイト』というのがある。おこめつぶとの京都旅行で、またしてもドタキャンを食らったすごく天気がいい日、私はその小説を何気なく読むことにした。(もちろんすごく落ち込んだ)

話の内容は大まかにいえば、賃貸紹介屋でたまたま出会った大学新入生の二人が、まったく相手のことを知らないけど、気が合うし部屋の条件も揃ってるし二人でルームシェアをしようという話になった。しかし何か月か経ったある日、ルームメイトが帰ってこなくなった。家賃を支払わなければならないから、思い切って相手の実家に電話をかけてみた。そしたら同姓同名の別人がその電話に出た。そして、「家賃?何の話ですか?」というのだ。素性もわからないまま一緒に暮らしていたことも怖くなったし、いったい彼女はどこへ・・・?という謎を解いていく話である。

 

小説の前半で私はハッとした。私もこの子と同じじゃないか。おこめつぶの免許証とか会社の名刺とか卒アルとか、やっぱりそういうのをしっかり見せてもらわないといけない!と強く感じた。人と付き合うにあたってそういう情報は一番の基本。リアルの出会いならまだ信用できるだろう。だけどネットで知り合った人なんて、今までの生活やどんな人生を歩んできたかを相手は見たことがないから、人間次第で嘘なんていくらでもつかれてしまう。そしてやっぱり不安に思うことはちゃんと相手に聞かなきゃいけない。ましてや友達ではなく恋人であるから・・・。

 

私は夜、ラインで聞いた。

「おこめ君!私小説の影響を受けて、やっぱり免許証とかそういうのしっかり見ておきたいと思う!!だから見せて!!!」確かこんな感じだった気がする。それまで明るい内容のラインをしていたけど、徐々に雲行きが怪しくなっていくのが分かった。

「急にどうしたの?!前(卒アル見せてって言ったとき)みたいな感じでなんだか怖いんだけど?笑」

ラインが残ってないからどんなセリフが来たか忘れてしまったけど、なんだかすごくまた不安な気持ちになったのを覚えてる。前Bさんにいろいろ相談したことを話題にしてきて、また自分の情報がBさんに流れるんじゃないかと心配してきてなかなか送ってこなかった。気分転換に風呂に入ったんだけど、出たら画像が送られてきてた。

H3年3月・・・免許証は確かに28歳だった。すぐにスクショをした。案の定送信取り消しをすぐにされたからスクショしてよかった。でもBさんにこの画像を送るんじゃないかって思われて、顔写真とか免許証のナンバーとかにモザイクがされていた。

「ありがとう」っていっても、おこめは「これで満足いただけたでしょうか?」みたいな上から目線でウザかった。その日はいい天気で、本当だったら京都旅行に行く予定だった。なのにすごく嫌な気持ちになった。そのあと電話をしたけど「すごく嫌な気持ちなんだけど!なんで信じてくれないの?」なんて言われて泣いた。

 

正直疑い続けるのはしんどいから、もう免許証を見れたしいいやと思った。

「まだ知り合って浅いし、これからいろいろ知っていこうね♡」みたいなことが送られてきて結局解決した。っぽいけど、うーん?っていう頭のもやもやは消えなかった。

今は冷静に自分やおこめつぶの行動を見れてるけど、その時私は本当におこめつぶのことが大好きだったから、こんなことで絶対に別れたくない!と思っていた。

 

11月の三連休こそは二人で旅行しようと話し合っていた。そして行先は広島に決定。すごく楽しみだった。本当に楽しみだった。その旅行の前の週に浜松でデートをした。帰りに、本気で結婚したいと思ってる!と言われた。すごくうれしかった。仕事を独立して、私の地元に引っ越そうと考えてるらしい。いつになるかまだ分からないけど、この先もこの人と一緒に居られるなんて本当に幸せ者だと感じた。そして来週の広島旅行もすごく楽しみでたまらなかった。

 

 

ガーーーーーーン・・・と私の心の鐘がなる。何回目のドタキャン?ってくらいに当たり前にドタキャン。仕事でまたミスが発生したらしい。今回は私がホテルの予約をしていたからキャンセルの電話をしたよ。本当だったら泊まるはずだったホテル。初めてキャンセルの電話をしたかもしれない。私は予定を絶対に守る人だから。

旅行の前、スケジュールを立てるのがとても好き。電車はこれバスはこれ、何時から何時、なんて、予定を立てて予習をしておけば現地で75%の力を発揮できる。そして予定どおり進めばすごく自分が好きになっちゃう。頭の中で楽しんだ空想が儚く散っていった。何をしたか覚えていないが、魂が抜けていたのには間違いない。BOOKOFFでホテルにキャンセルの電話をしたのは覚えてる。

 

そしてここから話は急展開。

「仕事ばっかり俺もメンタルがやられる。もう俺は独立をする。」

急にそんな話になって、広島に行けなかったけど彼はこっちに来てくれるのなら、広島行けなかったのは逆によかったのかな!?と開き直った。そしていつ辞める予定か聞いてみたら、、、、この三連休の休み明けに出すよと言われた。

いくら馬鹿な私でも、これからのプランを立ててから仕事を辞めるほうが効率はいいということは分かる。どこかの会社に雇われる人ならそんなこと別に考えなくてもいいかもなんて思っちゃうけど、自分でビジネスを始めるのにそんなテキトーでいいの?と思ってしまった。

月曜の昼くらいに辞表出したのか聞いてみたら、「出したよ!会社辞めますてへぺろ!って感じでみんなの前であいさつした!」とラインが来た。今思えばですけど、最後の「てへぺろ!」ってやつ要らんだろ。この会社を辞めても自分は余裕あります~みたいな雰囲気をわざと醸し出させててUZAって感じ。有給がだいぶたまってるらしく、明日からニートだ!と言っていた。

 

そこから普通、ビジネスを始める準備をするもんでしょ?でもそんなのせずにDVD見たり遅くまで起きてたり、自転車でいろいろ走ったりそういう時期が長く続いた。いや、さすがに会社を辞めたての時はのんびりするべきだけど、しばらくずっとそんな生活が続いてて、一人で会社を始めるのに事務処理とかそういうこと学ばなくていいの?と言ったり、こっちに引っ越してくるなら物件を探さないといけないよ!と言ったりした。物件は私に選んでほしいって言ってきたから一生懸命探した。そうそう。まずはこっちでの住まい探し!おこめつぶは私の地元の賃貸屋に予約をとって、次の休み一緒に見に行こう!って約束してくれた。

 

んでまたしてもドタキャン。金曜日にこうやってきた。「実は俺水曜日くらいから熱が下がんなくて。今から病院に行ってくる」「とりあえずコロナじゃなかったけど今タミフル飲んでる。つまりインフルだった!」なんでやねん。

私が一人でアパートの内見に行くことになった。なんだかすごくワクワクした。ここにどんな家具を置こうかな?とか、これなら二人でどんな思い出ができるのかな?とか、すごく心を躍らせたよ。だけど私が契約をするわけじゃないので、担当の人には「あとは本人から連絡がいくと思いますのでよろしくお願いします!」と伝え、私はその場を後にした。

 

書くの疲れたので今日はここまで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメントを書く

ニゲラってた季節③

プロフィール
注目記事