ニゲラってた季節②

美白カメラで写真を撮ると、肌だけでなく歯さえも美しい白に変えてしまう。

私は人の口元をよく見てしまう。今の時代マスクでそれは難しいものになってしまったが、歯茎が腫れてる人を見ると、歯間ブラシをぶっさして血を出してやりたくなる。

 

おこめつぶに会う前に顔写真を交換していたが、何枚かもらったうちの一枚だけ、口からかすかに歯が見えていた。私は前歯がすきっ歯ぎみでコンプレックスだが、微かに覗かせたその歯はピシッと揃っていて安心するものだった。

しかし電話でアルコールについて話をしてた時、ソーダで割ったジンを飲んで寝落ちをしてしまうと話をしていたので、歯磨きいつしてるのだろう!?と思った。またそのソーダは炭酸入りの甘い奴だって情報もらったから余計怪しい気持ちが起きていた。

 

おこめつぶとはじめて会った時、もちろん今までの癖で歯茎を見た。しかしその前に歯を見た。隙間が茶色だった。そしてもちろん歯茎が腫れていた。その口でキスをされたんだ。正直したくなかった。顔も身長も嘘で歯もあまり奇麗じゃなくて、そして6時間の遅刻。普通の人だったらうまいこと避けるものだろう。でも何となく親しみやすい雰囲気があったし、いろいろ話をして楽しかったからキスをしてみた。私からもしてみた。皮膚と皮膚が触れ合うキスね。それってキスって言えるのかな。目に見えない小さな細菌たちは、そんなキスでもお互いの口を行き交わすものなのだろうか。

 

おこめつぶが帰ってからふと我に返った。そして今日あったことを友達に相談した。愚痴交じりの相談。友達といっても、それもまたツイッターで昔から交流をしていた31歳の男の友達。(これからBさんと呼びます。)二年前東京に行ったとき、少しだけ会ったこともある。Bさんは慶應大卒業だった。おこめつぶも慶應らしいって言ったらすごく怪しがっていた。一度証明できるものを送ってもらったほうがいいとアドバイスをもらったので、次の日、おこめつぶに卒アルの写真送ってほしいと頼んだ。この連絡をしたのは、もう二人の関係を終わろうと連絡をして、でももう一度デートをしっかりしようと約束をした日の次の日である。

 

「そんなに不安になるんだったら俺あきらめるよ」と、なぜか強気であった。別に写真送ってくれたらいいのに、安心感は全く与えてくれない。なんだか疑うこっちが悪いみたいな雰囲気にさせてきた。だけどしばらくしたら、慶應大のマークと入学から卒業までの年号が入った卒アルの表紙が送られてきた。中身の自分がアルバムに載ってるやつも送ってほしかった。だから信じがたかったけど、もう疑うの疲れたから信じてあげようと思うようになった。卒アルの年号で、今年28歳なんだってことが分かった。まあまあ老けてる28歳。目の下のたるみや肌の張りがない感じ。でも疑うの疲れたから信じた。Bさんにもその写真を送り、本当に慶應らしいよと報告しておいた。

 

次の週に遊ぼうという予定。またしてもドタキャン。いつも前日に言われる。「会社の部長の父親が亡くなって、俺も役員だから葬式に出なきゃいけなくなった。本当にショック」というものだった。またしてもガーーーーンが私を襲う。また翌週にデートが伸びた。

 

その間また電話や文通やツイッターでやり取りをしてたんだけど、あるトラブルが発生した。それは、Bさんがツイッターのヘッダー写真を、大学卒業を嘘つくのは憲法○○条に違反~~~みたいな、法律の一部を切り取った画像を設定してて、それをこめつぶが発見したからだ。なぜかおこめつぶのツイッターを、こめの会社の女上司が発見して監視してたらしく、その人から教えてもらったとのことだった。そのことは電話でおこめつぶが教えてくれた。

 

Bさんは以前、「あんなやつが慶應卒だなんてくそみたいだ」みたいなツイートをしてた。(相談して以降のツイート)それを女上司が発見し、こめつぶに伝えたらしい。私はBさんに「こめつぶ関連のことをツイートしてほしくない。なんか女の上司がBさんのアカウント見てるらしいよ」と伝えたら逆にBさんを怒らせてしまった。そしてその画像を設定して鍵アカにした。

私のアカウントは鍵アカだけど、私のユーザー名を検索すれば、私のツイートにコメントをしてきた鍵アカではない人のアカウントは見れてしまう。あとから知った情報だけど、この女上司はおこめつぶのことが好きらしく、だからいろいろ監視をしていたのだろう。そして当時鍵アカではなかったBさんのツイートを見て、「あんなやつが~」のツイートを見つけてからより一層、Bさんのことを監視するようになっただろう。

 

こめつぶから、「二人で何こそこそしてるのかわかんないけど本当にむかつく」とツイッターのメッセージから送られてきた。そして正直に話した。あなたと会った時いろいろあったから相談に乗ってもらった。あなたの上司が見てるらしいって伝えて変なことツイートしないでって言ったけど、余計変なことされて私も戸惑ってる。わたしはおこめくんのことが大好きだよ。本当にごめんなさい。と伝えた。

少しあたふたしたけどなんとか元に戻った。もうデートなんてしてくれないのかなと思ったけど、それはちゃんとしてくれるっぽかったから少しほっとした。

 

そして翌週、やっと再び会えた。私の地元に来てくれた。うなぎ屋でひつまぶしを食べさせてくれた。山のドライブウェイで車を走らせたり川魚を食べたり、とても楽しかった。全部お金を出してくれた。すごく楽しかった。私は変な人だといわれるけど、彼の前ではそんな自分の素を出しても、一緒になってふざけてくれたりツッコんでくれたり、本当に楽しくたまらなかった。

 

そしてそれからしばらく楽しい時期が続いた。大阪や静岡、いろんなところに連れて行ってくれた。すごく楽しくてたまらなかった。そしてすごく大好きだった。

 

ある小説を読んで不安になった。そして彼にあることを問いただす。

今思えば違和感があるが、その時はすべてを信じ込んでいた。

また次回・・・なんかややこしすぎるね。さーーーせん・・・

 

わたし

おこめつぶ(彼氏

おこめつぶの会社の女の上司(こめつぶが好き

ツイッターで知り合って友達のBさん(こめつぶが嫌い

 

 

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