目覚めたら坂柳有栖だった件   作:おまめabc

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原作と少しずれてるかもしれませんが、多めにみてください。


美少女とお泊まり会!?

 今月5月には中間試験がある。私たちAクラスはなんの問題もないのだが、勉強会を開くことにした。週2で行い、私は教える立場としてクラスのみんなのわからないところを教えていたりした。

 そんな時、神室さんを教えたことがあったのだが、基礎さえわかればいいと勉強会に参加しなかったのである。まぁ、命令して無理やり参加させたけど。そして神室さんは意外にもあまり勉強ができないということが判明した。

 だから私は私の部屋に来て勉強お泊まり会をしようと提案したのだが、バッサリと断られた。

 

「なんで勉強まであんたに言われなきゃなんないわけ?」

「いえ、Aクラスの平均点を上げるためには一人一人の点数が重要です。たかが1人の点数で、されど1人の点数なのです。だから、神室さんにもより高い点数を取って欲しいので、私がつきっきりで勉強を教えようと思いまして」

 

 神室さんは、はぁ、とため息を吐いて私をジト目で見てくる。私って嫌われてるのかなぁ、もし嫌われてるならマジで泣く。

 

「大体あんたにも勉強の時間が必要なんじゃないの?こんな私に教えるよりももっと自分の点数を上げることに力を入れれば?」

「私は天才なので、そこら辺は大丈夫です。それよりも私の親友である神室さんがテストでミスをして退学、なんてなったら私は悲しいです」

「それ自分で言う?あと、万引きで脅されてあんたの親友になっているの忘れないでよね」

 

 そういうと、神室さんは仕方なく勉強お泊まり会には参加してくれるようだ。神室さんのパジャマはどんなものか楽しみである。

 

 

☆☆☆

 

 

 放課後になり、神室さんは私の部屋にやってきていた。私の部屋には意外にも可愛いものがたくさんあり、ザ・女子部屋って感じがする装飾だ。

 これには神室さんも驚いて、私の部屋を色々と探索している。

 

「へぇ〜、あんた意外に女の子っぽい部屋なんだね。もっと難しい本だらけの部屋だと思っていたんだけど」

 

 神室さんが私の部屋やトイレ、バスルームまで確認し終わるとこちらに戻ってきた。

 

「では、勉強を始めましょうか」

 

 神室さんはめんどくさそうな表情をするが、これまで見てきた感じすごく勉強嫌いというわけではなさそうなので、私が工夫して教えれば飽きずに集中してくれるはずだ。

 

 

☆☆☆

 

 

「そろそろ休憩にしましょうか」

 

 私がそう言ったのは午後の6時ほどで、そろそろ夕食の準備を始めなくてはならない時間だった。

 

「あんた料理できるの?見た感じあまりできなそうな感じするけど」

 

 なっ!失礼な!私だってそれくらいできる。私は努力家で運動なんかはダメダメなのだが、料理は努力するほど上手くなっているのでとても楽しい。

 

「失礼ですね。私だって料理ぐらいなら軽くこなせます」

 

 今日作る料理は、定番のカレーライスである。作りやすいし美味しい。初心者でも簡単に作れる料理である。このカレーを少しアレンジして目玉焼きを上に乗せるととても美味しいのだ。

 エプロン姿に着替え三角巾を取り付ける。よし、料理を作る準備は完璧だ。

 そう思った時、シャッター音が聞こえたが神室さんはトイレに行ってるし気のせいだと思うことにした。

 

 

☆☆☆

 

 

 ふぅ、よし作り終えたぞ。私が作っている間、神室さんは適当にテレビのチャンネルを変えながら、リビングでくつろいでいた。

 

「できましたよー」

「いい匂い、あんたにもちゃんと料理できたのね。てっきり黒焦げな何かが出てくると思ったわ」

 

 神室さんから見て私は一体なんなんだ…?

 2人でカレーを食べる。無言。会話がなく、冷たい晩餐が続くと思ったが、最初に口を開いたのは意外にも神室さんだった。

 

「あんたこの部屋に人入れたの初めて?」

「…?ええ、そうですがそれがどうかしたんですか?」

「ふーん、そっ」

 

 ん?なんでそんなこと気にしてるんだろう?まぁいいや、そしてまた会話がなくなる。食器の音がやけにうるさく感じる。

 すると神室さんは不意にスマホを取り出すと、私に向かって写真を撮った。写真を撮るのかな?と思った私はちょっとふざけてダブルピースをする。

 

「あんた、口に米粒ついてる」

 

 ニヤニヤしながら神室さんは私の口元を指さしてくる。えっ!?恥ずかしい!?ダブルピースなんてしちゃったよ!?

 

「………それ今すぐ消してください」

「残念だけど消す気はない」

 

 私はすぐについていた米粒を取り、神室さんを睨みつけた。神室さんは特に気にした様子を見せないで、全く反省してない。

 

「はぁ、もういいです。では、お風呂沸かしておいたので、先に入ってください」

 

 神室さんは何も言わずに、着替えを持って浴室へと向かって行った。

 

 

☆☆☆

 

 

 ある程度勉強も終わり、時刻は夜の11時。神室さんにそろそろ寝ようと伝えようすると、私は神室さんが寝る場所がないと今更ながら気づいたのだった。

 

「すみません、神室さん。神室さんの寝る場所がないので、床で寝てもらいます」

「は?あんた布団とか用意してないの?あんたから誘ってきたんだからあんたが床で寝なさいよ」

 

 少し怒り気味に言い返してくる。こればっかりは私が悪いので、神室さんにベッドを譲ってあげよう。

 

「すみません、少し用意が足りませんでしたね。では、今回は私が床に寝るので、神室さんはベッドで寝てください」

 

 私がそういうと、神室さんはさっきまでの怒った口調から少し気まずそうにしていた。

 うーん、流石の神室さんも私を床に寝させるのは気がひけるようだ。………!閃いた!私と神室さんが一緒にベッドで寝ればいいんだ!

 

「………!では私と神室さんが一緒にベッドで寝ればいいんじゃないでしょうか?」

「………もうそれでいいわ」

 

 神室さんは呆れたようにそういうと、すぐにベッドに横になり少しベッドのスペースを開けてくれる。幸いにもこの寮のベッドは大きいので、そこまでの寝づらさはないであろう。

 

「では、おやすみなさい。神室さん」

 

 神室さんは、ん、と返事をすると私に背を向け寝始めた。こっち向いてくれてもよかったのに…。

 私も電気を消し、せっかくなので神室さんの方を向いて寝ることにした。

 

 

###

 

 

 坂柳が眠ったのを確認すると、神室はゆっくりと起き上がりスマホで坂柳の顔を写真で撮るといつもは涼しそうな顔を、少しだけ喜色の浮かんだ表情をして、坂柳の頬をつついた。坂柳は、くすぐったそうにするが起きる気配はない。

 

(かわいい…)

 

 神室はある程度、坂柳の頬をつついた後に坂柳との出会いを思い出す。

 万引きがバレた時はもうどうでもいいと、開き直っていたが、あの坂柳が万引きよりも楽しい毎日を送れると言ったので乗ってみることにしたのだ。

 それから、坂柳はことあるごとに神室を連れ回し、本当の親友のように接していた。別にそんなことで私が絆される、なんてことないんだけど…、と神室は思っていた。

 坂柳はどこか強者のオーラを放っていて、Aクラスのみんなからは尊敬の眼差しで見られることが多い。神室は、坂柳は完璧超人であり何もミスをしない私とは次元が違う世界で生きているんだと思っていた。

 ある日の体育の授業。その日はプールの授業があり、賞金が5000ポイントとみんな張り切って挑んでいた。でも、女子たちはどうせ坂柳が一位になるんだと確信していた。実際、その時の神室も本気で泳いでも坂柳には勝てないんだろうなぁ、と思っていたほどだ。しかし、坂柳本人は溺れたら助けて、と神室に言っていて、一種の煽りか、と神室は思っていた。

 坂柳の番が来て、どのくらい早いんだろうと思っているとスタートして僅か10メートルで、不自然な動きをして坂柳が水中で体制を崩していた。Aクラスのみんなはポカンとしていたが、神室はさっきの坂柳の言葉を思い出して急いで助けに向かった。

 案の定、坂柳は溺れていたらしく別次元にいると思っていた坂柳にこんな弱点があると知り、神室は急に坂柳を私たちと同じ普通な存在なんだと思った。

 そう思い始めて、これまでの坂柳よりもよく見てみると、案外抜けている、いわゆるポンコツな部分があったりして、少しだけかわいいなと神室は思ってしまった。それからというもの、神室は坂柳と一緒にいる時間が心地よく、万引きなんてする時間が勿体無いと思えるようになった。

 神室は、ポンコツな坂柳を何かに残して自分だけが見られるようにしたいと思い、こっそりと坂柳のポンな部分を写真に収めることにしたのだ。

 神室は、今もぐっすりと眠っている坂柳の寝顔を数分眺めると、

 

「………確かにあんたが言ったように私は今、充実した学校生活を送れている。でも、これじゃぁ少し物足りないかも」

 

 神室の今まで空いていた心の穴。それがずっとずっと色々なものを通り抜けていく。喜びも、悲しみも。だから、万引きに手を染めその心の穴を誤魔化していた。そんな中に現れた坂柳という存在。さて、彼女にはどんな結末があるのだろうか?

 

 

###

 

 

 私の朝は早い。と思ったところで、顔に何か柔らかいものが当たってる。神室さんが私の頭を胸の方にして抱きついているのだ。どんだけ寝相悪いんねん。

 私はランニングに行かねばならないのだ。最近では一之瀬さんと一緒にランニングをしたりしているので、寮の前で待ち合わせなんだ。早く行かないと一之瀬さんを待たせてしまう。

 なんとか抜け出し用意をしようとすると、神室さんが私の手首を掴んできた。

 

「行かないで…」

 

 神室さんは寝ぼけているのか、目を瞑りながら私の手首を掴む力を少し強めて言ってきた。かわいい、これはもう行っちゃダメでしょ。

 一之瀬さんに今日は行けない旨を伝えると、私はさっきの寝ていた体勢と同じように横になる。神室さんの匂いはめっちゃいい匂い。

 それから、私は珍しく神室さんの胸の中で二度寝をしてしまったのであった。それもこれも全ては神室さんが悪い…!

 

 

☆☆☆

 

 

 目を覚ましてみると時刻は8時であった。私は顔が真っ青になり急いで神室さんを起こす。

 

「神室さん!起きてください!今8時ですよ!早く行かないと遅刻してしまいます!」

「……ん、おはよ」

「寝ぼけてるんですか!?早く用意しますよ!今トーストあっためるので用意して待っててください!」

 

 私が急いでベッドから降りると、神室さんは寝ぼけたようにこう言った。

 

「今日はめんどくさいし、休もうよ…」

「ダメです!私はAクラスのリーダーなので休んでしまうと士気が下がります!」

 

 寝ぼけている神室さんもかわいいが今回ばかりは甘やかすわけにはいかない。

 私がそういうと、神室さんは渋々起き上がり用意を始めた。

 私もすぐに朝食を作りパパッと2人で食べて急いで学校に向かう。寮にでた現在時刻は8時10分。

 最初は神室さんが私のペースに合わせてくれていたのだが…

 

「はぁ、はぁ、もう、ダメです…!神室さんだけでも、先に、行ってください。私のことは、気にせず!」

 

 やはりというべきか私の体力は底を尽きてしまい、息切れによって苦しくなってきた。

 

「あーもう!あんただけ置いていくなんてできないでしょう!」

 

 神室さんはそういうと、私をお姫様抱っこ…!え?またこれ?既視感に溢れるような展開なんですが。

 

「あの!おんぶに!してもらえませんか…!」

「こっちの方が走りやすいんだから我慢しなさい!」

 

 神室さんは私を抱えると私では出せないものすごいスピードで走り始めた。うっ、頭が…!

 でも、このペースならなんとか間に合いそうだ。

 

 

☆☆☆

 

 

 いよいよ今日はテスト当日。あれから神室さんに勉強を教えたがやはり地頭はいいらしく、かなりの学習力で退学になることはまずないと言い切れるようになった。

 テストで神室さんが全教科90点以上取れれば、私が一つお願い聞くと言ったら、とてもやる気を出してきて、正直何をしてくるか怖い…。

 

 

☆☆☆

 

 

 テスト結果が出ると、やはりというべきか私は全教科満点だった。Aクラス全体の点数もとても高く、もしかすると平均90点は超えてくるんじゃないのだろうか…?Aクラスのパねぇ!

 問題の神室さんの点数だが、全教科90点以上を取れていたのだ!小テスト70点の神室さんがここまで取れたことに私は感動しているが、それとは逆に不安も残る。まさかとは思うが、私との関係をやめたいとか言い出したらどうしよう…。

 神室さんは珍しく感情を表にして小さなガッツポーズをとっている。いや、どんだけ私との関係を断ちたいんだ…。

 

「おめでとうございます、神室さん。約束通り私が一つだけお願いを聞いてあげましょう」

「ん、じゃぁ、それは今度にとっておくわ」

 

 あ、そうですか。じゃぁ、関係を断ちたいとかではないんだね。よかったぁ。

 

 

☆☆☆

 

 

 テストも終わり、少しずつ夏の暑さを感じ始めてくる今日この頃。放課後、一之瀬さんからメールが来たので、見てみると相談に乗って欲しいとの内容であった。相談内容は書いておらず、校舎裏に16時にきてとの連絡であった。

 その場所に私がいくと、すでに一之瀬さんは校舎裏で待っており、私を見つけると大きく手を振ってくる。

 

「ごめんねぇ、急に呼び出しちゃって。時間大丈夫だった?」

「いえ、友人の頼みとあれば、私はどこへだって行きますよ」

「にゃはは、そう言ってくれると嬉しいよ」

 

 一之瀬さんは、頬を赤らめながら照れ臭そうに頭をかく。

 それから、真剣な顔になると

 

「いきなりなんだけど、私の相談に乗って欲しくてね…。今日の帰る時に下駄箱を確認してみたら、こんな手紙があって…」

 

 その手紙は、可愛らしい装飾に包まれており、明らかな女子からのラブレターであった。あー、確かに原作でもこんな展開あったね。

 

「ラブレターじゃないですか。一之瀬さんみたいなかわいい女子生徒だとこのようなことは当たり前だと思っていたのですが」

「かわいいだなんてそんな…、坂柳さんの方がかわいいと思うけどなぁ…コホン、でこのラブレターの送り主なんだけど多分、女子だと思うんだよね、私も女子からのラブレターは初めてで…」

 

 一之瀬はそういうと、困ったような顔をして、こちらに助けを求めていた。

 

「ふむ、そうですね。私は女の子同士でも付き合っても良いと思うのですが…。一之瀬さんはその子と付き合いたいのですか?」

「うーん、正直にいうとまだ誰とも付き合おうとは思ってないんだよね。だから、どうやって断ればいいのか…」

「普通に断ればいいじゃないですか」

「え…?」

「相手はあなたが好きだからそのラブレターを送ってきたのでしょう?でも、あなたはその子と付き合う気はない。ならば、変に誤魔化すよりも相手の思いを受け止めた上で、しっかりと断ればいいと思います」

「………そうだね。私ちょっと相手のこの気持ちを考えていなかったかも。ありがとね!一之瀬さん!あなたのおかげで「え…帆波ちゃん?」……!」

「その子っていつも朝一緒にランニングしている子だよね…?そ、そうだよね、私よりもその子の方がかわいいし…でも、絶対に諦めないから!」

「あ、ちょっ!」

 

 ショートの髪型の女の子は、悲しそうな表情を浮かべると、何かを勘違いしたらしく、私をキッと睨みつけ、涙を流してその場を走って行ってしまった。

 一之瀬さんは追いかけようとしたが、私を置いていかなかったのかそこに踏みとどまる。

 

「ご、ごめんね、なんか千尋ちゃん変な勘違いしちゃったみたいで…坂柳さんごめん!まずいことになったかも」

「ええ、そうですね。このままだと私と一之瀬さんが付き合っているみたいな噂が流れてしまうかもしれません」

 

 うーん、困ったなぁ。私にとっては別に事実じゃないし問題はないのだが、一之瀬さんは人気者で誰かと付き合ってるなんか噂になると大事件となるだろう。

 

「ふむ、まぁ何事もないかもしれませんし、一度様子を見てみましょう。あと、さっきの子にはすぐに会いにいってはいけませんよ。あの子には少し立ち直るための時間が必要だと思います」

「わかった、じゃぁ今日は相談に乗ってくれてありがとね。また何かあったら連絡するから」

 

 一之瀬さんは少し悲しそうにその場をさって行った。




神室はサバサバ系ツンデレキャラ。
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