虚構   作:スタヴローギン

2 / 2
追憶

 これは本当、誓って本当の話、いや、嘘じゃ無い、信じてくれ、頼む、お願いだ、いや、じゃあもういいや、聴かなくていい、それなら話しても無意味だ、えっ、話せばいいだろう? 仕方ない、まあ、独り言だと思って聞いてくれ、僕は教授だった、ホグワーツ、僕の母校、嫌な記憶ばかりの城、羞恥と敗北が刻み込まれた場所、震える程の屈辱と、そして、失敗の総決算、そんな場所に、僕は居た、一年間、捕まるまで、ああ、教授だよ、教授、科目は? 闇の魔術に対する防衛術、フン、信じられないだって? 僕もだよ、何処の馬鹿が僕を雇うんだ、全く、ダンブルドアだよ、いや、コレは本当だ、まだ校長だよ、間違いない、これは信じてくれないと、本当に、アズカバンに、ディメンターにだって誓う、ウィゼンガモット法廷にだって誓う、何なら君の無罪と引き換えにしたっていい、それなら信じる? ありがとう。

 

 一年前の話、ポストが空いたって連絡があった、何処から? いや、何処からだろう、多分信じないぞ、ダンブルドアからだよ、ほら、信じなかっただろう、まあ、風の便りでもいいよ、何処からか、これでいいだろう? それで、渋る僕に、ダンブルドアが一押しとばかりに、ああ、嘘くさいな、もう止めるよ、まあ、そんな訳で、僕は教授になった、闇の魔術に対する防衛術、ハッハッハ、アズカバンに入る奴から何を学ぶかだって? 何も、いや、本当だ、何も無いだろうな、ああ、僕の無能さとか、僕がどんなにマヌケな奴かとか、そんな事は学べたと思う、あと、教科書に指定されたからって、すぐに買うな、揃えるな、買う前に中身をキチンと見ておけ、そんな事も、いや、本当に、信じないと思うけど、僕は本を書いていたんだ、作家だよ、作家、人気作家、一冊ニガリオン、七冊指定したから、生徒一人で十四ガリオン、いや、儲かった、儲かった、勿論ジョークだよ、ジョーク、そう、笑ってくれればそれでいい。

 

 授業は? 授業、いや、覚えていない、全く、何にも、だって、教科書は僕の本だぞ、何を学ぶんだ、アズカバンへの入り方か? ふふっ、いや、実際、コレは冴えたジョークじゃ無いか? 笑って貰えて嬉しいよ、続けるぞ、授業なんて、特に何もやらなかった、えっ、やったこと? 劇とか、いや、劇だよ、劇、僕が主人公で、生徒が脇役、それで、いや、忘れてくれ、自習みたいな物だよ、本当に、ああ、分かった、分かった、ピクシーの退治とかを、コレは本当だ、いや、笑ってくれよ、殆ど嘘みたいな物だから、いや、まあ、いいや、うん。

 

 それで、ハロウィーンの晩に、不愉快な事件が発生した、ハロウィーン、十月だよ、いや、まだ教授だよ、失礼な、いや、何でもない、スクイブの、ああ、フィルチだっけ、あの管理人の、いや、スクイブらしいね、僕も知らなかったよ、あの猫が、うん、ミセスノリス、石になって吊るされてた、何処に? うーん、何処だったかな、廊下に、僕の部屋の近く、アレは、まあ、忘れたよ、まあ、石になった猫が吊るされてた、で、壁には血文字で、いや、ペンキだったかも、分からないけど、秘密の部屋が開かれたって、だから、継承者の敵は気をつけろ、そう、あの噂の、まあ、やっぱり信じないか、まあ、いいよ。

 

 それで、生徒達が次々と石になった、マグル生まれの生徒たち、スリザリン以外、うん、まぁ、そうだよ、マグル生まれだけだから、ハッフルパフが多かった、グリフィンドールも、あとは、レイブンクローで一人、いや、二人かな、忘れたよ、そうそう、グリフィンドールにいるゴースト、ニコラス何ちゃら、ああ、それ、首の無い、いや、首が繋がっていない、それだよ、いや、笑い事じゃ無くて、まあ、やっぱり信じないか、アレは見ないと信じられない、うん、石じゃ無いな、焦げたみたいに黒くなって、喋らなくなった、動かすのが大変だったよ、動かないゴーストをどうやって動かしたんだ? 確かにね、えっと、どうしたんだっけ、扇いで動かしたんだっけ、ああ、まあジョーク、それでいいや。

 

 それが続いた後で、とうとう問題が起こった、もう起きているじゃ無いか? いや、まあ、死人は居なかったから、これは僕の意見じゃ無い、ダンブルドアの意見だ、まあ、そう思うか、僕だって伝聞で聴いたらそうなるけど、当事者ならそう考えても仕方が無い、だって、マグル生まれしか狙われていなかったんだから、皆の本音だろ、あ、いや、ごめん、ここに居るから、てっきりそんな感じの方かと、いや、何にも無い、本当に、忘れてくれ、まあ、それで、問題が起きた、ダンブルドア、そう、校長が解任、襲撃の責任を取った、あとはハグリッド、森番、大柄の、ちょっとの間ここへ来ただろ? ああ、いや、違う、ドラゴンを育てたりなんかじゃ無い、秘密の部屋の事件に関して、そう、あの人、退学になったんだ、五十年前、秘密の部屋が開かれた時、え、聞いていない? まあ、事件は闇に葬られたんだよ、体のいい言い訳だ? いや、いや、誤魔化していない、じゃあ、ハグリッドの杖を見たことあるか? 無いだろう、折られたんだよ、その時に、ほら、反論できない。

 

 脱線したな、で、純血の生徒が被害に遭った、いや、スリザリンじゃない、グリフィンドール、うん、知ってるかな、ウィーズリー、そう、赤毛の、そう、そう、アーサー・ウィーズリーの子供、末っ子の、ジニーとかいう女の子、いや、今回は石じゃ無いな、誘拐? 連れ去り? 声明があった、秘密の部屋に横たわるだろう、そんなメッセージが、壁に書かれていた、少し前の事だね、学期末近くだから、二ヶ月位前、それくらい。

 

 で、僕は教授だった、よりによって、闇の魔術に対する防衛術、うん、まあ、ジョークか、もう、いいや、それで、マクゴナガルとか、スネイプとかに、スネイプ? うん、そう、上の名? セブルス、いや、同僚だった、教授だよ、スリザリンの寮監、そうそう、ベトベトの髪で嫌味な、知り合いか、友達が多そうには見えなかった、違う? ああ、やっぱり、まあ、そうなのか、いや、あの人は凄くグリフィンドール生を嫌っていたから、異常な位、特にポッターなんて、ポッター? ハリー・ポッターだよ、知らないか、まあ十年も入っているんだっけ、有名人なんだよ、えっ? 知り合いなのか? 嘘だろう? 彼の後見人だって? ふふっ、ナイスジョーク、な、ほら、笑われるって嫌だろう、僕もだよ、いや、うん、信じるよ、本当に、笑っていない、本当に、信じるよ。

 

 兎に角、教授達に、同僚に、僕が何とかしろって言われた、無理だろう? うん、無理だ、逃げようとしたさ、勿論、そこは信じるんだな、まあ本当なんだけど、そんな時に、ポッターと、そう、君の、それと、ウィーズリー、いや、違う方、子供が沢山いるんだ、何人だったかな、五人? 六人? そのうちの一人、そいつらが僕の部屋に来た、ジニーを、妹を助けてだって、無理だ、うん、出来ない、断ったら、二人共杖を向けてきた、いや二年生、後見人なら年齢位知っていると思うが、まあ、仕方ないか、二人は二年生、うん、で、負けた、いや、笑ってくれ、慰めは要らないよ、そう、武装解除で、ポッターの、いや、彼は優秀だよ、まあ、僕が無能なんだけど、あとはシーカーもやってたな、そうそう、箒が上手いんだ、一年生の時から負け無しだって、一年生、いや、特例、そう、マクゴナガルが、規則を曲げたんだよ、それでチームに入ったらしいね、それで、へぇ、父親もシーカーで? フムフム、上手かったんだ、羨ましいね、才能って奴か…




 その後、僕は彼らに案内されて、二人共場所を知っていたんだ、いや、知らないよ、兎に角、秘密の部屋に行って、そこの怪物を倒して、それで、帰って来た、うん、ヒーロー、そうだろ、ジニーも助かったよ、ウィーズリー夫妻にも感謝されて、特に母親の方に、いや、普通の魔女だよ、スプラウト先生みたいな、まあ、そうなんだけど、色々あって捕まった、うん、そうだよ、嘘だよ、何処からだって? 全部、全部ウソ、まあ、いい退屈しのぎにはなっただろう、ああ、ポッターのは本当、シーカーだよ、グリフィンドールの、うん、眼鏡でね、いや、そこまで目立つ訳じゃ無いけど、いや、いや、そんな事しない、いい子だよ、まあ、規則は破るけど、どんな? そうだな、空飛ぶ車で城に来たりとか? そう、そう、ウィーズリーと二人で、それで、暴れ柳に突っ込んで、いや、笑えるよ、だろ? ん、そんな事オレ達でもやってないだって? アンタら一体何やってたんだ? まったく、いいな、人気者だったんだ…

▲ページの一番上に飛ぶ
Twitterで読了報告する
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。