中東への自衛隊派遣は1等海佐(1佐=他国軍の大佐)が3人も送り込まれ、この種の海外活動では異例の高官派遣となることが分かった。
際立つのは、米海軍の中枢のひとつである米中央海軍司令部に自衛隊として初めて連絡幹部を派遣することと、その連絡幹部が派遣される3人の1佐のうちの1人であることだ。
この米中央海軍司令部は、米軍主導の「有志連合」司令部を兼ねる。今回の高官派遣は、日本政府が「参加しない」と明言しているはずの「有志連合」への実質的な参加を意味するのではないか。
参加していない「有志連合」の主力に?
米国が60カ国以上の国々に呼び掛けたにもかかわらず、6ヵ国の参加にとどまった「有志連合」。米国を除けば、艦艇を派遣するのは英国、オーストラリアの2ヵ国しかない中で、日本の護衛艦1隻、哨戒機2機の中東派遣は「有志連合」の貧弱な情報収集態勢の「補完」を通り越し、「主力」となる可能性さえある。
米中央海軍は中東の親米国バーレーンに置かれ、「米海軍第5艦隊」と「多国籍軍による連合海上部隊」を束ねる米海軍の主要司令部。ペルシャ湾、オマーン湾、紅海などの中東海域とケニア沖などの東アフリカ海域を任務海域としている。
この米中央海軍司令部に1月中旬、海上自衛隊の岩重吉彦1佐(49)が連絡幹部として派遣され、着任した。岩重1佐は、横須賀基地にある米海軍第7艦隊司令部の連絡官や、海上幕僚監部総務課渉外班を務めた対米連携の専門家だ。
これまで自衛隊連絡幹部のバーレーン派遣は、連合海上部隊のひとつである海賊対処を任務とする「CTF(統合任務部隊)151」への派遣にとどまり、現在、CTF151では1尉(大尉相当)1人が勤務している。
CTF151の上部機関である米中央軍司令部への派遣は過去に前例がなく、連絡幹部として1佐をバーレーンに派遣するのも今回が初めてとなる。
CTF151よりも上位にある米中央海軍司令部への高級幹部の派遣は、「有志連合」が2019年11月に立ち上げた「オペレーション・センチネル(番人作戦)」をめぐり、日本が米国と密接に関わることを意味する。