勧誘約の“四天王”ら逮捕
全国で130億円以上を集めた農園経営会社の投資詐欺事件で、勧誘役ら5人が逮捕された。
愛知県での被害が最も多いとみられ、逮捕状が出されていて現在海外にいるとみられる元副社長の男は、東海テレビの取材に対して関与を否定していた。
山崎祐輔容疑者(2019年5月)：
誰が被害者だと思いますか？
――お金が戻ってこないと言っている人かなと
山崎祐輔容疑者(2019年5月)：
それで僕ら今どれだけ被害を被っているか…
“自分自身も被害者”。2019年5月、ニュースOneの取材に対しこう答えたのは、岡山県の農園経営会社「西山ファーム」の当時副社長だった山崎裕輔容疑者(40)だ。
山崎祐輔容疑者(2019年5月)：
西山ファームはこの件に関して集客してないんですよ。勧誘活動してないので
と詐欺事件への関与を否定していた。
このインタビューから2年半が経った2021年10月17日、愛知県警は西山ファームの元幹部で資金の管理を担当していた伊藤弘敏容疑者(37)を逮捕。
さらに、勧誘役の「四天王」とされる花本将光容疑者(32)ら男4人も逮捕された。
警察によると、5人は西山ファームの事業へのウソの投資話で、横浜市の女性から2019年までに現金790万円ほどを騙し取った詐欺の疑いが持たれている。
捜査関係者によると、5人は犯意を否認しているという。
また警察は、山崎容疑者についても同じ容疑で逮捕状をとっているが、現在海外にいるとみられ行方を追っている。
「自信をもって話をしていた」被害男性が語る詐欺の手口
少なくとも全国930人から約134億円を集めていたというその手口は、「果物の海外転売事業への投資」だ。
まず勧誘された出資者が、指定されたサイトからクレジットカードで桃などの果物を購入。その果物は出資者の元には届かず、西山ファームが代わりに海外に転売して利益を得る。
そして出資者には、カードの引き落とし日の前に最大3％の配当を上乗せした代金が入金される仕組みだった。
しかし、実際には海外で果物を販売した形跡はほとんどなく、自転車操業だったとみられている。
2015年ごろから始まったこの仕組みは、クレジットカードさえあれば元手となる現金が不要なため、20代から30代の若者を中心に出資者が急増。
被害者の男性（30代）：
物腰は柔らかい方だったと思います。自信をもって話をされている感じだったので、信用するかなというタイプ
勧誘役の1人、花本容疑者についてこう話すのは、2016年から出資していた愛知県に住む30代の男性。
出資から2年は実際に入金があったというが、2018年の秋ごろから滞るように。しかし、その後も3％の利益を維持する保証金として、現金500万円を要求された。
被害者の男性（30代）：
最初は花本さんが説明をして渋っていたら、そのあと山崎さんがどうしても必要だからって、高圧的に途中から話に加わってきて
渋々300万円を支払ったが、それからわずか半年、一切の入金が停止され、今も1100万円が戻らないままだ。
被害総額20億円 訴訟は全国で
警察は、山崎容疑者らが入金できないことを知りながらも、出資者から金を集め続けていたとみている。しかし…。
山崎祐輔容疑者：
それ（勧誘）をアウトソーシングしていたんですね。僕らは「営業代行」と呼んでいるんですけど。それが結局、一人歩きしてって、どういう結果になったかといったら…
山崎容疑者は入金が停止して間もない2019年5月、花本容疑者ら勧誘役などが「西山ファームの名前を悪用してやった」などと答えていた。
山崎祐輔容疑者：
（勧誘役に）あまりにもおかしな人がいて、ここ（出資者）をあおって集団訴訟しようと。それで僕ら今どれだけ被害を被っているか…
このインタビューのわずか1カ月後、愛知県警が西山ファームの関係先を一斉に家宅捜索。山崎容疑者は2020年2月に海外へと渡り、西山ファームは破産手続き中となっている。
一方で花本容疑者は、SNSに世界各地へ旅行する羽振りの良い様子をその後も更新。
9月にも、名古屋で資産運用のセミナーを開くなどしていた。
現在、出資者による訴訟が全国で起きていて、原告の弁護士によれば、約1500人が合わせて20億円の被害を訴えている。
警察は18日、花本容疑者らを送検。山崎容疑者の行方を追うとともに、事件の全容解明を進めている。
（東海テレビ）
