死刑執行を死刑囚に当日告知する運用は憲法に違反し非人道的だとして、死刑囚2人が4日、国に精神的苦痛への慰謝料計約2千万円の支払いなどを求め、大阪地裁に提訴した。

 弁護団によると、死刑を当日告知する運用をめぐる訴訟の提起は初めて。

訴状などによると、死刑の執行は法務大臣による命令から5日以内の実施が法律で定められているが、告知の時期に関する規定はない。現在は死刑囚本人に執行の1~2時間前に伝える「即日告知・即日執行」の手法で運用されている。

原告側はこうした運用について、「法律による適正な手続きを経た刑罰」を定めた憲法の規定に違反していると指摘。刑事訴訟法は死刑の執行停止や不服申し立ての権利を保障しているが、現在の運用では死刑囚が弁護人に連絡する時間すらないと訴えている。

原告側代理人の植田豊弁護士は「行政の運用によって、不服申し立ての機会を奪われていることが問題だ」とし、「死刑執行への受忍義務はあるが、『即日告知・即日執行』という違法な死刑執行を受忍しなければならない義務はない」などと述べた。

法務省は「訴訟が係属した際には、適切に対応したい」とコメントした。