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預託商法、原則禁止へ法改正 「抜け穴」指摘も

(更新)

安愚楽牧場やジャパンライフなど、巨額の消費者被害が繰り返されてきた「販売預託商法」を原則禁止する改正預託法が来年6月までに施行される。過去約35年間でこの商法による被害総額は1兆円以上。抜本的な改革を求めてきた専門家からは法改正を評価する声が上がるが、「抜け穴」も指摘されている。

加工食品のオーナー制度を展開した「ケフィア事業振興会」が客と交わした契約書=共同

預託商法は、業者が顧客にいったん販売した商品や権利を預かり、「運用して利益を出す」とうたって定期的に配当金を渡す取引。現物が手元に届かないため、事業実体がなく詐欺的な企業であっても、配当が続く限り顧客側は気付きにくい。

法改正により、この商法自体が原則的に違法になった。例外として認められるのは、勧誘前と契約時の2段階で消費者庁の審査を通過した場合のみ。その都度、内閣府の消費者委員会にも意見を聞く必要があり、消費者庁の担当者は「ここまでやれば悪質業者の暗躍は防げるはずだ」と言い切る。

最近、社会問題化しているのは、USBメモリーの販売預託を展開し、今年3月に消費者庁から業務停止命令(2年)を受けたVISION(ビジョン)。自転車操業状態を隠した勧誘活動が特定商取引法違反に当たると指摘されたが、命令後も勧誘を継続している。国会質問で同庁幹部は、V社も「(改正法による)規制の適用対象になりうる」と答弁している。

ケフィア事業振興会の本社から家宅捜索の押収物を運び出す警視庁の捜査員ら(2019年2月、東京都千代田区)

一方で、加工食品のオーナー制度を展開し、1千億円超の負債を抱えて2018年に破産した「ケフィア事業振興会」は、元代表が詐欺罪などで起訴されたが、販売預託商法に当てはまらないという。

理由は、顧客が購入した物品を企業に預ける「預託期間」が不明確だったため。改正法は販売預託商法の定義の一つに「預託期間が3カ月以上」と挙げている。

ケフィアのオーナー制度は、例えば干し柿の事業では、1口5万円でオーナーを募り、長野県の関連会社で干し柿を製造し、7カ月後にケフィアが商品を買い取ってオーナーに5万5250円を支払うと勧誘していた。

干し柿は一度も顧客に引き渡されないため、預託期間は所有権がケフィアから顧客に移った時期が起算点となるが、契約書にいつ移転するか明記されていなかった。ケフィアが恣意的に預託期間を決めることができ、預託期間が不明確のため、改正法の適用外になる。

ケフィアの被害対策弁護団事務局次長の今泉将史弁護士は「法の隙間であり、穴を突いて事業を展開する悪質業者が今後出てきてもおかしくない」と指摘。「オーナー制度の被害は、警察が動く頃には巨額になっている場合が多い。政府は丁寧な実態調査をし、被害の未然防止と早期発見に取り組むべきだ」と話す。〔共同〕

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