変わらない、朝

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朝6時。



いつものように、洗濯機を回しながら鉄瓶にたっぷり

お湯を沸かす。にじくんのお弁当のシャケを焼いてい

る間に、母からの指令のユーグレナを飲む。

変わらない、朝。





一年前は、この「ふつうの朝」が嬉しくてたまらなか

ったっけ。玉子焼き作るだけでも幸せだったのに。

お弁当作っている間、布団に子どもが二人、寝ている

気配を感じるだけで、胸がいっぱいだったのに。






いつの間にか、感謝を忘れちゃうね。

反省、反省……。







「日常生活を丁寧に送ること」に、ちゃんと軸足を

置いていれば、人生それほどぐっちゃぐちゃには

ならないと思う。それが叶わなかったあの日々を知っ

ているから、今、児童精神科なんて別にちゃんちゃら

おかしいや。






だって「白血病で入院していました。」って言ってる

のに「あれ、三歳児検診は引っかからなかったの?」





この子には人生の3分の1を占める「失われた時間」

がある。そのことに寄り添ってもらえると思って、

わざわざ入院していた病院の児童精神科まで行ったの

にな。お医者さんでさえこうなら、学校の先生には

どんなに言葉を尽くしても、なかなか伝わらないだろ

うな……。小児がんを乗り越えてきた人たちにしか、

分からないよね。






まあ、よかよか。

結局どんな子だって、本当に守ってやれるのは親だけ

です。ひかりちゃんがどんなにステキな世界を持って

いるかなんて、お医者さんには興味もないこと。






身も蓋もなく「軽度知的障害」と言われたけど、

考えてみたら、勝手なカスタムメード登校の免罪符を

もらえたってことね。すっかりコロナが終息しちゃっ

て、口実がなくて困っていたからね。





7時。




にじくんの目覚ましが鳴って、ひかりちゃんのコラ

ショが鳴って、しばらくしたら寝室から二人の笑い声

が。にじくんがまたちょっかいかけてるな。

私が寝ていた場所でぬくぬくしていたはずの猫たちが

大慌てでキッチンへ逃げてきました。





にぎやかな一日のはじまりです。