- 変化はさまざまな面でわたしたちの暮らしに影響を及ぼす。
- しかし、わたしたちの多くは、思ったより変化に適応するのが得意ではない。
- ポジティブな変化ですら、ストレスになることもある。
- つまり、自分では大丈夫だと思っていても、無意識のうちにストレスを溜めている可能性がある。
- 人生に起こる変化とうまく付き合う5つの方法を紹介しよう。
人生は何が起こるか分からない。だが、1つだけ確かなことがある。物事は変化する、ということだ。
生きている限り、わたしたちは常に変化に直面する。新しいシャンプーを試すといった小さな変化もあれば、転職や引っ越しといった大きな変化もある。うれしい変化もあれば、パートナーとの別れや親しい人を亡くすといった痛みを伴う変化もある。
PwCのシニア・マネジャーで、自身のコーチング・サービス「Harvey Sinclair」の創設者でもあるクリストファー・ハーベイ(Christopher Harvey)氏はBusiness Insiderに対し、人間は元来、変化に適応するのが下手だと語った。
その変化がポジティブなものであったとしても、無意識のうちに心理的な影響を受けると言う。
「昇進をしたり、宝くじに当たったりすると、わたしたちはこんなに良いことはないと思いますよね? 」と、ハーベイ氏は言う。
「すぐにうれしくなって、ポジティブな気持ちになるでしょう。でも、あなたの思考はこれまでの経験を超えて広がり、より精神的に不安定に、より感情の起伏が激しくなるでしょう」
人は変化がもたらすインパクトを考えないと、ハーベイ氏は言う。なぜなら、実際はそうでないにもかかわらず、自分が変化にうまく適応できると考えているからだ。
しかし、きちんと向き合うことなく大きな変化を受け入れると物事は破たんしかねない。それは、人間関係もキャリアも、何でも同じだとハーベイ氏は指摘する。「『自分はなんて変化に適応するのが下手くそなんだろう! 』と自覚するまで、恐らくひどい失敗を繰り返すことになるでしょう」
変化は、わたしたちに根深いストレスをもたらす。これは戦うべき相手ではなく、うまく付き合う相手だ。ハーベイ氏は人生に起こる変化とうまく付き合う5つの方法を挙げた。
1. 自分がコントロールできるものとそうでないものを知る
変化は小さなものから大きなものまで、さまざまだ。だが、例えば経済恐慌などは、自分の力でどうにかできるものではない。
「自分がコントロールできるようなことかどうか知るだけでも、気分が良くなるでしょう。なぜなら、あなたは意識的にそれを考えたからです」と、ハーベイ氏は言う。「『実際に責任を取ることのできる、自分にできることとは何か? 』を考えましょう。そうすれば、何かできることがあるかもしれません」
2. 自分自身をいたわる時間を作る
「多くの変化はネガティブなインパクトをもたらすことを受け入れ、意識的に"自分を愛する"時間を作りましょう」と、ハーベイ氏は言う。「実際に自分をほめてあげる時間を取るのです」
例えば引っ越しをすると、落ち込んだ気分になることがあるかもしれない。そういう時は、自分を責めたり無理をするのではなく、自分が心から楽しめることをして過ごすといい。
「『大丈夫』だと思いましょう。『2、3日はイライラするかもしれないけれど、明日の夜は映画を観に行って、新しい友人を見つけよう』と考えるのです」と、ハーベイ氏は言う。そうすることで、くよくよ悩むのではなく、何かポジティブなことをすることで変化に適応する時間を自分自身に与えることができる。
3. 自分の思考パターンを変える
ハーベイ氏は、変化がいつ起きて、その結果がどうで、自分がどう感じたかといった自分の思考パターンを最初から最後まで書き出してみることを勧めている。
「どこかしら間違いがあるものです」「誇張や思い込みがあるかもしれません…… そうした考えが頭に浮かんだときは、思考のつながりのどこかが少し間違っているので、その思考をポジティブなものと置き換えることを覚えておきましょう」とハーベイ氏は言う。
例えば、仕事をクビになったのは、その日遅刻したせいだと"誇張"するのではなく、「これは自分のせいではない」と置き換えてみよう。
「時間が経つにつれ、自分の考え方にこれが埋め込まれていきます」とハーベイ氏は言う。「その変化になぜ自分がそう反応したのかを考えてみましょう。恐らく10回のうち9回は冷静な反応ではないでしょう」
4. 目の前のことに集中する
過去に起きたことを変えることはできないし、大半の場合、将来起きることもどうにもならない。しかし、今の自分の気持ちや、反応をコントロールすることはできる。
「今日の自分の行動が、未来の自分の気持ちにどれだけのインパクトを与えるか、考えなければなりません」とハーベイ氏は言う。「現在に集中しましょう。ただし、短期的な欲求よりも長期的な幸せを考えるべきです。そうでないと後々、やるべきことを先延ばしにしたことを後悔することになるでしょう」
5. 自分にとって何が重要かを考える
最後に、自分にとって何が大事かを考えよう。ハーベイ氏は、人は自分を知り、自分にとって何が重要かを知るのに、十分な時間を使っていないと指摘する。だが、それを理解していれば、変化にもより上手く対応できるだろう。
「たくさんの知らない人に囲まれるのが自分は苦手だと分かっていれば、対処方法はいくらでもある」とハーベイ氏は言う。「一般的に、変化の中にも自分をイライラさせる要素があるものです。それが分かっていれば、変化の要素を分析して、状況により上手く対応できるでしょう」
[原文:Why we are bad at dealing with change — and 5 ways you can improve]
(翻訳、編集:山口佳美)