中国の「極超音速ミサイル」開発が示唆する“米中軍事同盟”という意外すぎる近未来

心配すべきことは他にある
近藤 大介 プロフィール

「アメリカ単独の軍事的覇権」が困難な理由

コロナ禍になるまで、私は一年に1回、中国広東省の深圳を訪れていた。「中国のシリコンバレー」と言われる深圳を見ると、中国の近未来、ひいては世界の近未来が見えてくるからだ。

例えば、深圳には世界最高技術を持ったドローンの会社、DJI(大疆創業)の本社がある。彼らが開発しているのは、主に商業用や公共目的用(防災など)のドローンだが、深圳のIT関係者から、こんな話を聞いた。

「半導体チップの小型化に伴い、ドローンも年々、小型化・軽量化していっている。おそらく近未来には、『ハエ型ドローン』が誕生するだろう。もしも『ハエ型ドローン』を100万機作り、AI技術を駆使して、それに強力な細密兵器を積んで飛ばせば、太平洋上に浮かぶアメリカ軍の巨大空母だって撃沈できるはずだ」

Gettyimages

恐ろしい話だが、たしかに一理あった。イナゴの大群のように「ハエ型ドローン」が出現したら、空母打撃群に備わっている迎撃ミサイルで撃ち落とすことはできないだろう。そもそも警戒レーダーに反応するのかも不明だ。

半導体チップで世界最先端を行く企業は、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)である。昨年から5nmの半導体チップの量産化を始め、来年は3nmの半導体チップを開発し、2025年には2nmの半導体チップを開発すると宣言している。

「nm」(ナノメートル)というのは、1mの10億分の1の単位である。人間の髪の毛の直径は約10万nmだから、髪の毛の直径の10万分の1が1nmである。つまり2nmの半導体チップと言えば、髪の毛の直径の5万分の1ということになる。

また、物質の一応の最小単位である原子の大きさは、0.1nm程度である。ということは、原子が20個並んだくらいの半導体チップを、TSMCは5年以内に開発してしまうのだ。

そうなると、「ハエ型ドローン」どころか、「ウイルス型ドローン」だって作れてしまうだろう。日本ウイルス学会のホームページによれば、昨年来世界を席巻している新型コロナウイルスの直径は、約100~200nmである。つまり新型コロナウイルスの中に、TSMCの最新半導体チップを十分搭載できるのだ。

前述の深圳のIT関係者の話ではないが、「ウイルス型ドローン群」と「巨大空母」が対決した場合、ドローンに軍配が上がるというのも、肯ける話だ。

 

私が言いたいのは、中国軍がいかに危険かということではない。そうではなくて、21世紀においては、もはや「アメリカ単独の軍事的覇権」というのは成り立たないということだ。

いまは極小半導体チップは、TSMCしか作れないかもしれないが、いずれ中国の半導体メーカーも作るようになるだろう。そうなると、単に核兵器や空母や原子力潜水艦を多数持っているからと言って、軍事的優位を誇れなくなるということだ。

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