つるぎ町立半田病院は31日、電子カルテシステムが身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」に感染したと発表した。感染したのはシステムのメインサーバーで、患者約8万5千人分の個人記録が保存されている。個人記録の流出の有無は不明。サーバーへのアクセスができないため、11月1日から新規診療などの受け入れを当面停止する。
半田病院によると、感染によって、電子カルテのメインサーバーへのアクセスが不能となった。バックアップサーバーにもウイルスが侵入している可能性があるため、安易にアクセスできない状態という。電子カルテシステムと連係した検査システムや画像システム、診療報酬システムなども使用不能となった。
31日午前0時半ごろ、英語で書かれた文書が自動でプリンターから出力されたのを看護師が見つけ、感染が発覚した。システム担当の職員や電子カルテシステムのメーカーなどに連絡したが、対応できなかったため、午前8時55分ごろ、美馬署と県警本部に連絡して被害届を提出した。
文書には「あなたのデータは盗んで暗号化している。ランサムにお金を払わないと特別なウェブサイトにデータを公開する」などと記されていた。同日午後9時時点で、流出したデータが公開されている特殊なホームページには半田病院の情報はないという。
電子カルテシステムは、県内の医療ネットワークなどと専用回線でしか接続されておらず、セキュリティーソフトなど不正アクセスを防ぐ対策を取っていた。ネットワークやUSBメモリーを経由した感染などが考えられるとして原因を調査している。
半田病院は新規診療や他院からの紹介、救急患者の受け入れを停止。予約再診や予防接種、透析は行う。病院では平日1日当たり200~300人の外来患者がいる。須藤泰史病院事業管理者は「患者さんにご迷惑をお掛けした。申し訳ありません」と話した。