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(京田)あ~ あ~ 聞こえますか。
JOAK JOAKこちらは 東京放送局であります。
<A long time ago>
(京田)「聞こえますか。JOAK こちらは 東京放送局であります」。
<At the same timeas Japanese radiobroadcastingbegan,a baby girlwas born>
(泣き声)分かった 分かった…。
(金太)かうぇえらしいのう。
(泣き声)
<Her family’s businessmade traditional Japanese sweets>
♪~
<The girl was named Yasuko>
(ひさ)あっ こんにちは。どうも。
<This is the very beginning ofa family storythat spans one hundred years.100年の物語の始まり 始まり>
♪~
♪「君と私は仲良くなれるかな」
♪「この世界が終わるその前に」
♪「きっといつか儚く枯れる花」
♪「今、 私の出来うる全てを」
♪「笑って笑って」
♪「愛しい人」
♪「不穏な未来に 手を叩いて」
♪「君と君の大切な人が幸せである」
♪「そのために」
♪「祈りながら sing a song」
♪「祈りながら sing a song」
♪~
(杵太郎)うん?かてえ小豆があるぞ。
(丹原)すんません 大将。
金太 おめえが もっとちゃんと教えとけ。
はい すいません。
安子!工場に入ったらおえんて言よろうが!
(安子)おじいちゃん。お~ 安子。
ハハハッ お父ちゃん怖えのう。
よし ほら こっち来え。
よいしょっ。 ほら…出来たての おはぎじゃ。
安子にゃあ 甘んじゃから…。
<安子は 尋常小学校の3年生です>
うめえか?うん。
お兄ちゃん。
(算太)うん?おはぎは どうですか?
(算太)はい 頂きます。
おいしいですか?
おいしいです。あっちいお茶も ちょうでえ。
は~い ただいま。
算太! おめえ またこねえなとこで怠きょって!
早う戻れ。
<安子の兄 算太は菓子職人の修業を始めていました>
清子さん こんにちは。たわしゅう ちょうでえ。
(清子)はいはい。お使い偉いねえ 安子ちゃん。
はい ありがとう。
よいしょ。転ばんように 気を付けられえよ。
おおきに。
・(ラジオ)「しかし わしが なんぼけちや 始末やというたかてお賽銭というのは こら まああげるべきもんやな。で 向こう行くとな 四社の社というのがいくつかあってその前に 小さな賽銭箱があるわな」。(吉兵衛)フッフッフッフッ…。
(ラジオ)「ここへ まず一銭玉を1枚出してきてなこれをな放り込んだらいかんのやで?これを賽銭箱の縁へ載せる。で まあ 拝んでで 次へ持ってって 縁へ載せて拝む」。(吉兵衛)ハハハハハ!
(ラジオ)「次へ持ってって 縁へ載せて拝む。…で しまいに ず~っと こう縁へ載せて拝んで回ってってやなしまいに正面の大きな賽銭箱へな本殿の賽銭箱に 今度は未練げもなしに景気よう ポ~ンと放り込んどいて…」。
わあ 卵焼きじゃ!ありがとう お母さん!
お弁当の隅っこにおはぎゅう詰めたらいけんかなあ。
(小しず)いけんに決まっとろう。(ひさ)しゃあけど 大福じゃったら白えごはんの中に入れたら分からんかもしれんな。
お義母さん!うそじゃ うそじゃ。
安子 お菓子ゃあ帰ってきてからじゃ。は~い 行ってきま~す。
(2人)行ってらっしゃい。
おはよう。おはようございます。
おはようございます。(卯平)お~ 安子ちゃん おはよう。
(花子)おはよう。きぬ! 安子ちゃん 来たよ。
(きぬ)は~い!安子ちゃん おはよう。
おはよう きぬちゃん。(2人)行ってきま~す。
はい 行ってらっしゃい。
おはようさん。(2人)おはようございます。
(勇)ピッチャー 第1球 投げました!カッキ~ン! 打ちました!(歓声)
早稲田 4番 村井選手 大きな当たり!さすが 勇ちゃん!
また勇ちゃんじゃ。 やかましいなあ…。ほっとかれえ。 子供なんじゃ。
おい あんこ。あんこじゃねえわ 安子じゃ。
(勇)お前の家 ラジオあるんか。ラジオ?
ねえんか。 やっぱりのお。貧乏商店街じゃもんなあ!
早稲田と慶応の野球中継 聴きてえんならうちで聴かせたってもええで。
いらんわ!
本当に 子供じゃあなあ…。
<ラジオは まだまだ庶民にとって 高根の花でした>
♪~
(せきばらい)
あの~ 大将。
何なら?
ラジオを買う ご予定なんかはねえんかなあ思いまして…。
ラジオ?おお ええなあ ラジオ。 うん。
あほうなこと言うな。
そねえなもん買うたら仕事に身が入らんわ。
あ あ… う… うん… そうじゃ。
(菊井)いや しかしですね舶来のぶどう酒だって西洋音楽を聴かせたらおいしゅうなるいう話です。あんこも…。
そねえなもん聴かさなんでもうちのあんこは うまい。
ハッハッハッ。そ… そうじゃ…。
(黒鉄)いえ 私らのためじゃねえんです。奥さんや 若奥さんの娯楽に…。
そねえ ぜいたくな。
町内でラジオ持っとるいうたら荒物屋のケチ兵衛さんくれえじゃ。
吉兵衛さんじゃ。町内会長さんつかまえて ケチ兵衛て…。
とにかく ラジオは 買わん!
おう おう おう安子も欲しかったわなあ ラジオ。
おはようございます!
おはよう 安子。(一同)おはようございます。
小豆ゅう炊きょうるから入ったらおえんで。
おじいちゃんは?うん? まだじゃ。 何か用か?
おじいちゃんが ラジオ買うてくれた!
えっ…。えっ…。えっ!
本当か!?
はあ~本当に じいちゃんは安子に甘えのう。
(ラジオ)「岡山県の天気予報を申し上げます。今日は 移動性の高気圧に覆われて爽やかな秋晴れの天気となりましょう」。
へえ~!今日は気持ちのええ秋晴れじゃあてえ。
そねえなことも教えてくれるんですねえ。
(ラジオ)「明日は 終日 雨になり北東からの冷たい風が…」。
明日りゃあ 雨なんか。
おじいちゃん!ラジオ買うてくれて ありがとう!
そねえなもん 買うとりゃせんで?(一同)えっ?
せえでも 枕元に このお手紙が…。
算太!ありゃ どこ行った… おい。 おい。
こりゃ 算太!あのラジオ どねしたんなら!
待て… こりゃあ! おい!
おんどれ…!うわっ!
おめえか! わしのラジオ盗んだん!
すんません このとおり!
こらえたってつかあさい。
いいや こらえん!こりゃあ れっきとした窃盗じゃあ。
う~ん まあ…あんたが 店先に つけっ放しのラジオ置いて 飛び出していったから魔が差したんじゃなあ。黙っとれ お前は!
(清子)お産婆さんを呼びに飛び出さはったんです。
おっ 清子さん! 生まれたんか!
おかげさんで 安産でした。
(金太)お~!
(2人)かうぇえらしいのう!
(清子)ねえ あなた。おめでたい時なんやさかい もう これで。
いいや! こらえん!
あの…。・(杵太郎)すんません。
お邪魔してええじゃろうか。
大将まで来て頭ぁ下げてもこらえんけえな!
いや~ 違うんじゃ。
今な産婆のトメさんから聞いたんじゃ。おめでとうございます。
今回だきゃあ 大目に見てやらあ。
(3人)ありがとうございます。
ハハッ すいまへん。 おおきに。ウフフッ。
かわ… かわ。かうぇえな。 ハハハッ。
おおきに。かうぇえらしい。
せえでも ええ顔して笑いよったのお。
ラジオ聴きょうる時。
家のもんも 職人らも 皆…。
菓子食ようる時と おんなじ顔じゃ。
ありがとうございます。
ただいま。(2人)お帰り。
・(ラジオ)♪「おい等は浮かれてぽんぽこ ぽんの ぽん」
(ラジオ)♪~
お~ 安子。買ったよ おじいちゃん。
♪~
♪「証 証 証城寺 証城寺の庭は」
♪「ツ ツ 月夜だみんな出て 来い来い来い」
<安子はこの上なく幸せな女の子でした。Yasuko was such a happy little girl>