脳科学者の茂木健一郎氏が、21日にツイッターを相次いで更新。国内外の政治ニュースに絡めて、日本社会のエイジズム(年齢差別)を批判した。
■ハッシュタグに苦言
発端となったのは、ツイッターでトレンドになっている「自民の二大老害は政界を去れ」とのハッシュタグだった。これは、奔放な発言を繰り返す自由民主党の二階俊博幹事長と、麻生太郎財務相に対する抗議の意味を込めて広まったタグ。
茂木氏はこれに関して、「このハッシュタグ、ぼくは苦手です」と表明し、「政策の内容を具体的に批判するのならいいし大いにやったらいいけれども、『老害』というエイジズムに基づく言葉を平気で使っている時点で、即アウトです」と述べ、賛否を呼んでいた。
このハッシュタグ、ぼくは苦手です。政策の内容を具体的に批判するのならいいし大いにやったらいいけれども、「老害」というエイジズムに基づく言葉を平気で使っている時点で、即アウトです。こういうものが許容される日本のネット文化はおかしい。 #自民の二大老害は政界を去れ
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) January 21, 2021
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■新大統領のニュースにも…
ツイートから30分後、今度は「NHKのニュースで、バイデン大統領の就任のことを、真っ先に『最高齢の大統領の誕生』と報じる。公共放送ですら、この程度のリテラシーでエイジズム垂れ流し」と、数時間前に就任したアメリカ新大統領のニュースの報じ方を批判。
「日本のメディアも文化空間もレベル低すぎ」と厳しい言葉で結び、日本にはびこるエイジズムを重ねて批判したのだった。
NHKのニュースで、バイデン大統領の就任のことを、真っ先に「最高齢の大統領の誕生」と報じる。公共放送ですら、この程度のリテラシーでエイジズム垂れ流し。日本のメディアも文化空間もレベル低すぎ。
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) January 21, 2021
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■一貫して批判している茂木氏
茂木氏は先日にも、大学共通テストを失格になった鼻出し受験生の話題に関し、40代という年齢を小馬鹿にする意見に「大学に行くのに何歳じゃなければいけないということはありません」と反論。
若いことが良いことだとされるような日本の風潮に、一貫して異議を唱えている立場だ。
一連のツイートには、「日本人はメディアを筆頭に、年齢に縛られた窮屈な価値観を持っているなと常々思います」「日本人ってすぐに年齢の事気にする」「若くても能力の無い奴もいるし年寄りでも有能な奴もいる」など、多くの賛同が寄せられている。
鼻出しマスクで試験が無効になった方が40代だったという報道がありましたが、問題の本質は何も変わらないと思います。大学に行くのに何歳じゃなければいけないということはありません。年齢で人を判断するのはエイジズムです。この後、補足の動画をあげます。
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) January 18, 2021
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■自分はいい年のとり方をしている?
海外を見渡すと、アメリカには「年齢差別禁止法」なるものが存在し、採用や労働条件で年齢を基にした差別が禁止されている。一方、日本は採用条件に年齢上限が定められていることが多く、さまざまな場面でエイジズムの影を見ることができるだろう。
年齢といえば、しらべぇ編集部が全国の20~60代の男女1,357名を対象に調査を実施したところ、「自分はいい年のとり方をしている」と回答した人は、全体で26.1%という結果に。
性・年代別に見ると60代で跳ね上がっており、還暦とともに自身の生き方に納得する人が多いことが分かる。
これから超高齢化社会に入り、若者の割合が減っていく日本。高齢者が増えることで「老いは恥ずかしいことではない」と価値観の変容が起こるかもしれない。
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(文/しらべぇ編集部・玉山諒太)
対象:全国20代~60代の男女1,357名(有効回答数)