熊本県の阿蘇山が10月20日に噴火し、気象庁は噴火警戒レベルを3に引き上げて入山規制しました。今回の阿蘇山噴火の影響や東海3県の火山の現状を、火山や地震の専門家である名古屋大学大学院・地震火山研究センターの山岡耕春教授に伺いました。

 まず阿蘇山の噴火に関して、九州には17の活火山があり、噴火警戒レベル3は阿蘇山を含めて3箇所ありますが、山岡教授は「火山はそれぞれ単独で活動してマグマだまりなどもつながっていないため、他の火山に連動するとは考えにくい」と話します。

 同じ週には諏訪之瀬島(すわのせじま)の御岳(おたけ)でも噴火がありましたが、どちらも普段から活発な噴火がある山で、連動しての活動ではないと分析しています。

 東海3県にある活火山の現状についても伺いました。東海3県の活火山は全部で5つ、すべて岐阜にあります。

・焼岳(やけだけ・1963年噴火)
・御嶽山(おんたけさん・2014年噴火) 
・白山(はくさん・1659年噴火)
・乗鞍岳(のりくらだけ・約500年前噴火)
・アカンダナ山(噴火なし)

 アカンダナ山以外の4つの山は噴火警戒レベル1に当たりますが、山岡教授は「活動度は下がりつつあり大規模噴火の兆候はない」としています。

 しかし9月19日には、岐阜県高山市で震度4を観測する地震が発生し、その後の10日間で飛騨地方で32回の地震がありました。山岡教授は「この地震の火山への影響はないと考えているが、今後も地震が続く可能性はあるため、引き続き注意してほしい」と話しています。

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 また、噴火の予知についても伺いました。火山は24時間体制で様々な機械を使って監視されています。

・「傾斜計」山のふくらみやマグマの動き
・「火山カメラ」煙や熱のようす
・「地震計」人では分からない小さな地震を捉える
・「空振計」爆発による空気の振動
・「火山ガス観測」二酸化硫黄などガスの測定

 これらを測定して気象庁が分析し、異常が見られた場合は噴火警報や予報を出しますが、噴火を事前に予知するのはなかなか難しいのが現状だといいます。

 ただし先日の阿蘇山の噴火は、観測の歴史も長く噴火も頻繁のためデータが多く、ある程度予測はできていたということです。実際に噴火の1週間前には警戒レベルを2へ引き上げていました。その翌日にごく小規模な噴火があり、20日の大規模な噴火になりました。

 山岡教授は「火山やその近くに行く場合、ハザードマップなどを見てどういう可能性があるのか、どう逃げるのか、事前の勉強が大切」と話しています。