中国企業発の漫画版TikTokは、マンガの第三の楽しみ方を提案
どこの国でもスマホなら、「上から下」に読み進めていくことになる
Webtoonが世界でヒットしているのにはそれなりに理由がある。まず、従来の漫画単行本のような「出版」前提の作品作りではなく、「モバイル配信」が前提として制作されているため、国による「マンガの読み方の違い」がない。紙ベースだと、日本なら右上から左下、アメリカなら左上から右下と読み進めていく、という前提でマンガが作られるため、翻訳したり外国人が読んだりしたときに、どうしても何かしらの不具合が生じる。その点、世界共通の縦スクロール前提で作品作りが行われれば問題が起きないというわけだ。ネイバーとカカオはグローバルなM&Aを活発化させ、世界中に事業規模を拡大させている。
独自のWebtoonを武器に、発展を続けているのが中国の電子コミックサービス「快看(クワイカン)」だ。中国メディア「AI Caijing(財経)」の報道によると、「快看」の現在の登録ユーザー数は3億4,000万人。月間アクティブユーザー数は5,000万人。2021年8月には2億4,000万ドル(約263億円)の資金調達を完了したと発表されており、ネイバーとカカオに対抗する第三勢力となりつつある。
この資金は何に使われるのかというと、「漫劇(マンチュイ)」と呼ばれる新しい映像コンテンツに力を入れるという。これはいわゆる「動くマンガ」で、マンガに動きやキャラクターボイスをつけた“マンガ以上アニメ未満”というコンテンツ。いわば漫画版TikTokといっていいだろう。すでに多くの作品が配信されており、今後もますます発展しそうな勢いを見せつけている。
日本にも数多くのマンガアプリが存在するが、その中で縦読み形式のマンガはまだ少数派というのが現実だ。もしもこれから「マンガは縦に読むもの」という認識が世界に広まっていった場合、日本のお家芸といえる「マンガ」が、いつの間にか隣国にとられて変容してしまった、なんてことになる可能性も……。そうならないように祈りながら、横でも縦でもマンガを楽しめる感覚を養っていきたい。
参考元:日本人だけが知らない、中韓が漫画市場の覇権を獲る日 ── 「漫画版TikTok」は264億円調達【Business Insider Japan】
※サムネイル画像(Image:bagussatria / Shutterstock.com)