寝ても寝ても疲れが取れないのはなぜか

「十分に睡眠時間を確保しているはずなのに疲れが取れない・・・」、こんな悩みを持っている人もいるでしょう。実は睡眠は時間だけではなく質も大事なのです。睡眠時間をしっかりと確保していても、睡眠の質が低下していると疲れが溜まって取れなくなってしまうこともあります。寝ても寝ても疲れが取れない原因を解説します。
1.寝ても寝足りないのはなぜ?
人間に必要な睡眠時間には個人差があります。4~5時間眠れば十分な人もいれば7~8時間眠らないと疲れが取れないという人もいます。ショートスリーパーの人は滅多にいないので、たいていの人は普段の睡眠時間が6~8時間程度のことが多いのではないでしょうか?ただしいつも通りの睡眠時間を取っているはずなのに疲れが取れないということも十分にあります。その時にはなにが起きているのでしょうか?
1-1.睡眠の質の低下
人間の睡眠はノンレム睡眠とレム睡眠があります。ノンレム睡眠は脳も体も眠っている状態で、レム睡眠は脳が起きていて体が眠っている状態です。ノンレム睡眠とレム睡眠は交互に現れています。就寝したばかりの時は深くノンレム睡眠をしています。ノンレム睡眠は明け方になり起床する時間が近づくにつれ、眠りの深さが浅くなり、時間も短くなります。一方でレム睡眠はもともと浅い眠りです。明け方になるにつれ眠りの深さはより浅くなり、時間が長くなっていきます。深い眠りのノンレム睡眠と浅い眠りのレム睡眠の繰り返しで人間は夜、睡眠を取っています。
人間の睡眠で重要なのはこのノンレム睡眠です。ノンレム睡眠を深くできれば、より睡眠の質が向上し、休息効果が高まり心身ともに疲労が回復します。しかしなんらかの要因によりノンレム睡眠の質が低下すると、休息効果は弱まり寝ても寝ても疲れが取れないということになります。
睡眠の質が低下する原因は様々です。まず挙げられるのがストレスで、ストレスは交感神経を刺激して心身を緊張させてしまいます。ストレスを日常的に受けている人は就寝中も緊張して、眠りが浅くなります。ノンレム睡眠の質が低下してしまうほか、夜中に起きてしまったり(中途覚醒)、朝早く起きてしまったり(早期覚醒)してしまうことが多くなります。就寝時間は23時で起床時間が6時だとしても細切れで起きてしまうと、睡眠は足りなくなってしまいます。
そのほかアルコールの摂取や睡眠時無呼吸症候群、うつ病といった状態、ライフスタイルの変化などが睡眠の質を低下させる原因となります。
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1-2.睡眠負債が溜まっている可能性
多少睡眠不足が続いても週末にしっかりと寝だめをすれば、十分回復できると思っていませんか?実は休日の寝だめは睡眠不足の対策になりません。睡眠不足は借金のように積み重なっていきます。このことを「睡眠負債」と言います。睡眠負債が溜まっていると、普段の睡眠時間を確保しているのにも関わらず、疲労が残ってしまうということもあり得ます。
睡眠負債が溜まっていくと1日8時間の睡眠が必要な人が1日5時間程度しか眠れないと、1日に3時間の睡眠負債が蓄積していきます。平日5日間でおよそ15時間、人間はそこまで長い間眠り続けることができないので、休日にこの睡眠負債を緩和できるまで眠ることは大変難しいです。このように徐々に蓄積していく睡眠負債は心身に悪影響を及ぼすようになります。
疲労感や倦怠感が消えなかったり、集中力や注意力が低下したりと日常生活に支障が出てきます。全身に悪影響を及ぼし不調を招くため、睡眠負債を溜めないように眠る必要があります。
1-2-1.まとめ
睡眠時間を十分に確保しているつもりでも、睡眠の質が低下していたり睡眠負債が溜まっていたりすると疲れが取れません。それでは睡眠の質を高め、熟睡感を得て疲労を軽減するにはどのような方法があるのでしょうか?次の項目で解説します。
2.熟睡感を得る方法
もちろん睡眠時間を確保して、次の日まで疲れを残さないことが最良です。しかしそれぞれ生活があるので、熟睡感を得るまで好きなだけ眠るということは難しいでしょう。それならば睡眠の質を高めるしかありません。睡眠の質を高めて熟睡感を得る方法を紹介します。
2-1.睡眠の質を高める入浴法
就寝する際に人間の体温は高くなると思いますか?それとも低くなると思いますか?実は意外なようですが、人間が眠る際には体温、特に体の内部の深部体温が低くなる必要があります。そのためスムーズに入眠して、ノンレム睡眠を深くするためにはまず深部体温を高めて、そこから急激に下げていくことが有効です。
深部体温の調整に効果的なのは入浴です。40度程度のお湯に15分程度浸かることで、深部体温は高くなります。深部体温は90分ほどで下がっていくため、就寝時間の90分前までに入浴を済ますことで、スムーズに眠れ、ノンレム睡眠も深くなります。もちろん水分補給も大事です。体を冷やしすぎないように、常温の水を入浴後に飲むのがよいでしょう。
2-2.ベッドでは眠ること以外のことをしない
ベッドに入るとついついスマホをいじったり、ベッドライトをつけて本を読んだりしてしまうと思います。しかし電子機器の強い光を見たり、頭を使う本を読んだりすると脳は覚醒に近づいてしまいます。睡眠の質を高めるためには、ベッドでは横になって眠ること以外しないようにするとよいでしょう。しばらくこの習慣を続けると体がベッドに入る=眠るということを覚えて、入眠しやすくなります。
2-3.起床したら4時間以内に太陽の光を浴びる

人間の脳は覚醒してからおよそ16時間後にメラトニンという睡眠のホルモンが分泌され、眠くなります。朝6時に起きる人ならばだいたい22時くらいにまた眠気が誘発されるというイメージです。質の良い睡眠のためには規則正しい生活が必要なのはこれが理由です。太陽の光を浴びると、脳が覚醒してまた16時間後に眠気が誘発されます。できるだけ起床してから1時間以内に浴びるようにすると、規則正しい生活リズムとなります。休日などでもう少し眠りたいという場合でも可能な限り、普段の起床時間の4時間以内に太陽の光を浴びるようにしましょう。
2-4.夕方に軽い運動を行う
入浴の項目でも解説しましたが、人間が眠る時には体の深部体温を下げる必要があります。日中の活動により、深部体温が上がっていれば就寝するまでに下がり、質の良い睡眠に繋がります。夕方の16時から20時くらいまでの間に軽く汗ばむ程度の運動を行うと、深部体温が高まります。その後、食事や入浴などさらに深部体温を高めるとより深い眠りにつきやすくなります。夕方から就寝90分ほど前までに深部体温を高め、そこから下げることで熟睡できるようになります。
2-4-1.まとめ
寝ても寝ても疲れが取れない場合、睡眠の質が低下している可能性があります。かといって睡眠時間を好きなだけ確保できる人はほとんどいないでしょう。そんな時は睡眠の質を高めるようにしましょう。特に入眠直後のノンレム睡眠を深くする対策をすると、眠りの質が高まります。
3.まとめ
・疲労回復に重要なのはノンレム睡眠
・寝ても疲れが取れない時は睡眠の質を高めることが重要
・特に深部体温を就寝時間の90分前までに高めておくことは大切なポイント
・ベッドに入ったら眠る以外のことをせず、朝起きたら太陽の光を浴びること
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