まさに“ネット界の文春砲”…“現代の公開処刑”ともいえる「コレコレ」とはいったいなんなのか

飯田 一史 プロフィール

また、コレコレの本によるとコレリスの中核は20代女性だが、相談者はそれよりも若い未成年であることが少なくない。つまりネットリテラシーがある程度身についている人間たちが、身についていない側が巻き込まれたトラブルについての相談を楽しんでいることになる。視聴者は動画を通じて自分の無知を突きつけられたり、立場が脅かされたりすることはない(もっとも、2019年に起こった旭川いじめ自殺事件の被害者もコレリスだったというから、コレコレの配信で取り上げられるような「悪人たちにはいつか鉄槌が下る」と期待しながら観ている人たちも一定数いると思われるものの)。

正義厨でない視聴者層の大半は、おそらく野次馬的な興味から観ているだろう。相談者と疑惑をかけられた側、どちらがどう転んでもいいが、リアルタイムで発言や行動の矛盾が突っつかれて追い詰められていくのを見るのがスリリングでおもしろい、というものだ。

 

現代の魔女狩り、公開処刑

→炎上にしろ祭りにしろ、実質的には中世に魔女狩りや公開処刑を娯楽にしていた人々や、古代ローマで奴隷同士の拳闘を楽しんでいた人々と大差ないと筆者は考えている。

魔女狩りや公開処刑が庶民の娯楽だったのは、当時ほかに娯楽が少なかったからだとも言われるが、おそらくそれだけではない。

集団で(自分たちのほうが悪いという疑念を抱くことなく)暴力を振るったり、暴力の行使を目撃したり、安全地帯から殴り合いや殺し合いを眺めたりして高揚感を共有することには、ほかの娯楽には換えがたい独特の群衆的な享楽がある。

[PHOTO]iStock

コレコレの生放送は現代の魔女狩りであり、公開処刑であり、拳闘の観覧である。

今日においては、かつての公開処刑のように、あるコミュニティの成員がひとつの事件(ないし暴力)が起こっている現場に居合わせ、娯楽として消費し、騒ぐ機会は少ないが、彼はそれを提供している。

アイドルやYouTuber、VTuberなどが行う大半の生配信は、配信者やそのコンテンツのファンとして配信者および視聴者同士で時間を共有することはある。しかし、コレコレのケースのようにゴシップや「裁き」をリアルタイムで共有できることはまれだ。
テレビやラジオの場合、「生放送」といっても進行台本がきっちり存在し、予定調和的に進む。対してコレコレの配信の場合、相談者から持ちかけられた話がどう転ぶのか、どこまで証拠が出てくるのかがわからない面白さがある。

ただし、本当に何が起こるのかまったく予想がつかないと、それはそれで何を楽しみに見ていいのかわからなくなる。コレコレの場合、相談者と容疑者がいて、どこまで容疑者を追い詰められるか、どちらがウソを付いているのかといったポイントになる部分をコレコレが整理することによって、非常に見やすいものになっている。

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