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あなたの行動がより良い世界を次につなぐ。青柳 仁士さん

2021年10月25日

ページ番号:518206


いま世界は、新型コロナウイルス感染症がもたらした不安に揺れています。
毎日の生活が一変してしまったなかで、人類と地球の未来のためにSDGsが掲げる目標を考え、身近なところでどのように行動すればよいのか、その手がかりを、元・国連職員(SDGs担当)の青柳仁士さんに解説していただきました。

青柳仁士さんの写真

人類と地球の目標SDGs まずは身近な課題を見つけ出す

 近ごろ、「エスディージーズ(SDGs)」という言葉を聞いたり、目立つカラフルな17色のリングのロゴマークを目にしたりしたことがないでしょうか?社会人であれば企業のウェブサイト・パンフレット・商品、学生であれば教科書や試験問題、それ以外にもテレビ・新聞・雑誌や街中でもよく見かけます。2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会や、2025年大阪・関西万博においても、シンボルとして使われています。

 SDGsとは、「2016年から2030年までの人類と地球の目標」のことです。正式にはSustainable Development Goalsといい、日本語で「持続可能な開発目標」という意味です。2015年に、193ヵ国という世界のほぼ全ての国の総理大臣や大統領によって合意されました。貧困・不平等・気候変動・資源・平和といった社会課題に対する17個のゴールと169個のターゲットでできています。また、「誰一人取り残さない」という理念を掲げ、最も見過ごされがちな人々や遅れている部分への支援を最優先することを原則としています。

 SDGsは、その名が示す通り、世界を持続可能にするための目標です。つまり、裏を返せば今私たちが生きているこの世界は持続不可能であることを意味しています。今の世界が持続不可能であるという状況は、様々な側面で表れています。例えば、人々の貧富の格差は広がり続けており、世界の上位26人のお金持ちが世界の富の半分を持つ一方で、下位半分の人々は社会保障すらなく、7億人は絶対的貧困下で暮らしています。世界のほとんどの都市では許容量を超えた人口の増加と流入が続いています。天然資源の消費量の伸び率は人口や経済の増加率を超えている状況にあります。

 SDGsの前の時代、2001年から2015年にはMDGs、ミレニアム開発目標という世界の目標があり、15年­間で「世界の貧困を半減する」という目標を達成しました。その原動力は世界が一つの目標を掲げ、バラバラだった人や組織の活動を統合したことでした。SDGsはMDGsよりも遥かに規模が大きく、たくさんの人や組織を巻き込み、強力な力を持つ統合行動です。これによって、人類の進歩の方向性を変えることで、持続可能な世界を実現する希望を見出すことができるのです。

 「人類の統合行動」というと、スケールがとても大きなイメージですが、個人の行動に落とし込んで考えてみると、もっと身近に感じることができます。例えば、手洗い・うがいを習慣にすることは、自分自身が健康でいることにより、医療サービスや社会保障費をもっと必要としている人々に譲ることができ、同時に感染症を予防して病人の数を減らすことにつながります。「すべての人に健康と福祉を」というゴール3へ貢献する行動となります。SDGsは、実際にやってみることで、それまで知らなかった課題を発見し、自分事として感じられるようになります。また、その行動とゴールの達成とのつながりを考える中で、より深い理解に至ることができます。

新型コロナウィルス感染症がもたらした社会と意識の変化

 新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以来、あらゆる潮流はコロナの影響なしに考えるのが難しくなりました。1990年代から続いてきた国際的潮流の中にあるSDGsも例外ではありません。SDGsの観点から見て、新型コロナウイルス感染症がもたらした社会の変化とは何でしょうか?最も重要な変化は、地球規模の課題に対する共感が一気に広がったことです。

 SDGsは世界が持続不可能であると主張してきました。しかし、そうした認識に対し、これまで頭では分かっていても、自分事として共感している人は多くありませんでした。なぜなら、貧困・環境・紛争といった地球規模の課題は、世界の多くの人々にとって「遠いどこかの話」であり、今、自分の身の回りで起きている事ではなかったからです。

 しかし、今回のコロナ禍では、ニュースで見ていた中国の風邪ウイルスの発生が、あっという間に自分自身の周辺にまで及び、毎日の生活スタイルを一変させてしまいました。また、限界を越えた世界とはどんなものかを身をもって知り、当たり前と感じていた普段の生活が実はとてももろい土台の上にあったことを実感するに至りました。

 コロナ禍とは、SDGsゴール3に含まれる感染症の問題であり、SDGsの示す社会課題そのものといえます。また、感染がこれほどまで拡大した背景には、発生源の地域の衛生環境、世界全体での都市の過密化、環境汚染による都市住民の免疫力低下、国際機関や各国の連携不足による水際対策の遅れなどがあります。これらは全て、SDGsに書かれている社会課題です。もしSDGsに対して適切な対策を以前から行っていたならば、今回のコロナ禍は起きなかったかもしれません。

 もっと感染力が高く致死率の高いウイルスであれば、人類は絶滅の危機に瀕していたかもしれません。コロナ禍を無事に抜けたとしても、そうしたリスクはこれからも存在し続けます。地球や人類といった大げさなことではなく、自分自身の生活を持続可能にするために、普段から社会課題に取り組むことが重要であると感じた人は少なくないのではないでしょうか。そうした共感の広がりは各国の政治や世界経済全体にも反映されてきており、国・企業・人々などの考え方と行動に様々な変化をもたらしています。

 SDGsの目標の中には、あなたにできることがたくさんあります。手洗い・うがいの他にも、使わない電気は消す、食べ物を捨てない、SNSで良い意見をシェアする、水筒を持ち歩く、投票へ行く、プラスチックをリサイクルする等々、持続可能な世界をつくる行動を、今日から始めてみてください。

青柳 仁士(あおやぎ ひとし)さん

社会起業家╱元・国連職員(SDGs担当)

一般社団法人SDGsアントレプレナーズ代表理事。2001年から国連開発計画(UNDP)、国際協力機構(JICA)、プライスウォーターハウス・クーパース株式会社(PwC)にて、日本、米国、アジア・中東・アフリカ諸国で社会課題解決型事業・ビジネスの実践に携わる。SDGsが始まった2016年にUNDP駐日代表事務所の広報官として日本の政府機関、民間企業、教育機関、メディア・市民社会等への初期のSDGs普及に従事。SDGsにビジネスで取り組むための国連初のプラットフォームを設立。2019年にSDGsアントレプレナーズを立ち上げ、社会起業家として活動。早稲田大学政治経済学部、デューク大学国際開発政策学修士卒。1978年生まれ。

SDGsの17の目標

SDGsの17の目標のうち、1.貧困をなくそうのロゴマーク

貧困をなくそう

SDGsの17の目標のうち、2.飢餓をゼロにのロゴマーク

飢餓をゼロに

SDGsの17の目標のうち、3.すべての人に健康と福祉をのロゴマーク

すべての人に健康と福祉を

SDGsの17の目標のうち、4.質の高い教育をみんなにのロゴマーク

質の高い教育をみんなに

SDGsの17の目標のうち、5.ジェンダー平等を実現しようのロゴマーク

ジェンダー平等を実現しよう

SDGsの17の目標のうち、6.安全な水とトイレを世界中にのロゴマーク

安全な水とトイレを世界中に

SDGsの17の目標のうち、7.エネルギーをみんなにそしてクリーンにのロゴマーク

エネルギーをみんなにそしてクリーンに

SDGsの17の目標のうち、8.働きがいも経済成長ものロゴマーク

働きがいも経済成長も

SDGsの17の目標のうち、9.産業と技術革新の基盤をつくろうのロゴマーク

産業と技術革新の基盤をつくろう

SDGsの17の目標のうち、10.人や国の不平等をなくそうのロゴマーク

人や国の不平等をなくそう

SDGsの17の目標のうち、11.住み続けられるまちづくりをのロゴマーク

住み続けられるまちづくりを

SDGsの17の目標のうち、12.つくる責任つかう責任のロゴマーク

つくる責任つかう責任

SDGsの17の目標のうち、13.気候変動に具体的な対策をのロゴマーク

気候変動に具体的な対策を

SDGsの17の目標のうち、14.海の豊かさを守ろうのロゴマーク

海の豊かさを守ろう

SDGsの17の目標のうち、15.陸の豊かさも守ろうのロゴマーク

陸の豊かさも守ろう

SDGsの17の目標のうち、16.平和と公正をすべての人にのロゴマーク

平和と公正をすべての人に

SDGsの17の目標のうち、17.パートナーシップで目標を達成しようのロゴマーク

パートナーシップで目標を達成しよう

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