誰もわかってくれないと感じる心理の原因と説明
POINT誰もわかってくれないと感じるのは、親にわかってもらえなかった体験があるからです。
心理カウンセラーの寺井です。
人は、誰かに認めてもらったり褒めてもらったり、自分の考えや気もちをわかってもらうことで自信を感じ成長していきます。
でも、誰もわかってくれないと心が傷つき、いつまでもわかってもらえない状況が続くと、わかってもらおうとすること自体を諦めることで、心がこれ以上傷つかないように身を守ります。
とくに、幼少期、親が自分の気持ちをわかってくれない経験があると、「親ですらわかってくれなかったのだから、世の中の人間はどうせ誰もわかってくれない…」という心理=人への警戒心を感じながら、苦しい人間関係を過ごすことになります。
そして、「どうせ誰もわかってくれない…」と感じたままだと、周囲の人との関わりを避けがちとなって孤独を募らせ、ストレスを抱えがちとなり、うつ病など、心の問題を引き起こす大きなきっかけとなります。
この記事は、誰もわかってくれないと感じる心理について、心理学に沿って説明しています。
誰もわかってくれないと感じる心理とは?
誰もわかっくれないと感じる心理は、「自分には価値がない…」「相手は聞いてくれるわけがない…」などの気持ちを感じている心理と言えます。
また、誰もわかっくれないと感じる心理とは、「どうせ自分なんて…」と拗ねてしまっている心理状態とも言え、ある日ある時から、自分に対しても、相手に対しても、多くの誤解と思い込みを感じたままで信頼しづらくなっており、孤独感を募らせ続けている苦しい心理状態とも言い換えることができます。
わかってほしいと感じる心理=「承認欲求」
そもそも、人はなぜ?「誰もわかってくれない…」という心理を感じるのでしょうか?
もともと、人は自分の気持ちを相手にわかってほしいと感じる生き物です。
人は、自分の気持ちを相手にわかってもらう(相手に共感してもらう)ことで、はじめて、ほっと安心した気持ちを感じます。
このとき、誰かにわかってほしい&認めてほしいと感じる気持ちを、心理学では「承認欲求」と言います。
承認欲求(しょうにんよっきゅう)とは、「他者から認められたい、自分を価値ある存在として認めたい」という欲求であり、「尊敬・自尊の欲求」とも呼ばれる。
引用元:承認欲求
このように、人は、家族、学校、仕事、友人、恋愛などの人間関係おいて、親や家族や先生や上司や同僚や友人や恋人に、自分の気持ちをわかってもらえると、周囲に認めてもらえている&周囲に必要とされていると感じ、勇気を感じたり自信を感じたりします。
どうせ誰もわかってくれないと感じる心理は、「アダルトチルドレンの特徴」
反対に、人は自分の気持ちをわかってもらえないとき、とても悲しい気持ちになり、心が傷つきます。
そして、自分の気持ちを相手にわかってもらえない経験が重なると、だんだんと「どうせ誰もわかってくれない…」という心理を感じるようになります。
とくに、「三つ子の魂百まで」という諺にもあるように、人は、3歳~10歳前後までの幼少期に、「親が自分の気持ちをどれだけわかってくれたか?」「親が自分の存在をどれだけ承認してくれたか?」の体験が、その後の人間関係における、勇気と自信に大きく関わっていきます。
このように、幼少期、親に自分の気持ちをわかってもらえなかったことで、大人になっても、「どうせ誰もわかってくれない…」と生きづらさを感じ続けている人を、心理学では「アダルトチルドレン」と呼びます。
アダルトチルドレン(ac)チェックリスト
また、「どうせ誰もわかってくれないと感じる心理状態」を始めたとした、アダルトチルドレンの特徴は、以下の「アダルトチルドレン(ac)チェックリスト」を実行することで詳しくチェックすることができます。
苦しい心理状態を改善するためには、自分を知ることが第一歩となりますので、是非、チェックしてみてください。
関連記事・アダルトチルドレン(ac)チェックリスト
どうせ誰もわかってくれないと感じたままの自分=「インナーチャイルド」
幼少期、親に自分の気持ちをわかってもらえなかったり、親との関係において心が傷つき、大人になっても傷ついたままの幼少期の自分のイメージを、心理学では「インナーチャイルド」と言います。
そして、インナーチャイルドが傷ついたままだと、「これ以上、傷つきたくない!」という恐れの気持ちが強くなり、そのぶん、人への警戒心が強くなり、結果、どうせ誰もわかってくれないと感じる心理状態に陥ってしまいます。
よって、どうせ誰もわかってくれないと感じる心理は、ある意味、「幼少期から傷ついたままのインナーチャイルドが助けを求めて訴えている…」とも言い換えることができます。
インナーチャイルドとは?
どうせ誰もわかってくれないと感じる心理を改善するための重要な鍵=「インナーチャイルド」については、以下の記事で詳しく紹介していますので、是非、お読みください。
誰もわかってくれないと感じる心理は、インナーチャイルドセラピーで改善できる
前述の通り、心理学では、「心の問題は、幼少期も含めた過去の経験」が大きく影響していると捉え、誰もわかってくれないと感じる心理は、インナーチャイルドが傷ついているからこそ感じる心理であり、傷ついたインナーチャイルドを抱えているからこそ感じるアダルトチルドレンの特徴であると心理学では捉えます。
よって、誰もわかってくれないと感じる心理は、幼少期から傷ついたままの自分のインナーチャイルドを、インナーチャイルドセラピーによって癒すことで落ち着かせることができる…と、心理学では捉えます。
このように、幼少期の経験が大きく影響していることをしっかりと認識したうえで、自分の幼少期の気持ちを自分で満たすことで、誰もわかってくれないと感じる心理の改善が可能となっていきます。
このとき、幼少期から今でも、「どうせ誰もわかってくれない…」と感じたままの幼い自分の気持ち=自分のインナーチャイルドの気持ちを、大人になった自分が、親に代わってわかってあげることで、誰もわかってくれないと感じる心理を改善する方法を、「インナーチャイルドセラピー」と言います。
インナーチャイルドセラピーとは?
誰もわかってくれないと感じる心理を改善する方法=「インナーチャイルドセラピー」については、以下の記事で詳しく説明していますので、是非、お読みください。
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誰もわかってくれないと感じる心理に陥る原因
誰もわかっくれないと感じる心理は、裏を返すと、「自分の気持ちをわかってもらえなかった過去の経験」が影響しているとも言い換えることができます。
ということは、誰もわかっくれないと感じる心理は遺伝によるものではなく、あくまで、生まれた後の経験に基づいて生まれた心理と言えます。
誰もわかってくれないと感じる心理に陥ってしまう原因は、以下の点があげられます。
POINT
- 人間関係に自信がないため
- 防衛機制が強まっているため
- 依存心を感じやすいため
- わかってくれない親=毒親の影響
- 子どもがわかってもらえない家庭=機能不全家族
それでは、以下に詳しく説明していきます。
原因①人間関係における成功体験の不足=「自信がない」
人は、なにかをしたとき、親や先生に褒めてもらったり認めてもらうことで安心し、自信を感じて前進し成長していくことができます。
このように、親や先生などに褒めてもらったり認めてもらうことで、安心や自信を感じることができた体験を「成功体験」と言います。
成功体験とは「過去に成功してきた体験のこと」です。今迄自分が経験したきたことの中で、成功を収めてきたことを言います。
よって、過去、周りの人に自分の気持ちをたくさんわかってもらえてきた人は、人間関係における成功体験が豊富なぶんだけ、人間関係に自信を感じやすくなり、過去、周りの人に自分の気持ちをあまりわかってもらえなかった人は、人間関係における成功体験が乏しいぶんだけ、人間関係に自信を感じずらくなります。
このように、家庭内に自分の気持ちをわかってくれない親がいると、人間関係における成功体験が不足してしまい、子どもは、心理的な成長が止まってしまう場合があります。
原因②わかってほしいけど、傷つくのが怖い=「防衛機制」
親を始め、自分の気持ちを誰にもわかってもらえない状況は、自分の気持ちを心に押し込めがちになるわけですから、長く続くとストレスが溜まり、とても苦しい心理状態に陥ることになります。
苦しい心理状態は、確かに、早く楽にしたいと感じますが、苦しい心理状態を楽にするためには、自分の気持ちを誰かにわかってもらう必要があります。
とはいえ、勇気を出して、自分の気持ちを誰かにわかってもらおうとしたのに、「やっぱりわかってもらえなかった!やっぱりやめておけばよかった!」となってしまうことは、より一層の苦しい心理状態を招いてしまいます。
だとしたら、はじめから「どうせ誰もわかってくれない…」と、拗ねたように諦め気味に感じ、わかってもらえないことに備えていれば、実際、わかってもらえなかった時に受けるショックを少なくすることができます。
このように、人は過去の体験によって、「どうせ誰もわかってくれない…」と、あえて期待を感じないようにすることで、万が一の際のショックを和らげようとします。
このとき、本当は「わかってほしい」と感じているのに、「どうせ誰もわかってくれない…」と、「自分や相手に期待せず否定的に捉えることで、自分の心が受けるショックを和らげようとする心の働き」を、心理学では「防衛機制」と言います。
防衛機制(ぼうえいきせい、英: defence mechanism)とは、受け入れがたい状況、または潜在的な危険な状況に晒された時に、それによる不安を軽減しようとする無意識的な心理的メカニズムである。
引用元:防衛機制
原因③親代わりの承認者を求める=「依存心」
例えば、お仕事で重要な決定をするときも、上司さんの承認が無いと前進できません。
それと同じように、子どもは、親が自分の気持ちをわかってくれないと、ソワソワ&モヤモヤ&グルグルと心配や焦りを感じ続けるようになり、「親に承認されていない大人」=「自信を感じられない大人」になっていきます。
そして、親に承認してもらえないまま大人になると、大人になって自信がない余り、家族、学校、仕事、友人、恋愛などの人間関係おいて「親代わりとなる承認者」を求めるようになります。
このとき、夫婦、先生、友人、知人、恋人などのなかに、親代わりの承認者を求める心理を、心理学では「依存心」と言います。
ただ、依存心自体は悪いものではなく、むしろ、自分が苦しいとき、自分から「助けてほしい!」と言える人の方が、自分のストレスをためにくくなります。
よって、依存心を感じたとき、「どうせ誰もわかってくれない…」と、我慢をしてしまうのではなく、「助けてほしい!」と、相手を信頼し、正直に助けを求めることができているか?が重要なポイントです。
原因④わかってくれない親=「毒親」の影響
このように、自分の気持ちをわかってくれない親との関係が長く続くと、人間関係における成功体験が積めず、人間関係に自信や信頼を感じずらくなってしまいます。
そして、いつしか、「どうせ誰もわかってくれない…」という心理を感じるようになり、「人が怖い」「人間関係が上手くいかない」「人目が気になる」など、人間関係に苦手意識を感じるようになります。
また、子どもの気持ちをなかなか分かってくれない親=子どもの気持ちを承認せず、子どもの心理的な成長を阻害する親のことを、スラング用語で「毒親」と称する場合があります。
毒親(どくおや、英: toxic parents)は、毒になる親の略で、毒と比喩されるような悪影響を子供に及ぼす親、子どもが厄介と感じるような親を指す俗的概念である。
引用元:毒親
原因⑤子どもがわかってもらえない家庭=「機能不全家族」
このように、親が自分の気持ちをわかってくれないことで、大人になっても自信を感じずらくなっている人を、心理学では「アダルトチルドレン」と呼びます。
また、子どもの気持ちをわかってくれない親のいる家庭=すなわち、アダルトチルドレンを生み出す家庭を、心理学では「機能不全家族」と言い、戦後の日本家庭の8割は機能不全家族と言われています。
なので、誰もわかってくれないと感じる心理は、決して病気や障害といったものではなく、日本人が感じやすい心理的特徴のひとつと言えます。
以下に、「機能不全家族のチェックリスト」を紹介します。
苦しい心理状態を改善するためには、自分を知ることが第一歩となりますので、是非、チェックしてみてください。
関連記事・機能不全家族チェック|タイプと特徴と影響
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幼い自分=インナーチャイルドの気持ち
さて、ここからは、実際のセッションで、インナーチャイルドカウンセリングで共有させて頂いた、あるクライアント=Sさんのインナーチャイルドの気持ちを、文章で現してみましょう。
疲れている両親を気遣い、あえて自分の気持ちを話さなかった
Sさんは、幼少期、ご両親が共働きで忙しく、朝起きたときは食事だけ用意してありご両親の姿はすでになく、学校から帰ると鍵っ子で家には誰も居ず、夕食もお母さんが事前に用意してくれているものを1人で食べて、ご両親は夜遅くに帰宅する。という生活だったようです。
学校でいろいろなことがあり、ご両親にわかってもらいたいのだけれど、帰宅後のご両親も疲れてイライラしており、自分の気持ちをなかなか話せなかったようです。
自分は、ご両親のことを気遣い、ご両親の負担を減らそうと、わかってもらいたい気持ちをグッと我慢しているのに、ご両親は自分の気持ちを少しもわかってくれない…という不満が、Sさんの心にだんだんと蓄積されていったようです。
わかってくれないという不満は、わかってもらいたいという期待の裏返し
日々が過ぎれば過ぎる程、Sさんのわかってもらえない不満はどんどん膨らんでいきます。
それと同時に、わかってもらいたい期待もどんどん膨らんでいきます。
ご両親の機嫌が良さそうなとき、わかってもらいたい期待が膨らみ話そうとしても、かえってプレッシャーが高くなってしまい、話しをしようとすれば焦りうまく伝えきれずに、より一層に、わかってもらえない不満が膨らんでしまう…
それでも、懸命に声を掛けわかってもらおうとしているのに、Sさんの小さな声はご両親には届かず、そのたびにわかってもらえなかったとしたら、絶望感へと繋がってしまっても無理のないことです。
私が全然平気じゃないってわかってほしいな…
でもまたわかってもらえないかもな…
またわかってもらえなかったらもっと苦しくなっちゃうな…
しっかり話さないとわかってもらえないな…
でも、伝えたいことがたくさんありすぎて、言葉にできないな…
はやく話さなきゃ!でもわかってもらえなかったら怖いな…
どうしよう!どうしよう!どうしよう!
わかってもらえないのは自分が悪い
やがて、わかってもらえない不満が大きくなると、早く手放したい焦りと手放せなかった時の怖さから考えがぐるぐる回って、焦燥感や動悸を感じるようになるかもしれません。
やっぱり、話せなかった…
やっぱり、わかってもらえなかった…
自分は価値がないからわかってもらえないんだ…
どうせ自分なんて…
自分が悪い…人が怖い…傷つけられる…苦しい…
さらにわかってもらえなければ、これ以上わかってもらえない不満を増やさないために、あえてわかってもらおうとすること自体を諦めてしまうようになって、どうせ誰もわかってくれない心理を感じ始め、ただじっと堪えるようになってしまうのかもしれません。
もう、疲れた…
わかってもらって心を軽くしたいのに、
いつまでたってもわかってもらえない…
もう、何をする気も起きない…
何をしても苦しいだけだ…
何をしたらいいのかもわからない…
どうせ誰もわかってくれない…
わかってもらえない不満が膨らみ続ければ、その感覚に圧倒され、耐え切れない感覚に襲われ、降参したくもなるかもしれません。
わかってもらいたいのに、誰もわかってくれないという心理状態は、ある意味、自己否定とも言えますので、とても苦しいことだろうと私も思います。
誰もわかってくれない不満をわかってくれるのが心理カウンセリング
ご自分の心にストレスという風船が膨らみ続けて、とても苦しくて、いち早くそれを解放しようとしても、結局、相手にわかってもらえず、ストレスという風船がより大きく膨らみ続けてしまう…
確かに、とてもとても苦しいことと思います。
私もかつてはうつ病を患い、うつを克服した経験を持つ心理カウンセラーですし、アダルトチルドレン(ac)を克服した心理カウンセラーでもありますので、わかってくれない不満を抱え続ける苦しさは良くわかるつもりです。
自分の気持ちを自分でわかってあげることを「心理的自立」と言います。
ひとつだけ、私が提案できることがあります。
それは、周囲の人たちに、自分の気持ちをわかってもらおうとすることは今まで通り残しつつ、自分の気持ちを自分でわかってあげる機会も増やしてみては?ということです。
ある日、ある時の自分が誰かにわかってもらえなかった不満を、あなたと私との二人のチームワークでわかってあげることで、誰も巻き込まず、誰にも邪魔されず、心を穏やかにしていく機会が、心理カウンセリング&心理セラピーという機会です。
もし、「今まで誰にもわかってもらえなかった苦しい不満を、今から自分で満たすことで気楽に生きられるようになっていきたい!」と、あなたが願ってくださるようでしたら、いつの日か、あなたがあなたの気持ちをわかってあげることで傷ついた心を自分で癒し、心理的自立を果たしていくお手伝いをさせて頂けますと幸いに思います。
以上、「誰もわかってくれないと感じる心理の原因と説明」という記事でした。