国の調査によると、全国の主要都市の中で小学生の給食費が最も高ったのは長野市だった。
なぜ高いのか?
他の市町村は?ということで、県内全市町村を調べてみた。高いのにはそれなりの理由があり、市町村のこだわりや工夫も見えてきた。
「いただきます」
おいしそうに給食を頬ばる子どもたち。長野市内の小学校の給食費は1食あたり296円、年額5万9082円。これは、このほど発表された「小売物価統計調査」の全国の都道府県所在地・人口15万人以上の都市の中で最も高額だった。
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長野市の給食費 なぜ高い?
なぜ、高いのか?
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長野市教委・保健給食課・内山美穂係長:
地元産の野菜をできるだけ使うとか、本当にいい食材を使っています。安心安全な給食のために、ひと手間かけて作っておりますので、給食費に見合った給食を自信をもって提供できていると感じています
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高い理由…長野市は「質」に自信
給食の「質」に胸を張る長野市教委。実際に給食センターを訪ねてみた。
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こだわり(1)「丁寧な野菜の下処理」
ジャガイモやニンジンは機械で皮をむいてから。キャベツなどの葉物野菜は、葉を1枚ずつはいでから水で3回洗う。
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こだわり(2)「金属探知機も使用」
機械でカットした野菜は金属探知機にかけ、金属が混入していないかチェックする。
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こだわり(3)「“地元産”を積極的に使用」
この日のメニューは、マーボー豆腐やナムル。
長野市産のキュウリや安曇野市産のモヤシ、みそやしょうゆも地元・長野市でつくられたものだ。
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給食は「教材」の一つ
マーボー豆腐に入れるイネ科の「ソルガム」は、「耕作放棄地」を減らすため、長野市七二会で栽培されたもの。給食は「教材」でもある。
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第一給食センター栄養教諭・小椋理恵さん:
ソルガムを食べた子たちも感想を書いてくれたりするんですが、「耕作放棄地がもっとなくなればいいな」という感想を書いてくれた子も。そういう『教材』としても、給食を活用できればいいなと思っています
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長野市の城山小学校。
「いただきます」
給食の時間。今は「黙食」が求められ教室は静かだが、おいしそうな表情が伺える。
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児童:
おいしかったです。
(Q.何が一番おいしかった?)
マーボー豆腐。味がいっぱい混ざってて、いろんな味があったから、おいしかったです
児童:
サラダのキュウリが、しゃきしゃきしていて、おいしかったです
(Q.給食の時間ってどんな時間)
児童:
パワーをためる!
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高い理由…「地産地消」「安心安全」
地産地消や安心安全に取り組むと、それなりのコストがかかる。
第2位の新潟県長岡市(5万7343円)も、第3位の岡山県岡山市(5万5374円)も地元の米や野菜を積極的に使っていた。
学校給食に詳しい長野県立大学の中澤弥子教授は、長野県の場合、他にもコストがかかる要因があると指摘する。
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長野県立大学健康発達学部 食健康学科長・中澤弥子教授:
(長期休暇などが少ないため)長野県の学校給食は回数が多い。平成30年の全国データでは、平均よりも10回ほど多い。
それから冬場は(野菜の)生産ができないというところを考えると、一生懸命、給食現場の方は食材を吟味し、安く安全・安心なもの、そしておいしいものを届けるようにされていると思います
県内77市町村の状況を調査
では、他の市町村のコストやこだわりはどうなのか。残りの全市町村に電話で聞き取り調査をした。
まず、北信。
聞いたのは2021年度、小学校高学年の保護者が負担する額。学校によって提供日数が異なる場合は、在校生が最も多い学校を採用した。
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東信は「0円」の町村が目立つ。
子育て支援やコロナ対策として、自治体が全額負担しているのだ。御代田町もその一つ。
御代田町・小園拓志町長:
昨年7月にコロナの経済対策の一環で、特に負担が大きい子育て世代の負担を抑えていこうと。今年4月からは恒久的な無償化にした。子どもたちが健やかに過ごせるように、給食の面でサポートしていきたい
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続いて、中信。
松本市は5万4320円で全国主要都市の調査では6番目。月1回、地元の食材を使う「松本の日」を設けている。生坂村など3つの村は全額補助。
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南信の諏訪地域・上伊那地域。
中川村以外は5万円台。
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続いて、南信・下伊那地域。
平谷村など4つの村は全額補助の「0円」。松川町は2021年から、有機野菜を7軒の農家から仕入れた。
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県内最高額は筑北村 「こだわり」の給食は…
聞き取りの結果、77市町村で最も高かったのは、筑北村の6万600円だった。
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こちらでも「こだわり」と「工夫」が見られた。
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コロナ禍で制約の多い子どもたちのためにと、2021年5月から全国のご当地料理を取り入れる日を設けている。
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この日は茨城県のメニューが作られていた。
筑北小栄養職員・小井土美希さん:
少しでも子どもたちが楽しい給食ができれば。いろんな食にチャレンジできたらなと思っています
出来上がったのは納豆和えに、干しイモの天ぷら、みそけんちん汁など。
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児童:
この干しイモの天ぷらみたいなのが、すごくおいしいです
児童:
茨城に行ったことないけど、こういうのも出るんだってちょっと覚えておきたい。(47都道府県の)次はどんなご飯が出るのか楽しみになってます
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児童が食べる米は100パーセント筑北産。給食は農家の励みにもなっている。
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米農家・嶋田幸夫さん:
子どもは正直だから、まずいのは食わないのでね。それを励みにして、小学校に納めるものは、おいしい米を納めるようにしているんです
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筑北村教育委員会事務局・宮下聡次長補佐:
自校給食で地元のものを使った、あたたかくておいしい、安心・安全な給食ということで児童さんには提供している。地元の味を知っていただくことが大事だと思います
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一食一日の重み…記憶に残る「給食」
地産地消や食育を意識した給食が提供されている長野県内。
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長野県立大学健康発達学部 食健康学科長・中澤弥子教授:
長野県では各地域のものを工夫して出してらっしゃって、どうしてもコストがかかるところも出てくるかと思いますが、食は一度の機会でも本当に記憶に残って学ぶことができるので、一食一日の学校給食の重みっていうのは、非常に大事だと思う
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(長野放送)