現在、若者を中心に圧倒的な人気を集め、フォロワー数が急上昇中の、ひろゆき氏。全国のベストセラーランキングで続々と1位を獲得し、34万部を突破したベストセラー『1%の努力』では、その考え方について深く掘り下げ、人生のターニングポイントでどのような判断をして、いかに彼が今のポジションを築き上げてきたのかを明らかに語った。
この記事では、ひろゆき氏に気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)
後悔したとことで、意味ある?
質問をたくさん受けているのですが、多くの人が「後悔」をしていることに気づきます。
「成人式に出ておけばよかった」
「他の会社に就職しておけばよかった」
「大学院に行っておけばよかった」
など、今からどうすることもできないようなことで悩んでいます。
人生において、「トレードオフかどうか」が問われることがあります。それは、選択肢の中から1つを選んだとき、他の選択肢を捨てないといけないような場面です。
二股していて結婚相手を1人に絞ったり、内定先を数社からもらっていて1社を選んだり。人生ではトレードオフの場面が何度か訪れます。
そういう選択肢の中から選ぶときは、最後は自分で決めているはずです。友達や家族に相談をしても、最後は自分で決めています。
「内定先が5つあるから、この中のどれか1つにOK出しといて。その会社に4月から行くから」などと親に頼んだりするのなら別ですけどね。
トレードオフの場面で選んだものは、あとから後悔しても何の意味もありません。もし、その選択をしなかったら、交通事故にあっていたかもしれませんし、大きな病気になっていたかもしれません。そういうリスクもひっくるめて、今の自分がいるのです。
だから、「あのときああしていればよかったかな?」などと考える時間は、本当に意味がないことだと思います。
人生で取り戻せないこと
そうはいっても、僕にも後悔していることがあります。昔、ビール瓶のフタを歯で開けようとしたら、歯が欠けたことがあります。歯は、皮膚と違って再生しないので、二度と戻ってきません。
なぜ、そんなことをしたかというと、友達が目の前でやってのけたからです。それを見て、「他の人ができることは、100%、自分もできる」と信じてしまったのです。
それ以来、他人ができることでも自分にはできないことがあるんだな、と学びました。
そして、人生において後悔していることが、「たかが歯である」と思うことで、非常にラクになることができます。だって、歯が欠けていても、今では何も気にならないくらいで生活できていますから。
だから、みなさんも、後悔していることを考えたとしても、「それでも今は何事もなく生きているし、どうにかなっているよな」と、すぐに切り替えたほうがいいんじゃないかと思います。
ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。主な著書に、34万部を突破した『
1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。
「1%の努力」とは何か
「99%の努力と1%のひらめき」というのは、発明家エジソンの有名な言葉だ。これの真意をみんな誤解している。本当は、「1%のひらめきがなければ、99%の努力はムダになる」ということだ。しかし、「努力すれば道が開ける」という表現で広まっている。
発明の世界では、出発点が大事だ。
「光る球のようなものを作ろう」という考えが先にあって初めて、竹や金属などの材料で実験をしたり、試行錯誤を重ねたりして努力が大事になってくる。
ひらめきもないまま、ムダな努力を積み重ねていっても意味がない。耳障りのいい言葉だけが広まるのは、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。
そんな思いから、この本の企画は始まった。
「自分の頭で考える世代」の教え
僕は、1976年生まれの「就職氷河期世代」だ。
この世代の特徴は、「自分の頭で考えることができる」ということだと思う。
僕らより上の世代は、バブル世代であり、時代を謳歌してきた。会社からも守られてきただろう。
彼らの世代が、いま、早期退職でリストラの嵐に巻き込まれている。僕の世代は時代が悪かったぶん、考えることを余儀なくされ、おかげで能力が身についた。
僕より上の世代は、「昔はよかった」と話す人が多い。しかし、ちゃんとデータを見ることができれば、昭和の時代より平成のほうが、殺人事件や餓死が少なく幸せの総量は多いことがわかる。
人生で選択肢が目の前にあるときに、どういう基準で考えるのかは人それぞれ違う。そこには、「判断軸」が存在する。「考え方の考え方」みたいな部分だ。
これについては、僕の経験をもとに教えられるのではないかと思った。できるだけ長期的な目線を持ち、「よりよい選択肢をとる」というクセがつくように、根っこの部分を書いた。それが、この本だ。
本書の内容
この本では、7つのエピソードを語る。「前提条件」「優先順位」「ニーズと価値」「ポジション」「努力」「パターン化」「余生」という7つの話だ。それぞれに、重要な「判断軸」をいくつか与える。
エピソード1 団地の働かない大人たち ―― 「前提条件」の話
「前提が違うんじゃないか?」「人は権利を守る生き物だ」「片手はつねに空けておけ」
エピソード2 壺に何を入れるか ―― 「優先順位」の話
「これはロジックの世界か、趣味の世界か?」「それは修復可能か?」「自分にとって何がストレスだろう?」
エピソード3 なくなったら困るもの ―― 「ニーズと価値」の話
「なくなったら困る体験は何か?」「やられたときだけ、やり返す」「誰しもがひと言だけ言いたい」
エピソード4 どこにいるかが重要 ―― 「ポジション」の話
「場所があれば、人は動きはじめる」「日本人、1億人に投げかける」「特殊なポジションに手を挙げる」
エピソード5 最後にトクをする人 ―― 「努力」の話
「最後に勝つにはどうすればいいか」「上の判断がよければ、下がテキトーでもうまくいく」「あなたは先輩に歯向かえるか?」
エピソード6 明日やれることは、今日やるな ―― 「パターン化」の話
「ゼロイチ以外でできることは何か?」「身近に支えたい人がいるだろうか?」「この1週間で、『新しいこと』はあっただろうか?」
エピソード7 働かないアリであれ ―― 「余生」の話
「調べる労力を惜しんでいないか?」「聞き分けのいい豚になっていないか?」「ブラックボックスの部分は持っているか?」