【糸満】「周りの人に元気と勇気を与えたい」―。糸満市の比嘉琉久(りゅうく)さん(18)は、徒歩で総距離2800キロの日本縦断に挑む。22日に日本最南端の波照間島を出発し、来年1月28日には最北端の北海道稚内市にたどり着く予定だ。
高校が就職休みに入った今年2月から、比嘉さんは公認会計士を目指して専門学校に通っている。通信講座を受講しているため全てがオンライン授業で、1日のうち、約8時間は部屋にこもるようになった。
初めて人と1カ月も会わない経験をして、「気分があまり上がらなくなった」。同じころ、新型コロナウイルス感染症の影響が広がっていた。周りで悩む人が増え、自分と同じような人がたくさんいると感じた。「そんな人たちに元気と勇気を与えたい」と、日本縦断を決めた。
元々旅が好きで、「でっかい挑戦をしたい」という夢もあった。今回の旅の資金を集めるため、クラウドファンディングを実施。一度目は失敗したが、2度目は目標額30万円に対して約10万円が集まった。
さらなる資金造成とトレーニングを兼ねて7月と9月には東京でテークアウトの配達員として、徒歩で牛丼やファストフードを届けた。多い時は1日に30~40キロ歩いた。
沖縄に戻ってからもトレーニングとして、実家のある糸満市から北中城村のイオンモールライカムまで、約3キロの荷物を担いで歩く。
日本縦断中は主に野宿する。同級生は「頑張ればできるよ」と励ましてくれるが、「知識がある大人ほど止めてくる」。両親にも反対されたが、比嘉さんは諦めなかった。「自分のやりたいことを、まだ1回もやったことがないのに止められるのは嫌いだ。やってみて無理ならいい。大人に子どもの夢が止められることが多いが、ちゃんと準備すれば達成できることがあると証明したい」
「人とつながることが旅のだいご味だ。各地の人と話したり、景色を見たりするのが楽しみ」。中でも桜島のほか、ぬれた砂浜や潮だまりに空が写し出される福岡県福津市の「かがみの海」、厳島神社を見に行きたいと考えている。
比嘉さんは日本縦断中、インスタグラムで旅の様子を発信し続けるつもりだ。アドレスは@yuwa1025_。「いろんな人に挑戦する姿を見てもらって、自分で自分の道を決めてほしい。大人になっても元気を与える人になりたい」と語った。
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