医系大への羅針盤 医歯薬進学

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  • tokusyu03
  • 2019.05.27
  • 経済学部4年の秋に再受験を決意 初志を貫いて国立大の医学部へ!
  • 母親の後押しと支えで現在の自分にたどり着いた

    村上 沙穂(眼科医・産業医)

     

    眼科医として働く村上沙穂さんは、京都大学経済学部に在学中、岡山大学医学部を再受験。半年足らずの準備期間でみごとに合格を果たしました。そこには冷静な自己分析と効率的な勉強法、的を得た志望校選択など、受験に向けての緻密な戦略がありました。もともと数学、物理、化学が得意だったという “ リケジョ ” の村上さんに再受験合格の秘訣と現在のキャリアについて伺いました。

     

    医学部受験に心を残しつつ京大経済学部に入学

    ー現役で京都大学の経済学部に入学し、卒業と同時に岡山大学の医学部に入学されたそうですね。なぜ、再受験という道を選んだのですか?

    実は現役の時も医学部志望だったんです。理系の科目が得意でしたし、難関校進学に注力している高校で特待生だったこともあり、国公立の医学部を目指していました。志望校を京都大学に決めたのは高2の夏ぐらいです。箱根で例年開催される大手予備校のセ ミナーに参加した帰りに、東京観光を兼ねて東大を見学しに行ったんですが、人の多さに酔ってしまって…。私は宮崎で生まれ育ったので都会の空気に圧倒されたんでしょうね。ちょうど その頃、日野原重明先生の『生きかた上手』という本に影響を受けて、先生の出身大学である京大に憧れを抱くようになりました。

     

    ーでは、京大の医学部を目指していらっしゃった?

    はい。前期試験では京大医学部を受験しました。でもセンター試験で自己最低点を取ってしまい…。その晩の食事は喉を通りませんでした。その時、猛スピードで思考を巡らせて、前期試験で足切りにさえかからなければ、2次試験で挽回すればいいと。でも間違いなく後期試験は厳しい。一浪も頭をよぎりましたが、翌年はセンター試験に理科3科目と英語のリスニングが導入される予定でした。そうなるとモチベーションをあと1年保つことができるだろうか、いや、難しいと、自分なりに結論を出しました。
    ずっと京大受験に向けて勉強してきたので、医 学部というより京都大学に行きたいという気持ち が強くなっていました。そこで後期試験は京大の 経済学部に志望を変更したんです。医学部を目指 していた手前、父からは叱咤されましたが、数字 や分析は好きでしたし、世の中の流れを見るには 経済を知っておいたほうがいいと考えたのです。

     

    就職が内定したものの医学部受験を決意

    ー経済学部を卒業してすぐ、岡山大学医学部に入学されたそうですが、再受験は大変だったんじゃないですか?

    再受験を決めたのは京大の4回生の、9月から10月にかけてです。すでに4月の段階で東証一部上場企業から内定をもらっていて、夏には同級生と旅行に行ったり、入社に向けて準備を始めたりしていました。経済学部での学生生活に全く不満はなく、当時の自分にはもったいないくらい恵まれた環境でした。ファイナンス工学や経営組織論、企業価値評価の授業は面白かったですね。再受験のきっかけはリーマンショックです。私の就職先には影響がなかったんですが、ふと「私 が一生のうちにやりたい仕事って、これでいいんだっけ?」と思うようになりました。そんな時、母から「医学部を受験しなくていいの?」 と声をかけられて…気持ちが再受験に傾きました。

     

    ーお母様の言葉が引き金だったんですね。

    母からは、経済学部に入学した当初から「本当に経済学部は楽しい?」、「それでやっていけそう?」と事あるごとに言われていました。母なりに私のことを見抜いていたんだと思います。それに、リーマンショックのように景気がどん底に来た時に、娘である私がそれに対応できるかどうかも母にとっては心配だったのでしょう。

     

     

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