-日記:Covid19診療に疲れ果て 退局を決断- 2021/10/23

日記・雑記

✅退局を申し出た

限界でした。

自分の人生で、自分が最も嫌なことをすることに耐えられなかった。

何が何でも自分が最優先!ってほど個人主義ではないつもりでしたが

それでも、診たくない患者を診なければならない、診続けなければならない状況をどうしても受け入れられなくなり

最終的に臨床をしていく医師として最低限のメンタルと体裁ですら保てなくなってしまいました。

✅Covid-19 診療チームへの(強制)配属

手術がしたくて今の科に進んだつもりでした。

研修医の間で内科が向いてないことに気づき

特に全身管理メイン。命が関わる診療は向いていないと悟った。

そして手術と局所的な管理で比較的全身管理が稀なマイナー外科を選んだつもりでした。

Covid-19なんて絶対に診たくなかった。

それでも招集されました。

若手だから仕方ない。

呼吸器内科がCovid-19外来断わっても。

感染症内科がCovid-19入院とらなくても。

僕たちは専門医取得前の若手だから仕方ない。

冗談めかして『徴兵されちゃいましたよ』なんて看護師さんと話していたけれど、僕にとってはまさしく赤紙で。

表立っては嫌と言えないけど、死ぬほど避けたいものでした。

✅Covid-19チームでの日々

Covid-19チーム配属してからの業務量は、(内容は死ぬほど嫌だったけど)そこまで大したことありませんでした。

病床が満床、加えて病床が空けば即埋まる状況だったため、日の業務内容がパターン化されていたのが大きかった。

病棟急変以外の緊急呼び出しや予定外の対応が激減したことで残業時間は100時間を切るくらいにはホワイト勤務。

(病床的に)緊急取る余裕なんてありませんでしたから。

1日で入院数人とって『忙しいね』なんて言う内科の先生を『どこが忙しいんや』って思いながら働いたくらい。

(念の為:彼らは素晴らしい先生方でした。押し付けられたCovid-19患者を診るだけでなく、僕たち本職以外でも即戦力になれるように資料や連絡・相談方法など整えてくれていました。)

でも患者の質はひどかった。Covid-19蔓延、医療崩壊下で入院してくるのは

未来を担う子供でも

働き盛りの若者でも

妊娠してお腹に子供がいる妊婦でも

金持ちでも

政治家でも

ありませんでした。

身寄りが無くて

重症化しやすい生活習慣病を放置し

ワクチンを打っていない

高齢者の生活保護

研修医時代から嫌悪し続け、科選択で内科を避け、目を背け続けた『社会的入院』が
こんな型で目の前から離れなくなるとは思わなかった。
普段から真面目に勤務し
勤務先で健康診断を受け
引っかかった数値はかかりつけで加療
家族子供との繋がりを大事にし
有事の際には頼れる社会的な繋がりを維持して
早め早めにワクチンを打った
平時からコストを払ってきた『優先度が低い』人たちの代わりに
平気な顔して飲み歩き
健康診断は受けずに未治療DM,HT盛りだくさん
入院するときだけ苦しそうな顔をして
少し良くなれば規定の日数の点滴すら耐えられない。
併診した基礎疾患の治療を拒否して
こっそり薬を捨てる
病棟の飯がまずいと文句を言い
ゾーニングを守らず病棟外に出て行く
看護師にパワハラして
最後には帰らせろ、酒、タバコがないなら死ぬ。とほざく
こんな患者を診る日々に心底疲れ果てました。
適正がないから社会的入院ができるだけ不要な科に進んだのに。気づけば退院できない患者の処理に頭を悩ませる日々。
たった数ヶ月で患者が酷く醜く見えるようになっていました。

✅それでも

自分の科に戻れば、Covid-19診療から離れれば
元気になれる。また前向きに頑張れると思っていました。
でも戻らなかった。
Covid-19が下火になり、お役御免になって自科に戻った後
自分は積極的に加療を勧められなくなっていました。
これまでは五分五分なら(自分の経験にもなるし)手術加療を、入院を勧めてきたスタンスが、段々と
『どっちでもいいなら治さなくていい』
『ちょっと無理すれば外来で加療できるなら入院させる必要はない』
『わざわざ退院出来なくなるリスクを取ることはない』
こんなように考えるようになっていました。
最低ですよ。
入院加療や手術加療が必要な患者に対しても、加療することが嫌だ、辛い、しんどいと感じながら仕事を続けて、そんな自分を自分で最低だと思い続けていたら
眠りが浅くなり
若手医師としてやっていくべき勉強や手技の練習に身が入らなくなり
緊急事態宣言が明けても休日外に出る気が失せたまま
チケット取った試合にも出かけられなくなり
食べたものを戻すようになりました

✅最後は

そんな状態で迎えた医局の配属希望調査で
来年の常勤希望も
配属希望病院も
専門にしたい分野も
どうしても書くことができなかった。
この時になってようやく
自分が心身共に摩耗してしまったことに気付きました。
この状態で来年は臨床を続けることは出来ない。と
一度臨床から離れる決断をしました。
申し訳ないのは自科の上司や先輩方。
色んな面でフォローしてくださったのに全部裏切る形になってしまったのが心苦しい。

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