“ミーティング・サイレンス”解消。AIを活用した令和時代の会議とは
「上司に気を使って発言ができない」、「特定の人物の判断で進行される」、「何度も無駄に回数を重ねる」、「沈黙が続く」といった、いわゆる“ブラック会議”を経験したビジネスパーソンも少なくないのではないでしょうか。
このような問題を解決するため、最先端技術を駆使する総合クリエイティブプロダクション株式会社BIRDMANと、人工知能開発事業を展開するデータアーティスト株式会社は、アイデア発想支援ツール「Inspiration Wall(インスピレーション・ウォール)」を共同開発。先月実施された「コンテンツ東京2020」に出展、一躍注目を集めました。現在は渋谷キューズで実証実験中です(11月25日まで)。
シンプルな操作で発想を支援
「Inspiration Wall」は、株式会社BIRDMANの自社課題がきっかけで開発されたもの。同社の藤賀雄太氏は「弊社では新しいアイデアを出す企画会議を頻繁に行います。ところが、30分ほど経つと煮詰まってしまい、2時間ほどを会議に費やしてしまうことも。また、10回以上ブレストしなくてはならないケースもありました」と話します。
行き詰まって活発に意見が出なくなる「ミーティング・サイレント」を解消するために、「Inspiration Wall」は誕生しました。スタートアップは非常に簡単。同システムを導入するパソコンと、リモコンとなるスマートフォン、映し出すスクリーン(パソコンでも可)、音声を拾うマイクがあればOKです。
画面に映し出されたQPコードをスキャンすると「Inspiration Wall」が起動。その後は通常のミーティングを進行するだけ。会話の内容を基に、AIが判断したキーワードツリーと画像が画面に映し出されます。画像については、元となるソースにアクセスすることができます。表示された内容は会話に合わせて次々と流れていき、ミーティング参加者の発想を支援します。
このように、ミーティングで出た話題を“発想支援AI”が分析し、世の中のトレンドや消費者らの関心を踏まえた上でキーワードや画像をピックアップ。インスピレーションを得てアイデアが生まれやすいように、画像はあえて抽象的なものをチョイスしています。
ファシリテーター、議事録機能も搭載
ミーティングが沈黙すると、自動的にこれまで出た話題を時系列に表示。キーワードをカテゴライズするとともに、関連トレンドワードも列挙します。さらにハイライトとして会議が一番盛り上がったキーワードも可視化。会議後半にはこれまでのキーワードツリーを集約し、アイデアの着地をサポートします。ファシリテーター機能を搭載した“会議活性化AI”は、「アイデアが拡散してまとまらない」、「時間内に会議が終わらない」といった課題に対処しています。
「Inspiration Wall」は“議事録AI”も搭載。起動中の発言は議事録として蓄積され、これまで議事録を担当していた人材の手間を省きます。気になったキーワードや画像があればスマホの操作で巻き戻し可能です。
可能性を秘めた新しい会議のカタチ
メーカーの新商品開発会議やテレビ局の番組制作会議などを想定して開発された「Inspiration Wall」ですが、先月の「コンテンツ東京2020」では「ビルのパブリックスペースに設置したい」、「教育の現場に落とし込めないか」といった声もあがりました。藤賀氏は「自身のアイデアをまとめる一人ブレストにも使えるのではないか」と話しています。プロジェクトマネージャーの横田佳祐氏は「あらゆる可能性を秘めたサービス。今後はリモート対応、議事録のレポーティング機能など、更に進化させたものを提供していきたい」と語りました。
「Inspiration Wall」は起動してミーティングをスタートさせるだけという、スマートかつシンプルな形式ですが、非常に有益な可能性を感じます。無駄な会議が多いと言われる日本企業。ぜひ、新しい時代の新しい会議を体感してみてください。