『僕が進化したんだ』って言いたい
音響のハイテクノロジーの視点から人々の聴取スタイルの創造へ
プロジェクト3 学部4年 藤賀雄太 さん
やりたいことも仕事も選ぶのは僕
――どんな授業をとってたんですか?
とりあえず聴講をめっちゃしてました。聴講の方が多いって言うと言い過ぎだけど、面白かったなーって思う授業は聴講が多かった気がします。
――どういう授業を聴講してたんですか?
去年、インタラクションデザインっていうコンピュータのデザインやiPhoneのデザインを学ぶ授業があったんですけど、(概要が)よくわからなかったから前期しかとらなかったんです。でもそれがすごい面白かったので後期は聴講してたりとか。あとサウンドデザインも1年生のときは聴講でした。あとは芸術情報特論も聴講で行ってたり、今はメディアリテラシーの授業も聴講してますし。単位にはならないけど面白いからなーってとってるだけで、先生は意外と困らないみたいなんですよ、「あ、良いよ別に来ても。逆に君が大丈夫なの?」みたいなことを聞かれますけど。(必修の)英語とかはちょっと気にしつつとってたけど、それ以外は好きなもの順にとると、単位的に聴講にならざるを得なかったりしました。今デザイン科の授業とかとってます。
――(デザイン科の授業で)とれるのあるんですか?
お願いしたら「来ても良いよ」っていわれます。
――授業を選ぶ上で重視してることってありますか?例えば将来こんなことを仕事でやりたいからこの授業とろうみたいな。
面白そうなものをとりたいなーと思った時に、それが必ずしも音環の授業じゃなかったりして。「デザイン科かよ」って思った時は電話かけて聞いたら、「良いよ」って言われました。
――ちなみに今とってるデザイン科の授業ってどういうものですか?
プロダクトデザインって言う授業で、僕は普段はiPhoneのアプリのデザインはしているけど、普通の車とかモノのデザインは学んだことがないからちょっと知りたいなと思ってとりました。最終的にそういうことを仕事にしたい気持ちもあるし、「やりたいことも仕事も選ぶのは僕でしょ」と思っているから、大学で好きなことやってれば仕事にも繋がるんじゃないですかね。
――なんで藤賀さんはそんなに興味の幅が広いんですか?
わかんないよね。なんでだろうね。あんまりいいことだとは思わないんです、最近。中学とか高校の時は、「すげぇ好奇心あります!」っていろんなことに興味のあるのは良いことだと思ってたんだけど、大学4年で就活になってくるとだんだん専門性がある方がクールだなーと思い始めてきました。
――就活で専門性を問われたりするんですか?
色んなことをやってきたことを評価してくれる人も居るし、なにやってる人なんですかって属性を求めたがる人も居るし。色々だと思うけど会社選べば良いんじゃないかな、と思います。広告みたいに、Googleからグリコまでやってる会社だと、「色んなことやってましたー」って言う人が居ても、「うちでいろいろやってるから来たらいいよ」ってなるかも知れないし、グリコに行くと、「グリコ食ってましたか」とか聞かれるかも知れないし、グリーに行くと「今までどんなソフト作ってましたか」とか「あなたはホームページありますか」とか、専門的な就活のあーだこーだがあると怖いかも知れないけど、そういうのあまりない気がします。人に合わせる必要はないと思います。
プロ3的発想から関わりをみる
――音環入ると、「芸術史とか哲学とかも知ってなさい」みたいな雰囲気あるじゃないですか。あれがわたしは息苦しくって。先生たちも「専門性じゃダメなのよ」とか言い出すから…
それちょっと正論すぎて何も言えないですよね。でも、別に「おもんな」と思ったら割と距離感持ってた方が良いと思うけど。
――そこは素直に生きてった方が?
今思ったら嫌々とった授業もあるんですよ。一個だけだったかな、芸術文化環境論。芸術文化環境とかメセナとか法律とかあるじゃない、推進法みたいな。1年生の時に同じようにそういうのを知っとかなきゃいけないだろうと感じてとったんだけど、やっぱり面白くなかったです。3回くらいは耐えられたけどやっぱりそんなの全然身に付きませんでした。
――興味ないことって身に付かないですよね。
そうだと思います。大学に来てまで教科書に書いてあるようなことを読まされてもきついなーって言うのはありました。いずれまたね、「あの時ちゃんとあの法律学んどけばこんなことには…」みたいな大事件起こしたりするかも知れないけど、大人から見るとやっぱり学んでおいた方が良いと思うんだろうと思います。まぁ知らないですよそんなん。(笑)でも確かにそんなに狭める必要はないなぁと思います。演劇論の授業は割と面白かったです。全然分野は違うけど、音ってどう演劇に関わっていくのかなって、自分で何気なくテーマを持って見ていると面白かったりしました。考えようだと思います。
映像の授業も、映像作ってたら「音って別に適当でよくない?」って思うんじゃないかなーと思って作ったりしました。(映像の)作家がこっちに無音の映像送ってきて僕らがサウンドデザインしたりしてるけど、作家の立場になって音を考えた時に、意外と無音の作品が良かったりするんですよ。手が回らないってパターンもあるし、音を要素として新たに付け加える必要もないかなーって思うこともあるし、(音を)つけるにしても映像がもう狙ってるから新たに加えるとやり過ぎかなーって感じで、あえて普通な音をつけたりとかします。何かしらプロ3的発想だったのかもしれないけど、音との関係を見てたような気がします。
思ってたほど夢のような感じじゃない
――色んな分野に手を広げつつも音を見て来たってことですよね?
そうかもしれませんね。でも、音っていう分野と何かを対比させて学ぶことを続けていった結果、音がコンピュータに移行しちゃったんですよね。自分の核となる部分と他の授業と一緒に勉強してて成長してたつもりが、元になってた部分が変わってしまったみたいなところはあると思います。ダメになったって言うよりはマイケル・ジャクソンじゃないけど「僕が進化したんだ」って言いたいですけど。
――一応音を軸として色んなことを見てるけど、音が元になってたところからコンピュータに変わってきちゃったっておっしゃってたじゃないですか。藤賀さんはプロ3で何をしているんですか?
僕、丸井先生に救われたんです。丸井先生が居なかったら結構やばかったと思います。
――それはなんでですか?
1年生の夏休みにサラウンド作品を作ったんです。それを作るのが夢だったので。浪人してた時に、「藝大の音環でサラウンドって言うよくわかんないけどすごそうな技術やってるから、サラウンドでしかできない音楽とか作ったらかっこよくね?」と思ってて、入学して作曲科の人を探すとたまたま、そういう人がいたんですよ。その人に(曲を)書いてもらって夏休みに録音してつくったんですけど、想像してたよりうまくいかなくて。サラウンドの音楽って、思ってたほど夢のような感じじゃないなと思ったりしました。サラウンドを研究している沢口真生先生を中心とした研究会があって、そういうところにいったりしてたんですけど、僕の中で目指してた、音響のハイテクノロジーによってみんなの音楽の体験をもっと楽しくしたいみたいな方向は、エンジニアは嬉しいかもしれないけど、ユーザーはついていけないなと思い始めて2年生くらいで挫折したんです。もっとがんばってればまた違った姿になったかもしれないけど。
元々iPodの音が嫌いでここに来たんですよ。高校のときiPodがすごい流行ってたんだけど、ヘッドホンで聴いてると頭の中に鳴ってるような変な感じがしてあまり好きじゃなかったんです。独特な感じがあるじゃないですか。好きって人も居るけど僕はあまりリアルじゃないなーと思っていて。色々な技術があるんですけど、ホロフォニクス(*1)って聞いたことない? 僕の中では立体音響がテーマだったんです。こういうのこれから普通になってくるんじゃないかなと目論んでいて、音響のテクノロジーの方からユーザーの音楽の聞き方に貢献したいなと思って、大学入学前に沢口先生のところに行ったりしてて、「音環で教えてるんで」っていわれたから音環来たんです。
元々はサラウンドテクノロジーとかダミーヘッド(*2)とか利用したら、ヘッドホンでもスピーカーでももっと良い音で聞けるんじゃない?って思って来たんですけど、そっち方向はきついなと思い始めて、そもそも全然違う方向なんだけど音そのものよりかはiTunesを改良するとかソフトウェア的な方法で、音楽を聴くスタイルの改善をしたほうがみんなのためになるんじゃないかなーと思い始めて。例えばCDレンタルショップに行って何を借りて良いかわからない時に、サウンドの技術ではないけど、おすすめ的なものがあったら良い音楽の聞き方に繋がってくるんじゃないかと思って、そういう風に考え方が変わったんですよね。それでちょっとずれちゃったんだと思うんだけど。そのきっかけは何だろうね…
録音とか22.2chとかいろいろ見てちょっと違うかなーと思い始めて、facebookとかインターネットラジオとかの影響もあって、iPodで聞くスタイルよりも良いのが出てきたら良いかなとかね。ヘッドホンの音が悪いって問題はどこ行ったんだって聞かれたら、「すいませんもう良いです」ってなります。ある程度挫折したところがあったんですかね。
あるとき、街に出てる時もふつうの音とヘッドホンの音が全然違うからリアルすぎるより良いんじゃないかなと思って。ホロフォニクスで音聞いたらわかると思うけど、近くに人が居るみたいな感じで超リアルなんですよ。そうなると、本当に人が居て喋ってるのかわからなくなるじゃないですか。僕みたいに今考えていることと大学に入ってきた理由は全然違うじゃんってなっても変えちゃって良いんじゃないですかね。プロ3から。
批判的に聞いて尋ねると面白い
カリキュラム的には1、2年生くらいで亀川先生の授業では録音技術の学習をコンプリートするのよ実は。そこから先は探求みたいな感じになってて。今のカリキュラムとちょっとずれてるのかもしれないけど、2年生の後半でサラウンドまでいって録音の一通りはだいたい終わるんですよね。今どんなことやってる?
――先週は録音しました。ステレオですね、サラウンドはやってないです。
ピアノの録音?延々とピアノの録音するんだよね。何も言わないと先生はひたすら技術教えるから、何のためにやってるのかわからなくなる瞬間があったりして、1時間半プロツー(*3)の説明したらスキルあがると思うけど言い方変えるとソフトウェアの使い方みたいになってるから、ちゃんと目的もってやらないととりあえず技術身につけたみたいな感じになるから結構危ないなと思ってたりして。
その時の自分を思い出したいんですけど、録音にすごく興味合ったからなー。そういえばノートとかつけてました。家に2冊くらいあるんだよね。ひたすら亀川先生の語録を並べたりとか録音した時にマイクの幅は何cmだったとか、(マイクを)これだけずらしたら音がこうなったみたいなことをすごい書いてたの。亀川先生が何か言ったら「それは何でですか」とかめっちゃ聞いてました。超ツッコミ入れて。2年生の途中くらいにおれが心配して「僕、先生に色々ツッコミ入れるんですけどよくないんですか」って聞いたら、「あれはみんなの勉強になるから良いんだよ」って言われて僕感動しちゃって。同期に「授業の邪魔してんじゃねぇかな」っていったら「私の思ってた疑問とか聞いてくれるから助かってるよ」とか「適当に先生が語って終わる授業よりはいいんじゃない?」とか色々賛成派が多くてよかったんですよ。
今の亀川先生の授業風景がどうなってるかわからないけど、僕ね、3年生の時はひどくて常に(先生の)反対意見を言うってキャラで、とりあえず「僕は違うと思います」って言って、違うやり方を言って意見をもらうって感じだったんですけど。先生が当たり前にする行動って、先生は何十年もやってるから、僕がこのミルクを注ぐことくらい簡単なんだけど、別に何でもありなわけじゃないですか。おれは、「なんでそこでこう空けたんですか」とか「なんで左手なんですか」とかうざい感じで聞いてました。
ソクラテスじゃないけど先生に疑問をぶつけると先生はちゃんと答えてくれるから、(先生に)聞けば、「あのピアノの音が跳ね返ってくるから」とか語ってくれるわけ。聞かないと「ふつうこうやるから」って感じで先生がやってくれるんです。聞いて調べるみたいな感じにすると良いかな。
あんまり芸術家とか録音とかに関わってる人たちの職業的なやり取りに惑わされない方が良いです。彼ら自分のやりかたが最強だと思ってるから。しかもなんか教えられてないから。おれ、城一裕先生(元AMC(*4)助教)をすごく尊敬しててすごく影響受けたんです。城さんと超仲良くていろいろ話させてもらったんですけど、飲み会に行ったときに城さんとか友達とか、講師の人といろいろ語るんですよ。最後に、いつも僕に「今の話し合いで話されてたことを「お前らの言っていることは全く違う、おれはこう思う」って思ってくれたらうれしいよ」って毎回言うんですよ。毎回言うからすごい印象に残ってて。芸術家はすごい偉そうに「おれはこうだ」っていうんだけど、彼が語ったって話なだけだから、すごい批判的に聞いて本人に尋ねるとすごい授業が面白いです。僕、実は90分の授業よりかは90分の授業受けたあとの5分間の先生との立ち話の方が面白かったりしてて。だいたい授業終わると先生のところに行って語るやつ1人ぐらい居るじゃない。それ僕ですね。「はい、先生はい!」って言うのは辛いから「先生あの…」って感じですり寄って来るうっとおしい人みたいな。
自由にやったらダメ、とかはないです
――全然違う話良いですか?藤賀さんって入試の自己表現はなにをしたんですか?
僕ね、すげー地味。実験したんです。ダミーヘッドを自分で作って音をひたすら録音して。
――プレゼンテーションですか。
プロジェクター使ってパソコン持ってきて偉そうに説明したんです。丸井先生に周波数とかの説明をしていたのが今でもすごい恥ずかしい思い出。
――どんな感じだったんですか?
すごい痛々しいけど、まぁ激しくがんばってますね。状況がね、リュックサック担いでて、ばさって下ろして、チャック開けてダミーヘッド置いて始めたんですよ。誰も反応してくれなくて、後で聞いたら良いパフォーマンスだったっていわれました。
――いきなりダミーヘッド置かれたら驚きますよね。
最初、ヘッドホンって最低ですよねって話をしてて、ダミーヘッド置いていろいろ録ったら方向による音の違いが録音できるんじゃないかって話をして、耳ってこうなってるらしくてマイクをここに置いたらよかったって話をしたんです。
それで、解析して、結果を偉そうに言って、こういう違いによって音ってどこから音が来てるのかわかるらしいですって話をして、こういう(方向)の情報ってステレオ録音にないよねって話をしてたんです。今の音よりももっと良い音にしたいからダミーヘッドのバイノーラル(*5)って技術とかサラウンドとかの技術で、自然にいつも聞いてる音をヘッドホンで実現しましょうって話をしてたわけ。今考えると全然と違いますよね。さっき話してたと思うけど、元々は結構ガチガチに音響やりたくて来たほうかな。
――実験までしちゃう行動力がすごいですね。
母さんとわーって作って。
――何月ぐらいから?
夏ですね。僕、浪人してたけど予備校行かなかったから暇だったんですよ。宅浪だけど浪人って感じじゃなかった、あんなに楽しい日々はないだろうって思ってたもん。昼ぐらいに起きて飯食って自転車でワーって漕いで旅に出て帰るみたいなそんなことしてました、本当に。
――音環以外受けなかったんですか?
私立の明治みたいな法政みたいなその辺を(受けました)。高校のとき受験勉強大変だったから、自由になりたかったんですよね。浪人は長い時間だし無駄な感じすごいするけど、あれはあれで面白い体験だった気がします。
――大学入る前から沢口先生にお会いしたりとか プレゼン作るのだって…
このプレゼンがきれいになってるのは大学の先生に見せたからなんですよね。こういう分野を研究してる大学の先生がたまたま地元にいて、メール送ったら「来ても良いよ」ってなったから行って。(プレゼンの)考察とかに書いてあるのは大体その先生が言った言葉なんですけど。
――入学前の知識、結構高いと思うんですけど……
いやいや、小学校の自由研究みたいな感じでしたよ。「やってみた」みたいな感じ。「録音してみた」ですよ。専門的に勉強して、論文読んで、本読んでって感じじゃ全然なかったです。後で丸井先生に聞いたんですけど、(面接では)「この人が入ってきた時にどれだけ伸びそうか、いろいろ活動を広げていけそうか」とかを見てたらしくて、僕はその、この実験が評価されたとかそういうことではなくて、そういうのを勝手に自分で始めてやってるっていう、やり始めてる感じが爽快だったんじゃないかなあ、と思います。最近になって丸井先生に「録音からiPhoneアプリ、みたいになってしまって、プロ3に申し訳ない節がいくつかあるんですけど」って聞いたら、僕が思うほどそんなに嫌悪感を持ってなかったです。丸井先生は。ただ論文としてちゃんと書こうね、今回だけは途中でやめんなよ、的なことは言ってましたけど。別に、自由にやったらダメ、とかはないです。
(音楽よりも)iPodが好きでした
――楽器やってますか?
ピアノの副科やってます。
――小さい頃からやってました?
全くやってませんでした。大学に入ってから始めました。履修のためにオーディション受けなきゃいけないって聞いて、「それってカエルの歌とかでもいいんですか?」って聞いたら「うん、まあカエルの歌でもいいからとりあえず何か弾かなきゃいけない」みたいな話を聞いて、子供の曲みたいなのをすごい恥ずかしながら弾いて、準備コースっていう、副科ピアノの前の段階の授業があってそれ1年間行って、今、前田先生の授業とってます。
――他に音楽のスキルってあります?
そんなにないです(笑)ほんとに、そのへんに歩いてる人と変わんないくらい。音楽の授業くらいです。本当に。
――音楽聞くのは好きですか?
音楽も聞きましたけど、iPodが好きでした。
――音楽というよりはiPodという機器が好きだったんですか?
今思えばそうだったのかもしれないですけど、でも音楽は聞いてました。BGMとして流すのが好きなのかなって思い始めました、最近は。音楽聞くの嫌いじゃないんですけど、音楽学部にいるほど好きじゃないって感じはします(笑)人並みに、楽しんでる感じ。たまに、コンサートとかにも行ったり、CDを借りたりもするし。
東京にいると、ほんとに誰にでも会えると思ってます
――作曲の人とか、他の上野の人達との関わりってどうですか?
(サラウンドの時の)作曲科の人は、たまたま沢口先生の授業に来てて、話したんですよ。打ち上げみたいなので呑んでて、そのままよくわかんないけど俺の家にきて、「こういうことを企んでるんですよ」って話をしたら、「あ、それ俺もやりたいんだけど」って話になりました。で、デザイン科の授業の話は、デザイン科の教員室まで行ったり、超強引に電話かけてっただけですし。城先生とは、授業後に話したり、AMCの授業をたくさんとってたので何回も会ったりして、顔馴染みになって、授業の打ち上げとか一緒に行ったりしてましたね。
あと、研究会とか行くといろんな人と知り合えますよ。学生以外の人とも。シンポジウムとか。あ、バイトとかインターンはおすすめです。できれば自分の興味のある場所にいったほうがいいと思います。そこで知り合う人とかが一番面白いと思います。
――学外活動とかされてました?
学外活動してましたね。面白そうなシンポジウムとか展覧会とかあると行ってた気がしますし、藝大って授業以外でいろいろあるじゃないですか、講演会みたいなの行ったりとか。去年はインターン行きましたね。あと今、バイトしてます。ソニーの研究所があるんですけど、新しいサービスをたちあげよう!というチームがいて、そこにいます。すごい楽しいんですよそこ。すごい楽しい人たちがたくさんいて、おもしろい。
――そういうのどこで見つけてくるんですか?
去年の夏にインターンシップに行ったのは、同期がインターンの申し込みをめちゃめちゃしてたからです。それで、そのときIT企業かっこいいと思ってたので、インターン、IT企業、とかで検索してたりしたら、マイクロソフトくらいしか知らなかったんですけど、検索したらでてきたから、応募しました。次の日が〆切だったから、そのまま書いて応募したんですけど、たまたま通ったので、それはいけました、けど、それはほんと偶然です。そのまま2ヶ月いったんですけど、そのときAMCの先生たちが応援してくれて、帰ってきたときに、インタラクションデザインの先生と「インターンどうだった?」って話してる時に、ソニーの人から研究員のアシスタントを探してるらしいっていうお話を聞いて。先生と知りあえてたから、紹介されたっていうふうには言えると思います。自分の興味のある分野の先生と仲良くなっておくと、すごくいいですね。インタラクションデザインの先生と交流した結果、すごい生活変わりましたもん(笑)藝大の中で、そういう人見つけられると思います。
――人脈のつくりかたについて教えてください。
名刺とかつくってみたらいいかもですね。名刺もってるといろんな人と話そうっていうモチベーションがあがると思います。すごいですよ、偉そうな人にもあの四角いカードを渡した瞬間に、向こうも「あ、わたしも」とか言い始めて「どうもよろしくお願いします。」みたいになるんですよ。話をちょっと聞きたいってときは、あれすごい使えると思います。カードゲームとかじゃないから、カード集めとかじゃないんですけど、名刺ってちょっと「ポケモンゲットだぜ!」みたいな雰囲気があって(笑)名刺貰うと、その人とちょっとつながれた感があったりして、いろいろ名刺もらってます。東京にいると、ほんとに誰にでも会えると思ってます。オバマは多分無理かもしれないけど、他の人にはだいたい会えるし、コネクションはもてると思いますね。アカデミックな世界とか、アーティストとか研究者とかの敷居はすごく低くて、研究会には行ってるし、大学の研究所にメールすればだいたいいけますし、制作してる人とかも、連絡先をたどれば全然いけると思います。意外とね、いけるんですよ。本当に。富山にいて、東京にきたときの一番のびっくりしたのはそこですね。普通に会えるんだ、みたいな(笑)藝大にいると、普通にくるんだ、ってすごいびっくりしましたね。芸術情報特論とかに来る人も豪華ですしね。だから、最近は、会えるかな会えないかなとかあんまり思わないです。どこにくるんだろうみたいな感じでみていますね。早めに「あの人は別格だわ天才だわ会えないわ」とか壁を作るよりかは「意外とすぐ話せんじゃん。」みたいな感じのほうがいいと思いますよ。でも、会うだけだったら余裕だけど、一緒に話すとか、興味について語り合うとか実際に仕事するみたいなレベルに行かないと、会って、名刺もらってわーいってなるだけだと、ミーハーじゃん、って思います。GoogleかっこいいけどGoogleとなんか一緒にやるってどうすればいいのかなとかって探してみると、次のSTEPかもしれないですね。 (了 2012年7月)
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Twitter: @yuta_toga
Mail: yuta.toga@gmail.com
気軽に連絡ください。
*1 ホロフォニクス:バイノーラル録音技術のひとつ。
*2 ダミーヘッド(マイク):人間の鼓膜と同じ位置にマイクが装着されているマネキン人形。
*3 プロツー/Protools:波形編集ソフト。
*4 AMC:東京藝術大学芸術情報センター。
*5 バイノーラル:ヘッドホンによる立体音再生を目的にした2チャンネル録音方式。