あの日から、ひと月経った。

あの日とは、同級生で幼なじみでもある佳織、その姉の美咲さん、佳織の友達である、芽依と奈津紀の四人に、お尻叩きのお仕置きを受けた日だ。

それからと言うもの、俺は、何となく彼女達に頭が上がらない。

四人からのお仕置きに、無様に泣き喚いたあげく、最後は佳織の膝の上で皆の前で射精するという醜態を晒したからだ。
そしてそれをデジカメで一部始終を撮影された。
いつまた、それをネタにお仕置きされるか、内心ドキドキしている。

が、普段は皆、何事も無かったようにフレンドリーに接してくる。

特に佳織と美咲さんは、俺に好くしてくれる。


夏休みのある日。

美咲さんから、お願いがあると言ってきた。
他の三人には内緒で、キチンと体を洗っておくようにと言われた。

美咲さんは、俺に凄く優しい。
そして時々、俺に気があるのか、胸やお尻を擦り付けてきたりする。

三人に内緒、体を洗ってきて…
ひょっとしてお願いとは…
と、思わずエッチな妄想に耽ってしまう。

午前中、待ち合わせの公園に行くと、美咲さんが待っていた。

美咲「あ、悠君おはよー。
早く、こっち、こっち。」

笑顔の美咲さん、やっぱり美人だな~、と思う。

「おはようございます~。」
と、美咲さんに駆け寄った。

美咲「車に乗って。
いいトコ連れてってあげる。」

その言葉に、躊躇うことなく助手席に座る。

美咲さんは運転席に座るなり、
「お願いだけど…
着いてから話すね。」
と意味ありげな視線を、俺に送ってきた。

俺は、美咲さんの言葉に、激しくときめいた。
心臓の鼓動が聞こえるのではないか、と思ってしまう程だ。

車が走り出して二十分くらい経った頃、ホテル街が見えてきた。

美咲「悠君、もうすぐだから。」

俺は、自分の予感が当たったと思い、緊張の余りに体が震えてきた。


が、車はそのまま通り過ぎ、ホテル街の近くにあるマンションの駐車場に停まる。

期待外れにガッカリした。
それにしても、何故マンション!?

怪訝そうな俺に、美咲さんは、付いて来てと言って、マンション内へと入っていく。

ある一室の前まで来ると、美咲さんは、インターホンを押す。

ドアが開くと、一人の女性が迎えてきた。
歳の頃は、美咲さんと同じくらいか。

美咲「真里~、連れてきたよ~。」

んん?連れてきた?

真里と呼ばれた女性は、俺をまじまじと見つめる。
真里「うん、結構かわいいじゃん!
さっすが、美咲っ、ありがとう~。」

んんんっ?かわいい?ありがとう?

中に入るように、促されて、玄関からすぐの部屋へ案内された。


真里「そしたら時間まで三十分くらいあるから、休憩がてら準備しててね。」

真里さんのその言葉は、俺に向けられていた。

そして、美咲さんに手を振ると、真里さんは部屋から出て行った。


美咲さんと二人になったとこで、何があるのか聞いてみた。

美咲さんは、ニコッと微笑むと、“お願い”を含む事情の説明をする。

まず、女性は『須藤真里』、美咲さんの友人で、イラストレーター。
彼女は、漫画研究会のサークルを持っており、月に一度、モデルを使ったデッサン会をやってるそうだ。
会員は、全員女性で、中学生から社会人まで八人だ。
会場は、仕事専用で借りてる、このマンション。

今回、男性ヌードがテーマということで、真里さんが美咲さんに、誰かいないか頼まれたとのこと。

そんなものモデルの派遣会社に頼めばいいだけの話だが、未成年者もいることから、業者に頼むのは憚りがあるらしい。
オマケに皆の好みもうるさいらしく、若くてカッコいいモデルを要求しているとのこと。
そして真里さん自身も、どうせ描くのだから、皆の要望に合わせたいと思っている。

美咲さんは、カッコ良いと言うより、かわいいのでいいなら一人いるよ、と返事をしたそうだ。


美咲「うふっ、悠君、やってくれるよね?」

俺は仰け反らんばかりに驚いた。
冗談じゃない、初対面の女性達の前で、裸になどなれる訳がない。

当然、美咲さんのお願いを、あっさり断った。


「悠君の嘘つきっ!」
美咲さんは、ふてくされた顔で、俺を睨む。

俺は嘘をついていない。

美咲「初めてのお仕置きの時に、何でも言うこと聞くって言ったじゃない!」

俺は、努めて美咲さんを刺激しないよう説得する。

すると美咲さんは泣き出した。
「ひどいよ~、悠君、
あんまりだよ~。
うわああぁぁぁぁんっ。」

こっちが泣きたい。

宥めようと近づくと、美咲さんは、いきなり抱きついてきた。
「ね、お願いっ!
バイト代でるよ。
そしてお願い聞いてくれたら、後でご褒美あげる。
帰りに近くのホテルで、イイコトしよっ!」

不覚にも、ご褒美の一言に、俺の心が傾いた。
スケベ心…じゃなく、男心とは単純なものだ。


確かにヌードは恥ずかしいけど、知らない人ばかりだし、会うことも無いだろう。
お小遣い入るし。
美咲さんとホテルで…。

俺は、渋るふりして引き受けた。

「さっすが悠君!
だ~いすきっ!」
美咲さんは、そう言うと、俺にキスしてくれた。
俺にとってのファーストキスだ。
嬉しくない筈が無い。

更に美咲さんは、俺の手を掴むと、自分の胸に導く。

『うわっ、柔らかい…』

俺の下半身も、大きくなる。
その様子が分かったのか、美咲さんは、俺のをズボン越しに強く握る。

「美咲~、準備できたぁ?」
奥の部屋から、真里さんが呼び掛ける。