コラム
注意したい登記の補正の事例
2021年10月21日
【今日のポイント】
夫に先立たれた妻が、相続手続きの一環で
自宅の名義を亡き夫から自分に変更しようと
法務局で相続登記の申請をしたところ、
ある理由から申請が却下されました。
不動産の名義は間違いなく亡き夫になっており、
遺言書の内容にも不備はなかったのにどうして?
今日は意外に見落としがちな不動産の名義変更時の
落とし穴について紹介したいと思います。
【申請の却下】
不動産登記法25条(申請の却下)の対象として13項目を挙げています。
この中のひとつに以下の項目が明記されてます(抜粋して引用してます)
「申請情報の内容である登記義務者、あるいは登記名義人の
氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。」
つまり、
登記されている人物は同一人物であっても
登記簿の住所と住民票の住所が一致していなければ
相続登記の申請は却下されてしまうのです。
不動産の相続登記のトラブルといいますと、
長らく相続登記自体がされておらず(そもそも知らなかった)、
改めて土地の登記簿を確認したら曾祖父の名義のまま放置されていた
というようなケースで登記が出来ないというものが代表的です。
ですが少数ながら、
登記を済ませた後に、名義人が転居して住民票も新住所に移していると
こういった躓きを生じてしまうケースもあるのです。
この様な場合、どうするかと言いますと、上記の法律の条文に
「ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、
登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。」
ともあります。
この補正という作業を速やかに行えば、
晴れて相続登記の申請手続きに入ることが出来るのです。
【補正とは?】
補正には、
単に誤記部分に二重線で取り消し修正すれば済むものもありますが、
今回採り上げた事例ではそうはいきません。
以下に手続きの流れを簡単に紹介します。
1. 登記事項証明書を取得します
まずは住所・氏名の変更登記(後述します)を行う前提として、
登記事項証明書(登記簿謄本)を取得し、現在登記されている情報等を確認します。
登記事項証明書の取得方法ですが、
「登記事項証明書交付申請書」(法務局にあります)に
必要事項を記入して提出します。
内容に問題なければ即日その場で登記事項証明書を取得できます。
この場合、
予め登記事項証明書の取得手数料を用意しておきます。
金額は不動産1個につき600円です。
一戸建ての場合、土地と建物は別々に登記されているので、
「両方の登記事項証明書を取得する」ことになります。
手数料の金額分の収入印紙を購入し、交付申請書に貼って納めます。
2.必要書類を揃えます
続いて、登記申請となりますが、
この場合は以下のような書類が必要になります。
(1) 住所変更登記の必要書類として
登記されている住所から現住所までの変遷を
明らかにできるものが必要になるので
住民票または戸籍附票が必要になります。
取得手数料として、1通300円程度が目安です。
(2) 氏名変更登記の必要書類として
婚姻・養子縁組・離婚等で氏名が変わったことが記載されているものとして、
住民票または戸籍附票住民票は本籍地記載のものが必要です。
これも、手数料として1通300円程度です。
戸籍謄本としては、1通450円となります。
(除籍謄本、改製原戸籍謄本は1通750円)
3.登記申請書を作成します
登記申請書の書式は法務局のホームページでダウンロードできます。
記入例も用意されているのでそれを参考に、必要事項を記入していきます。
なお、登記申請書はA4サイズの用紙で作成する決まりがあります。
手書きでも可ですが、黒インクのボールペン等消えないもので書く必要があります。
4.収入印紙を用意します
住所変更登記・氏名変更登記を申請する際には、
不動産1個につき1,000円の登録免許税がかかります。
登録免許税は通常は収入印紙で納めるので、金額分の収入印紙を購入しておきます。
ここでも注意すべき点があります。
一戸建ての場合ですと、一般的に不動産は土地と建物が1つずつとなります。
なので登録免許税は1,000円×2で2,000円になります。
仮に、土地が複数に分かれていてる場合はさらに加算します。
マンションの場合は、専有部分と敷地部分で区分されます。
ですからこの場合も、登録免許税は少なくとも2,000円かかります。
敷地が複数ある場合には、その分加算されます。
5.登記申請
必要事項を記入した登記申請書、
住民票等の必要書類を添えて、法務局の窓口に提出します。
収入印紙はA4の用紙に貼ります。
貼った用紙は登記申請書と一括してつづり、契印しておきます。
提出先は、不動産の所在地を管轄する法務局になります。
なお、登記申請は郵送で行うことも可能です。
郵送する場合には、
登記申請書を入れた封筒に「不動産登記申請書在中」と記載します。
返信用封筒を同封し、書留または簡易書留で管轄の法務局宛に送ります。
6.登記完了
登記申請後、内容に問題がなければ
登記完了までは概ね1週間から10日程度かかります。
登記申請時に告知された登記完了日以降に法務局で登記完了証を受取ります。
【住所変更登記・氏名変更登記とは】
不動産の登記名義人としての住所や氏名の表記を変更する手続きを言います。
不動産の登記簿(登記記録)には、
不動産の所有者がどこの誰なのかがわかるよう、
所有者の住所・氏名が載っています。
住所や氏名が変更になった場合には、
変更登記の手続きをしなければなりません。
現行の不動産登記制度では、
登記名義人の住所や氏名が変わっても、
変更登記をするかどうかは任意でした。
しかし、
所有者不明の土地が増えていて管理に問題が生じていることから、
住所・氏名変更登記を義務付ける法改正を行うことが2021年3月に閣議決定しました。
この結果、
2023年以降は、住所・氏名変更登記を怠っていた場合、
「5万円以下の過料」が課せられることとなります。
もし、住所・氏名変更登記をしていない不動産があった場合は
速やかに手続きすることをお薦めします。
サラリーマンなどの場合、
引っ越した後、不動産の住所変更登記をせずに放置していた!
こいうったケースは少なくないでしょう。
ですが、いざ手続き段階になった時には
必要な書類が揃わないことがあります。
住所の履歴を証明できるものとしては、
住民票の除票、あるいは除籍になった戸籍の附票がありますが、
つい最近まで役所での保存期間が5年となっていました
この為、転居したのが10年前という場合には、
必要な書類が既に廃棄されているといったケースもあるのです。
余談ですが、令和元年6月以降は保存期間は150年!に変更されています。
この他にも故人の権利証(登記済証)自体紛失している場合もあります。
この様な場合、今度は「上申書」を用意することになりますが、
これは「相続人全員の同意」を得て作成しなくてはいけません。
非常に時間と手間がかかるうえ、
仮に疎遠な相続人や険悪な関係にある相続人がいる場合、
事実上作成困難なケースもあるようです。
こうならないよう、事前に登記簿を確認し、
その内容が現状に即したものかどうか
速やかに確認しておくことが最大の防衛策と考えます。
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