こういうツイートがまわってきまして、懐かしいなという印象でした。というのも、私は以前、このブログでこの診断テストのいい加減さを取り上げたことがあるからです。(『三浦瑠麗プレゼンツの価値観診断テストがツッコミどころ有りすぎる:二次元プロット編』『三浦瑠麗プレゼンツの価値観診断テストがツッコミどころ有りすぎる:質問項目編』参照)
ルーリーのインチキ診断再び
以前は結果のプロットのでたらめさと、項目のレベルの低さを取り上げていました。1年余りの時が過ぎ、再びやってみたところ、確かに引用ツイートが指摘するような問題もあったと気づきました。ルーリープレゼンツの診断テストですが、端的に言えば「方向に一貫性がなく滅茶苦茶」という問題も抱えています。
例えばQ1は「日米同盟をもっと強化すべきだ」、Q2は「今後、日本の防衛予算はもっと増やすべきだ」などとなっており、賛成の場合は「とてもそう思う」と選択する素直なかたちになっています。Q7などは「集団的自衛権の行使が一部容認されたことに賛成だ」でありストレートです。
しかし、Q14では「これ以上高額所得者の所得税の税率を上げるべきではない」と、Q16では「法人税をこれ以上上げるべきではない」と回りくどい聞き方をしています。Q1などと聞き方を揃えるのであれば、「高額所得者の所得税の税率を上げるべきだ」などと聞くのが筋でしょう。途中で方向が逆になるどころか、この質問の直後にQ17「自由貿易には賛成だ」などが入るので非常にわかりにくいことになっています。
これが心理学の尺度であれば、間違いなくこの方向性の矛盾は指摘されるでしょう。一般的には、こうした項目が逆転項目として扱い、分析のときに点を逆転させて処理するのが普通です。
もっとも、支離滅裂にみえる尋ね方にもきちんと法則性があります。それは、自民党に親和的かどうか、という法則です。この診断テストは「とてもそう思う」と回答したときに、必ず自民党の考え方に近くなるように作られています。
引用ツイートが指摘するようなバイアスがどの程度強いかはわかりませんが、テストの製作者にそのような下心があると思われてもやむを得ないでしょう。回答者というのは実は結構文章を読んでいないものなので、夫婦別姓に賛成のつもりで反対の回答をしてしまい、実は自民に近いですという結果を鵜呑みにする人もいそうです。
その「テスト」は本当に信用できるか
衆議院選挙が近づいたことで、このような政党診断テストのようなものが流行っています。こうしたテストは手軽に自分に近い政党を知ることができる一方、様々な危険性もはらんでおり、そのことを理解して使わないと誤った投票行動に誘導される恐れもあります。テストの危険性の最たるものが、中立を装って特定政党に肩入れする結果を出力するように作られたものを掴まされるというものです。上に挙げた三浦瑠璃作成のテストがそのよい例でしょう。三浦瑠璃が自民党シンパなのは周知の事実ですが、山猫総合なんたらが彼女の組織であることを知っている人は多くありません。いかにもちゃんとした会社のような名前なので、診断も信頼できると思ってしまいがちですが、実は虎視眈々と自民党への投票を誘導しているかもしれないということです。
まぁ、ここまで品質の低い診断ならやっていて気づきそうですが、この手の診断は無数にあり、そのすべての信頼性を確かめることは困難です。そういう意味で、診断を過信するのは禁物と言えるでしょう。
「政党の主張は事実」という前提は正しいのか
では、ヤフーのような大手の診断なら信用できるでしょうか。こうした会社が特定政党への投票を誘導することはなさそうですが、それでも気を付けるべきです。なぜなら、このような診断は政党の回答が真実であるということを前提としていますが、この前提は必ずしも真ではないからです。言い換えれば、仮に政党が「選択的夫婦別姓賛成」と言っていても、実はそれは嘘で選挙後に態度を豹変させることもあるということです。例えば維新の会は選択的夫婦別姓に賛成と口では言っていますが、その主張の中身を見れば自民党的な旧姓利用制度の促進にすぎないことがわかります。こういうのは一般に賛成しているとは言いませんが、政党がアンケートで賛成と書けばそれがテストの結果に反映されてしまいます。
また、Twitterで診断をした人が自分の考えがN国に一番近かったとびっくりしているツイートも見かけました。しかし、N国レベルになると回答がすべて出鱈目ということだってあり得ます。こうなると、診断は意味をなしません。ほかにも、公明党はそれっぽいことを言うけど結局は自民党の言いなりになるので公約に意味がないとか、そういう背景はいくらでもあります。
こうしてみれば、診断はしょせん自分の考えを深める手掛かりにすぎないことがわかると思います。診断をして政党を見つけて終わりではなく、その政党が何を言っているのか、また、これまで何をしてきたのかをきちんと調べる必要があります。言うだけならタダですから、やると言ったことをちゃんとやるかどうかを見極めなければいけません。
まぁ、自民党みたいに有言実行するけど実行した内容がクソということだってありますけどね。素直に野党共闘に入れましょう。比例は共産党で。
これは知らなかった。なるほどなぁ。
そう考えると記事にある通り、なんだか作成者の意図が透けて見えてくる気もするな。