まるでフルーツのようにみずみずしく。
色とりどりに輝く「iOのある日々」の物語。
思わず笑みがこぼれる
Buono!(おいしい!)な毎日をつくります。
思わず触れたくなる
あふれる想いが伝わる瞬間
〜CREAMのストーリー〜
PLAY VIDEO
朝起きて、「おはよう」と二人で笑い合う。
それが、当たり前の日常になってきたことがうれしい。
同棲して半年が経っても、僕は彼女の魅力を発見している。
かわいい、と思う瞬間は正直何回だってあるけど、あまり口にできたことはない。
言葉に出して想いを伝えることはむずかしい。
相手が好きな人なら、なおさら。
愛想をつかされないように、
「かわいい」の一言くらいはちゃんと言えるようになりたいというのが、
最近の僕の悩みだったりする。
土曜日の朝。
色違いで揃えた2つのマグカップにカフェオレを入れる。
彼女は少しミルク多めが好きだ。
スプーンでぐるぐるかき混ぜてから、
ちょうど洗面所から出てきた彼女に「入ったよ」と声をかける。
──最近、彼女の雰囲気が変わったと思う。
具体的にどこが、というのはわからないけど、なんとなく顔の印象が明るくて、
笑顔がますます素敵に見える気がする。
髪を切った、わけでもなさそう。
メイクが変わった、わけでもない。
服……違うな。
「なにかいいこと、あった?」
カフェオレを飲みながら問いかけると、
「なんでわかったの」と、ちょっと驚いた顔をする。
スキンケアを変えたら肌がよろこんでるみたい、と笑いながら、
彼女は「ほら」と言って自分の頬に触れた。
サラサラでふんわりした肌はまるでマシュマロみたいに柔らかそうで、
ドキドキした。
うっかり「かわいい」と言いかけて、口をつぐんでしまう。
その代わり、「へえ、けっこう雰囲気変わるもんなんだね」と
そっけない受け答えをしてしまった。
ちゃんと褒めることができたわけでもないのに、
彼女は「気づいてくれて、なんかうれしい」とにこにこ笑っている。
それを見て複雑な気持ちになった。
あんな言葉でいいの……?
随分と甘やかされていると思う。
そのあと僕らはサブスクでドラマを一気見して、
のんびりとした休日を過ごした。
夜、お風呂から上がり、リビングでスマホを見ながらくつろいでいると、
家で過ごすのもいいけど久々に出かけるのもいいかもなぁ、と思う。
次の週末の天気を確認しようとしたところで、
お風呂上がりの彼女がやってきて僕の隣に座った。
洗いたての髪の匂いに誘われてスマホから顔を上げる。
彼女はテーブルの上にクリームを2つ置くと、少し迷ってから
「今日はこっち」と1つを手にとってフタをあけ、顔につけていった。
鼻歌を歌っていて、なんだか楽しそうだ。
かわいいなぁ、と思いながら、その様子をなんとなく眺めた。
見つめられていることに気が付いた彼女が少し首を傾げて、
「どうしたの?」と聞いてきた。
「………なんか、肌、もちもちしてんね」
自分の語彙力のなさにがっかりした。
それなのに、彼女はまた、朝みたいにうれしそうな顔をする。
なんでも、今塗っているクリームは朝に使っていたブランドと同じもので、
これもすごく使い心地がいいらしい。
同じすっぴんなのに、また朝や昼間とは雰囲気が違う。
柔らかそうな肌が、部屋のライトを反射してつやつや光っている。
思わず、手を伸ばしてその頬に触れていた。
「かわいい」
彼女は目を丸くした。
しっとりと吸い付いてくる肌の感触に、はっとする。慌てて手を離した。
──つい「かわいい」って言ってしまった……。
みるみるうちに耳が熱くなる。
続けて何を言えばいいのか分からず焦る僕の目の前で、
彼女は花が綻ぶように笑った。
これまで見てきた笑顔の中で、一番好きだと思った。
顔赤いよ、とからかってくるので、
うるせぇな、と照れ隠しにふざけて頬を摘むと、
彼女は子どもみたいにはしゃいだ声をあげた。
それからふと、思い出したように、
目の前のテーブルの上に置いたパッケージを手にとって、
このクリームは男の人も使えるから試してみたら、と言う。
くるくるとフタをあけ、白いクリームをすくって僕の鼻の上にチョンと乗せる。
これは彼女が朝に使っていたほうらしい。
ほのかに甘い香りがした。
「指で伸ばしてみて」と言われた通り、顔にクリームを広げていくと、
肌がなんだかサラサラしていくのが分かった。
「すごい、なんか気持ちいいね」
初めての感覚に驚いていると、
洗面所に置いとくから、今度使ってもいいよ、と言ってくれた。
テーブルの上にクリームを置いてから、
不意に彼女は、スルリと僕の前に入り込んできた。
さっきかわいいと言ってくれたのがうれしかった、とつぶやく。
シャイなのに頑張ったね、なんて言われて、
僕はため息をつきながら目の前の彼女を抱きしめた。
やっぱりこの子にはかなわない。
とても満足げな顔をしているので、
日頃から言葉にすることは大切なんだな、と改めて思う。
──めちゃくちゃ恥ずかしいけど。
そういえば、天気予報を確認しようとしてそのままだったのを思い出した。
ソファに放り投げていたスマホで確認すると、
来週の土曜日、東京には晴れマークがついている。
「……あのさ、来週の週末は、どっか出かけよっか」
彼女は僕を見上げて、それから笑って頷いた。