「アフガンの王女」祖国を憂う=タリバン変化に期待―トルコ
【10月17日 時事通信社】「アフガニスタンの王女」がトルコで暮らしている。1919年に英国からのアフガン独立を宣言した元国王アマヌラー(1892~1960年)の娘ナジア・ドアンさん(91)。イスラム主義組織タリバンが政権を握った後の市民生活の荒廃について「ただただ悲しい」と憂いを深めている。
トルコ西部アイワルクの自宅で取材に応じたナジアさんは、タリバン政権下で女性が就業や就学の機会を奪われていることを問題視する。「イスラム諸国では(厳格な)イランやサウジアラビアでも女性が仕事をしている。預言者ムハンマドは、商人の女性ハディージャと結婚したではないですか」と力を込め、タリバンが姿勢を変えることへの期待を語った。
1919年に王位を得たアマヌラーは軍制や女性教育拡充などの改革を断行。改革派のトルコ「建国の父」アタチュルクと盟友関係にあり、23年に共和国を樹立したトルコをモデルに体制の刷新を進めようと試みた。しかし、守旧派勢力に追い落とされ、29年にインド経由でイタリアに亡命。ナジアさんは30年6月にローマで生まれた。
トルコとの縁は継承され、ナジアさんはトルコ人実業家と結婚した。以来、アイワルクやイスタンブールで暮らす。アフガンに住んだことはないが、トルコでは「アフガンの王女」と呼ばれる。2019年には「独立100年」を祝うカブールでの式典に招待され、熱烈な歓迎を受けたという。(c)時事通信社